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サバサバとは何か

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第一章

                サバサバとは何か
 内田染美はOLである、黒髪をショートにしていてきりっとした目と口元に一七〇近い長身とすらりとしたスタイルをしている。
 いつも前向きで細かいことにも過去にもこだわらないタイプだ、そしてあっさりとした発言や行動である。
 それでよくサバサバしていると言われるが。
 同期の面々にだ、染美は一緒に飲んだ時に言った。
「私サバサバしてる?」
「してるんじゃない?」
「あっさりしてるし」
「しつこくないし」
「そうなのね、いやね」
 染美はジョッキでビールを飲みつつ話した。
「私そう言われても自分ではね」
「そう思わないの」
「サバサバしてるって」
「自分では」
「結構うじうじ考えるわよ」
 自分としてはそうだというのだ。
「野球のことだってね」
「あんた阪神ファンだったわね」
「よく阪神のこと言ってるし」
「そうよね」
「ええ、その阪神のことでもね」
 このチームのことでもというのだ。
「あの時金田さんがクーデター起こさなかったらとか」
「ああ、昭和四十七年ね」
「村山さんに造反した時ね」
「その時ね」
「村山さんのままだったら」
 村山実、阪神のエースで当時監督兼任だった彼がというのだ。
「優勝出来たかもとかね」
「四十八年で」
「最後で優勝逃した」
「その時ね」
「バースさんのこととかね、九十二年の八木さんのとか」
「エンタイトルになって」
「それでホームランにならなくて」
「引き分けだったわね」
「ええ、二〇〇三年だってね」
 この年もというのだ。
「シリーズ第六千伊良部さん先発じゃなかったら」
「勝ってたかも」
「それで日本一だったかも」
「そう言うのね」
「ええ、それでね」
 染美はさらに話した。
「二〇〇八年ももっと、とかね。矢野さんの引退試合でも」
「村田さんどうにかしてたら」
「そうだっていうのね」
「優勝出来たかも」
「矢野さんちゃんと引退試合出来たかもって」
「もう色々よ」
 それこそというのだ。
「思うわ」
「そうなのね」
「色々思うのね」
「阪神のことでも」
「他のことでもね」
 野球を離れてもというのだ。
「あれこれ後になって思うから」
「それでなの」
「サバサバかっていうと」
「自分では疑問なのね」
「そうだけれどね」
 肴のホッケの開きを食べつつ話した。
「正直」
「というかあれこれ後で思わない人いないでしょ」
 同期の一人野上由紀が言ってきた、色白で黒髪をロングにしていて細い優しい垂れ目で形のいい顎の染美に負けない背で胸も目立つ女性だ。
「それは」
「誰でも?」
「そうよ、それはもうね」
 それこそとだ、由紀は話した。 
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