夢幻水滸伝
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第二百六十三話 山中の賢者その二
「如何でしょうか、実はです」
「実は?」
「私はこの街の市長と幼馴染みでして」
ここで市長は自分の縁を話した。
「今もよくお話をしていまして」
「親しい間柄なのですか」
「はい、ですから」
そうした絆がありというのだ。
「貴女さえよければ」
「私に市長さんを紹介してくれますか」
「はい」
一言での返事だった。
「そうさせて頂きますが」
「そうですね」
花華は塾長の話を受けてだった。
少しの間考えそうして答えた。
「そう言われるのでしたら」
「会われますか」
「そうします」
こう答えた。
「これから」
「はい、それではですね」
「これからです」
「会われますね」
「そうします」
「では市長にお話をしますので」
それでとだ、塾長は花華に話した。
「何時何処でお会いされるかをです」
「そのことが決まれば」
「はい、その時にです」
「私に連絡してくれますか」
「そうします、それまでは宿もないですね」
「お金も」
花華は正直に答えた。
「ありません」
「そうですね、では暫くの間私の家にいて下さい」
「そこで、ですか」
「過ごして下さい」
こう言うのだった。
「部屋と食事を用意しますので」
「いえ、それは」
「遠慮は無用です、我が家にはそれだけの余裕がありますので」
「そやからですか」
「遠慮なさらずに」
そうしてというのだ。
「お泊り下さい」
「そうですか」
「はい、それでは」
「暫くの間ですね」
「我が家におられて下さい」
塾長は穏やかな声で花華に話してだった。
彼女を自宅に迎え入れた、そこには彼女の孫娘まだ子供の彼女がいたが塾長は孫娘を彼女に紹介してから話した。
「娘夫婦の子ですが」
「そうなのですか」
「娘夫婦は今鉱山の方に行きまして」
そうしてというのだ。
「そこで、です」
「働いておられて」
「それで、です」
「今はですね」
「はい、私は孫娘とです」
花華に茶を出してくれた彼女と、というのだ。
「二人暮らしです」
「そうなのですね」
「いい娘です」
微笑んでだ、塾長は花華に話した。
「いつも私を気遣ってくれて真面目で」
「こうした娘ですか」
「家事も進んで手伝ってくれて」
「だってお祖母ちゃん私にいつも優しくしてくれるから」
花華にお茶を出してからだ、孫娘は笑って話した。
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