太らない人
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第二章
「そうだけれど」
「その時何かありました?」
「何かって実家のお野菜食べた位よ。お祖父ちゃんのこだわりで自然栽培で肥料も昔ながらの」
「昔ながらってまさか」
「肥だけれど」
「それです、すぐに病院に行ってそのことお話して下さい」
山本の声はいよいよ強くなった。
「いいですね」
「そこまで言うなら」
敦子は彼があまりにも強く言うので病院に行って大分でのことを話した、医師はそれを受けてすぐに彼女の腹部のレントゲン写真を撮り。
その写真を彼女に診せつつだ、こう話した。
「サナダムシがいますね」
「あの寄生虫ですか」
「それが栄養を取っていて」
そうしてというのだ。
「太らなかったんですよ」
「そうだったんですね」
「すぐに虫下しを飲んで下さい」
医師は敦子に告げた。
「お出ししますので」
「わかりました」
「自然栽培でも最近は減ったんですが」
「寄生虫はですか」
「たまたまいたんですね、よく洗っても生で」
「あっ、実家で生のキャベツ食べました」
「それですね、これからは注意して下さい」
医師はこう言って敦子に虫下しを出した、それを飲むとサナダムシはすぐに死んで敦子は以前よりは食べても太る様になった。
それでだ、病院に行くことを強く言った山本に話した。
「いや、あまりにも太らないと」
「かえって危ないですよ」
「こうしたことがあるのね」
「はい、やっぱり食べたらある程度でもです」
それぞれの体質があるがというのだ。
「太ることがです」
「自然ね」
「若し全く太らないなら」
「何かあるのね」
「そうです、そうした時はです」
幾ら食べても太らないならというのだ。
「かえってです」
「気を付けることね」
「そうすべきです、まあサナダムシ位なら命に問題はないと思いますが」
「いていいものじゃないわね」
「そうです、ただ自然栽培もいいですが」
「注意してしないと」
「まだこうしたことが起こりますね」
寄生虫がというのだ。
「肥料の中に卵がいて」
「だからよく洗って」
「生で食べる際も気を付けることですね」
「そういうことね、実家に言っておくわ」
敦子は山本の言葉に頷き実際にその夜に実家に言った、すると畑で野菜を作っている祖父も驚き今度から野菜をこれまで以上によく洗って肥料にも気をつけると言った。そうして以後敦子も彼女の実家もこうしたことはなくなった。
太らない人 完
2022・11・26
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