たゆたう心
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第二章
「若しここで迷わずに部長さんにアタックしていたら」
「最低よね」
「私怒ってたわよ」
「犯罪でなくても」
「ええ」
そうだというのだ。
「本気でね」
「そうだったのね」
「それであんた部長さんには言わないのね」
「だからあの人家庭あるから」
それでとだ、弘子は即座に答えた。
「出来る筈ないでしょ」
「そうよね」
「私にはとてもね」
「じゃあ結婚していなくて恋人だったら」
「それでもよ、相手がいる人は」
弘子はその場合についても話した。
「やっぱりね」
「言わないわね」
「そうするわ」
「そうよね、だったらね」
弘子のその考えを聞いてだ、古奈美は微笑んで話した。
「忘れることよ」
「それが一番ね」
「そうよ、そうする為には力を貸すわよ」
「力をって」
「いいお店あるけれどどうかしら」
弘子に微笑んだまま言ってきた。
「今夜ね」
「いいお店って」
「安心して、ホストクラブとかじゃないわ」
「そうしたお店はね」
「あんた好きじゃないでしょ」
「飲むなら居酒屋とかでね」
弘子は自分が飲む場所はと答えた。
「ああしたところでは」
「男の人とお話して」
「そうした場所ではお話しないから」
「そうね、私もよ」
「そうよね、あんたも」
「だからね」
それでとだ、古奈美はあらためて話した。
「そうしたお店は勧めないしそもそも知らないわ」
「そうよね」
「バーよ、安くて美味しいお店この前見付けたのよ」
「そこに行ってなのね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「とことん飲んで」
「それで忘れるのね」
「諦めるわね」
「何があってもね」
部長への想いはとだ、弘子は言い切った。
「それしかないってわかってるし」
「自分に呆れて戸惑っても」
「それでもね」
「それならよ、もうね」
「諦めて」
「完全にね」
そうしてというのだ。
「その為にね」
「今夜は飲むのね」
「それで何もかもお酒で洗い落として忘れて」
部長への想いをというのだ。
「それでね」
「そのうえでなのね」
「新しいね」
「相手と会うことね」
「それで好きになることよ」
こう言うのだった。
「そうした部長さんへの気持ちなんてね」
「なくなるのね」
「それでこのことは私には言ったけれど」
部長への想いはというのだ。
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