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夢幻水滸伝

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第二百五十九話 貴州省掌握からその九

「あっちにや」
「戻りますね」
「そうなるさかいな」
 施はさらに話した。
「ここはな」
「勝たなあきませんね」
「この省を手に入れる為にはな」
 絶対にというのだ。
「何としてもや」
「そうですね、ほな」
「ああ、まずは敵を調べるで」
「わかりました」
 蒲も頷いた、そうしてだった。
 施は彼と共にまずは敵を調べた、多くの偵察隊を出してそのうえでだった。
 敵を見た、そうしてだった。
 軍議の場でだ、彼は話した。
「兵の数は十五万やな」
「この省で動かせるだけの兵を全てですね」
「動かしてきたな」
「そうですね」
 蒲は施のその言葉に頷いた。
「敵も必死ですね、ただ」
「こっちは六十万でな」
「相手は十五万、出陣してです」
 蒲は考える顔になって話した。
「会戦を挑むよりは」
「守りを固めるべきやな」
「そうして戦う方が筋かと」
「そやな、兵はこっちの方が圧倒的に多いしな」
「しかも四川省やチベットからの援軍もです」
「来にくいな」
「どちらも今我々が攻めていますので」
 だからだというのだ。
「どうしてもです」
「そっちに備えんとあかん」
「そうですね」
「そやからな」
「ここは守るべきですが」
「それや、会戦を挑むといってもな」
 施は自分の向かい側に座っている蒲に真面目な顔で述べた。
「正面からや」
「堂々と戦うか」
「それはない、雲南省の地の利を活かしてな」
「山と木ばかりの」
「それでや」
「山岳戦を挑んできますか」
「それも曲靖と貴州省の補給ルートを遮断する」
「それが狙いですか」
「そしてそれに兵を向けるとな」
 自分達がというのだ。
「山の中でや」
「会戦を挑みますか」
「そうしてくるつもりやろな」
「そうですか」
「そうなると少数でもな」
「充分に戦えますね」
「勝機もある」
 あちらにというのだ。
「所謂ゲリラ戦やが」
「地の利を活かして大軍をどう退けるか」
「それにはな」
「ゲリラ戦は向いていますね」
「そや、民に紛れ込んで攻撃して来るやり方もあるが」
 ゲリラ戦の中にはだ。
「ナポレオンにスペインがやったな」
「ああ、最初に言われたゲリラ戦ですね」 
 蒲もそれはと頷いて応えた。
「街や村で後ろから急に撃って来る」
「何でやと思ったらな」
「兵が民の服を着て武器を隠し持ってのことだったり」
「若しくは民自身がそれでな」
 敵でというのだ。 
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