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X ーthe another storyー

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第一話 開幕その十三

「僕は」
「そうだね、けれどね」
「けれど?」
「未来、運命は一つじゃないんだよ」
「二つのうちどちらかだけじゃない」
「そう、それに貴方ええと」
「牙暁。玖月牙暁だよ」
 目を閉じてだ、牙暁は北都に答えた。
「僕の名前は」
「うん、それで牙暁ちゃん」
 北都は名前を教えてくれた牙暁ににこりと笑ってからまた言った。
「未来は一つじゃないんだよ、それにもうわかっているよね」
「庚さんの本心が」
「うん、それがね」
「あの人は素直でない方だよ」 
 牙暁は俯いて答えた。
「とてもね」
「星ちゃんと一緒だよね」
「そうだね、二人はそうしたところは似ているね」
「星ちゃんは本当はね」
「わかっているよ」
 牙暁は北都に悲しい目で答えた。
「僕もね」
「そうだよね」
「本当はね」
「あたしそうはなって欲しくないの」
 北都は牙暁に笑顔で話した。
「だからね」
「今もだね」
「この世界にいてね」
 そうしてというのだ。
「今牙暁ちゃんの夢に出ているんだ」
「そうだね」
「それでまた言うけれど」
「未来は一つじゃない」
「それは無限にあるんだよ」
 こう言うのだった。
「だから絶望しかないってね」
「僕はもう諦めているよ」
「諦める必要はないんだよ」
 にこりと笑って告げた。
「全くね」
「そうかな」
「そうだよ」
 はっきりとした言葉だった。
「牙暁ちゃんは動けないけれど」
「これからの未来に」
「絶望しないで」
 そうしてというのだ。
「明るくね」
「見ていいんだ」
「そうだよ」
 また牙暁に話した。
「本当にね」
「君は嘘を言っていないね」
「こうした時は言わないよ」
 決して、そうした返事だった。
「あたしもね」
「そうなんだね」
「うん、だから言うけれど」
「君の望みをだね」
「あたし昴流ちゃんも星ちゃんもね」
 二人共というのだ。
「この戦いで死なないでね」
「そうしてだね」
「幸せに過ごせたらッてね」
 その様にというのだ。
「願ってるのよ」
「それは」
「無理かな」
「運命は二つだよ」
 牙暁は目を閉じて答えた。
「僕が言う通りにね」
「だからなんだ」
「どちらかが死んで」
 そうしてというのだ。 
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