夢幻水滸伝
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第二百五十八話 烏江以東その一
第二百五十八話 烏江以東
貴州省の入り口にあたる鎮遠を手に入れた施達はそこから西に向けて撤退する花華達を追う形で西に兵を進めた、しかし。
郭が貴定の東二百キロで止まったと聞いて満足して言った。
「よし、そこがや」
「丁度ええですか」
「さしあたっての勢力圏にはな」
蒲に鎮遠の官邸で話した、今は兵を南北にも向け省の東部の掌握にもかかっている。
「ええわ」
「そうですか」
「そこで止まってな」
そうしてというのだ。
「足場を固めるで」
「それ以上は西に進まず」
「むしろこれ以上進むとな」
「返り討ちに遭いますか」
「これまで充分追撃を仕掛けて敵軍に打撃を与えたし」
施は蒲に確かな顔で話した。
「勢力も拡大した、ここで欲張るとな」
「かえってよおないですか」
「そや、迂闊に貴定を攻めるとな」
この街をというのだ。
「返り討ちに遭う」
「そうなればですね」
「かえって勢力も減らしてまうし」
そうなってというのだ。
「また敵に勢いをつけさせかねん」
「戦局にも影響しますか」
「そやからな」
ここはというのだ。
「そこで止まってな」
「そうしてですか」
「今は貴州省における勢力を確かにするで」
「そうするのですね」
「戦は急ぐが焦ったらあかん」
施は強い声で言い切った。
「焦るとそこで隙が出来てな」
「敵に衝かれるかしくじりますね」
白が言ってきた。
「そうなりますね」
「そや、その通りや」
施もまさにと答えた。
「それはな」
「そやからですね」
「焦らん様にな」
急げどもというのだ。
「やっていくもんでな」
「この度はですね」
「そこで止まったのは正解や」
郭がそうしたことはというのだ。
「ほんまにな、よおやってくれた」
「ではここからは」
「暫く足場固めや」
それに専念するというのだ。
「そしてや」
「貴定ですね」
「あの街を攻めるで」
こう言うのだった。
「ええな」
「わかりました」
白は施のその言葉に確かな声で応えた。
「ほなです」
「今はな」
「足場を固めていきましょう」
こう言ってだった。
今は基盤を固めていくのだった、そしてだった。
施は郭がいる前線に行くと彼の布陣を見て満足そうに頷いて述べた。
「これでええわ」
「鉄条網と塹壕を築いてか」
「こうしてるとな」
「敵も攻めにくいな」
「そや、今はな」
「貴州省での足場を固めるな」
「そうするからな」
それ故にというのだ。
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