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お母さん狐が教えてくれたこと

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第一章

        お母さん狐が教えてくれたこと
 この時お母さん狐は息子を連れて葡萄の木のところに行きました、そうして我が子にお話しました。
「この葡萄というものは凄く美味しいのよ」
「そんなに美味しいの?」
「そうよ、だから食べなさい」
「食べなさいって言われても」
 それでもとです、子狐はお母さん狐に言いました。
「高い場所にあってとても届かないよ」
「そうね、こうした時はね」
 お母さん狐は困ったお顔になっている我が子に言いました。
「ちゃんとやり方があるのよ」
「やり方?」
「そうよ、葡萄の実の真下にね」
 そこにというのです。
「台を置いてその上に乗って取るか」
「高くするんだ」
「それか跳んでね」
 そうしてというのです。
「食い付いて獲るのよ」
「そうしてから食べるんだ」
「私達狐は木登りは出来ないけれど」
 それでもというのです。
「ちゃんとね」
「葡萄の採り方があるんだね」
「こうしてね」
 ここで、でした。お母さん狐は。
 傍にあった木に向かって跳んでそこからです。
 木に四本の足を付けてその瞬間に葡萄の実の方に跳んでそうして葡萄の実を咥え取って着地しました。 
 そうして子狐の前に置いて言いました。
「採るやり方もあるのよ」
「僕も今みたいに採れるんだ」
「跳び方の練習をしたらね」
「そうなんだね、じゃあこれから練習するね」
「そうしなさい、それではね」
 お母さん狐は子狐に笑って言いました。
「今から一緒に葡萄を食べましょう」
「うん、食べよう」 
 子狐はお母さん狐の言葉に笑顔で頷いてでした。
 一緒に葡萄を食べました、そうしてまた言いました。
「凄く甘くて美味しいよ」
「そうでしょ」
 お母さん狐も食べながら笑顔になっています。
「これがなのよ」
「葡萄なんだね」
「さっきお母さんがお話した採り方で採ってね」
「そうしたらだね」
「こうして食べられるのよ」
「そうなんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「坊やも採り方を覚えてね」
「そしてだね」
「採れる様になるのよ」
「わかったよ、お母さん」
 子狐はお母さん狐の言葉に頷きました、そしてです。 
 お母さん狐に他の大事なことを沢山教えてもらいながら葡萄の採り方を覚えていきました。そうして子狐は大人になってです。
 結婚して子供が出来た時にです、自分の息子である坊やの狐に今自分達が住んでいる森の葡萄の木の下で言いました。 
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