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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十話 牙刀、しがらみを断ち切るのことその七

「けれどそれは」
「そうだ。間違っているのかも知れない」
「それで今父さんのところに向かっているけれど」
「俺達は見極めるべきか」
 二人でだ。気配のする森の奥に向かって駆けながら話していく。
 既に森の中に入っている。そこでだ。
 兄妹達はだ。話すのだった。
「この戦いの中で」
「父さんとの最後の戦いの中で」
「いいな、最後だ」
 牙刀は前を見据えながら妹に告げる。
「これがだ。最後だ」
「わかったわ」
 勝っても敗れてもだった。しかしだ。
 敗北はないとだ。二人は確信していた。それは何故かというと。
 牙刀はだ。そのことについても妹に述べた。
「黄蓋殿に言われたな」
「ええ、あのことね」
「人間は修羅には敗れないか」
「そうだ。敗れないのだ」
 まさにだ。そうだというのだ。
「俺にもそのことがわかった」
「わかったのね。兄さんも」
「そうだ。わかるようになった」
「わかるように?」
「前はわからなかった」
 かつての牙刀、復讐のみを考えていた彼はだった。
「だが今はだ。仲間を知った」
「お友達をなの」
「だからわかる様になった。人はだ」
「修羅には負けないのね」
「俺達は勝つ」
 絶対にだというのだ。
「例え何があろうともだ」
「そうね。それじゃあ」
「勝つ」
 静かにだ。彼は言った。
「わかったな」
「ええ、それじゃあ」
 こうしてだった。二人はだ。
 森の奥に来た。そしてだ。
 そこにいた。牙刀によく似た顔立ちと服の初老の男がだ。彼を見てだ。
「親父か」
「お父さん、やっぱり」
「牙刀だけではなかったか」
 男はだ。ほたるも見て言うのだった。
「御前もいるのか」
「お父さん、どうして」
「わかっている筈だ。我は人であることを捨てた」
 まさにだ。そうだというのだ。
「そしてだ」
「修羅になったか」
「戦い強さを極める」
 目が紅くだ。そして全身から黒い波動を放っていた。
 その中でだ。彼は言ったのである。
「その為にだ」
「家族を捨てて」
「俺の目を潰したのか」
「強さこそが全てだ。強さを求め戦いだ」
 そうしてだというのだ。男は。
「その中で生きる。その我はだ」
「修羅か」
「いや、狼だ」
 それだというのだ。男自身はだ。
 そうしてだ。身構えてだった。
 そのうえでだ。二人に対してこうも告げたのである。
「ではだ」
「それではか」
「今から」
「この手で倒してやろう」
 我が子達にもだ。そうするというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「狼の道をか」
「極めるというのか」
「その通りだ。我は狼だ」
 まさにそうだと告げる。しかしだ。
 
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