| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百五十九話 貴州省掌握からその十一

「もうや」
「それならですね」
「そや、攻めてくる場所の守りを固める」
「補給路の」
「そしてゲリラ戦をするにも拠点が必要や」 
 施はこのことも話した。
「遊撃戦や」
「遊撃戦もまたゲリラ戦術ですね」
「動き回って敵を攻めて退いてな」
「また攻める」
「それをするにも拠点が必要や」
 毛沢東が言ったことである、彼は明代末期の李自成の乱の流賊から遊撃戦という戦術を見出したと言われている。
「それもな」
「そして敵の拠点は」
「この場合昆明や」
「あの街ですね」
「いきなり昆明を攻めると敵は即座にあの街に戻って守りを固める」
「それやと攻めにくいですね」
「そやから出陣してきた敵はあえてな」 
 蒲に鋭い顔で話した。
「こっちの後方まで行かせる」
「補給路まで」
「そしてその補給路の守りをや」
「固めますか」
「輸送隊の警護の兵をかなり増やす」
「そうしますか」
「護送船団みたいにな」
 今度はこの戦術を出した。
「一次大戦の頃のロイヤルネービーみたいにな」
「ああ、あの」
「そや、あの時イギリスは海路をユーボートに荒らされてた」
 ドイツ海軍の潜水艦にだ、島国であり当時多くの植民地を海外に持っていたイギリスにとって海路を荒らされ船を沈められることは死活問題であったのだ。
「それにどう対するか」
「輸送船団に海軍の護衛をつけました」
「そうして守った」
「そうでしたね」
「それをや」
「陸でもですね」
「やるんや、それでや」
 そのうえでというのだ。
「補給路には常に巡回の兵をや」
「動かさせますか」
「そうするんや」
「警戒してですね」
「そや、そうしてや」
「補給路を守って」
「敵を寄せ付けんでな」 
 その様にしてというのだ。
「しかと守ってな」
「そうしてですね」
「敵が来てもや」
「退ける様にしますね」
「そして敵を寄せ付けん様にして」
 そのうえでというのだ。
「隙を見て昆明にな」
「兵を進めるのですね」
「ゲリラ戦を仕掛けてきた敵を引き寄せて」
「敵がそちらに気を取られている間に」
「こちらは本拠地を攻め落とすんや」
「そうするのですね」
「敵は少数で複雑な地形を熟知している」
 この二つの条件が揃っているならというのだ。
「それならや」
「間違いなくゲリラ戦を仕掛けてきますね」
「しかも地形を利用したタイプのをな」
「そやからですね」
「こっちはその動きを読んでや」
「補給路を守るのですね」
「そして迂闊に敵をやっつけにな」
 そう考えてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧