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まともに相手にしてもらえなくて・・ おまけにブスといわれて

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最終章

 4月になって、大学の入学式の会場で幸せと希望の中に私は居た。隣には、充君も座っていた。鳥取市内の会館だった。

 1ト月程前、私は、両親を前に打ち明けていた。

「なに言ってんのよ! せっかく京大に合格してるのに手続きしないで、他の大学受けるなんてー そんなの聞いたことないわよ あなた おかしいんじゃぁないの! 先生だって、とても喜んでくれたし、お母さんだって会社で言ってしまって、みんなからお祝い言われたのよ サダちゃん・・あなた、そんなこと思っていたから、合格の日、食事に行こうって言っていたのためらっていたのね」

「おかしくなんてないよ これが私の選んだ 答え なの 先生には、明日、伝えます」

「じゃぁ 間違ってるわよ よーく考えてみなさいよ 京大に行ったら、みんなからも、あなたを見る目が尊敬の眼差しに変わってくるのよ サダちゃん 充君のことを考えてるんでシヨ! あの子 落っこっちゃたから仕方ないじゃない どうして、サダちゃんも引きづられなきゃなんないのよ! サダちゃんは必死になって努力してきたのよ あなたもなんか言ってあげてくださいな!」と、お父さんに向かってヒステリックになって叫んでいった。

「なぁ 紗奈 男の子と付き合うのは構わないと思うけど 別々の学校に行っても、それは出来るんのじゃぁないのか? そのー充君はどう言ってるんだい?」と、お父さんは静かに聞いてくれた。

「充君は私には、京大に行け! って だけど、彼からしたら、私に又、一緒に受験しようなんて言えっこないじゃぁない お父さん 小さい頃から、誰からも相手にしてもらえなかった私のことを、ずーと充君は見守ってきてくれたのよ 私は、彼に声を掛けてもらってから、一緒に勉強していて幸せだったわ 彼のことが好きなんですだから、一緒のところを歩いていきたいの だから、今度は一緒の大学に行きたい」

「ふむー それで、彼はどこを受けるって言ってるんだい?」

「・・・鳥取」

「えー エー なんて言ったの? 鳥取? あんな寒いところ? 遠いのよ じゃぁ サダちゃん 家を出るつもりなのー? ダメよ ダメダメ 女の子なのよ」と、又、お母さんは叫んでいた。

「だって 充君と離れたくない 彼が居たから、今の私があるのよ 京大だって 彼のお陰なのよ 彼についていきたい それにコロナ禍じゃぁー 地方のほうが安心ヨ」と、少し涙目になってきているのがわかった。

「そんな訳のわかんない良い訳するんじゃぁないのよー それに、そんなこと言ったって じゃぁ 今度は、充君が受かって、サダちゃんが落ちたらどうすんのよ あんた 行くとこ無くなるじゃない」

「うーぅ その時は 来年 もう一度 受ける だけど、絶対に受かる! お願い! 許してください 我儘言ってるのわかるけど・・決心したの」私は、涙がこぼれてきて、声が震えていた。

「サダちゃん そんなに充君って・・まさか・・もう、ふたりは・・」

「もうって・・? お母さん 私等 セックスってしてないよ ただ ウチは、一緒に居たいだけ 充君もウチのこと好きだって言ってくれている だけど、結婚の約束をしたわけでも無いし・・今は、一緒の道を歩きたいだけなの それだけで、幸せなの」

「そう・・ だからってー」お母さんは、言葉が出てこなかったみたい。

「紗奈 君の思っていることはわかった けど、大学を卒業してからでも、一緒の道を歩けるんじゃぁないか?」

「嫌! 今じゃぁなきゃーだめなの この1年半 充君と勉強してきて、わかったの 一緒に勉強して、お互い 思っていることが通じ合えるの だから、一緒に歩いて前に進んで行ける 卒業してからじゃぁ意味ないのよ お父さん どうしても、ダメなら 私 家を出ても、自分でやる」

「サダちゃん お母さんネ サダちゃんが受かったって聞いて、誇らしかって・・親孝行な我が子って思ったのよ でも、親の気持ちを無視してるだけなのネ 独りで、なにが出来ると思ってんのよ!」

「そんなー そんなことなんて思ってないよー ただ ウチは・・」私は、たまらず泣き出していた。

「紗奈もバカなこと考えるな 落ち着け だから、こうして紗奈の言い分を聞いているんじゃあないか じゃぁ 2日ほど 待ってくれ お母さんとも話し合ってみる いいな その間に、もう一度 紗奈も考えてくれ 自分の将来のことだからな、感情に流されることのないようにな」

 そして、翌日、両親に呼ばれて、お父さんが

「紗奈 気持ちは変わらないのかー?」

「はい 私の選んだ道です」

「わかった 紗奈 君の思うようにやってみろ お母さんがな 紗奈が自分を信じて幸せを掴みにいくんだったら、親としては反対できないわねって言っている 紗奈が充君を信じているんだったら、お母さんは紗奈を信じるってな だけど、結果がどうなろうと、紗奈はウチの子なんだってこと忘れるなよ 頑張るんだな」

 私は、うれしくてお母さんとお父さんに抱きついて、「お父さんとお母さんの子供で良かったワ」とお礼を言っていた。こうして、私と充君は後期試験で鳥取大学を受験して、揃って合格したのだった。充君は工学部、私は農学部を選んでいたけど、同じキャンパスなので最初のうちは隣で一緒に勉強出来るんだ。

 入学式は各部毎に分散して行われたが、時間が違うだけなので、私は工学部のほうに潜り込んでいたのだ。そして、入学式の時、何人かのお友達が出来た。私は、あのチリチリの髪の毛も少し伸びてきていて、横のほうしか結ばないで、そのままにしていたのだけど、みんなはウェーブがかかってきれいネと言ってくれていた。充君も「紗奈 最近 眼がキラキラして輝いているネ」と言ってくれていた。私は、もう性格も変わっていったみたいで、何にでも、自分から前を向いていけるようになっていた。私の選んだ道は間違ってなかったと感じていたのだ。

 高校の卒業式を終えた後、運転免許の合宿教習を揃って受けに行った時、ふたりで合格した夜、宿舎のホテルで私は、充君に自分から身を任せていったのだ。お母さんには、後ろめたい気持ちがあったけれど、身も心も充君と一つになりたいと思ったから・・。そして、寮に入る前の夜も、しばらく出来ないからと、ふたりで、近くの温泉地に泊っていた。私は、幸せに声をあげて、6年間の想いに充君のあそこを優しく握りしめていた。

 これからが、私は幸せの道へ・・。

The path of happiness   
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