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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百二十八話 一同、泉で泳ぐのことその四

「だからああしているでしゅよ」
「捕まった者は災難じゃな」
 黄蓋は心からその捕まった者達に同情していた。
「あれではまことに死ぬぞ」
「まあ今回だけはそう思うでしゅ」
「御主もよく捕まらんのう」
「何度か危うく捕まりそうになったでしゅよ」
 チンもだ。そうなりかけたというのだ。
「御金儲けの仕方が汚いと言われたでしゅよ」
「実際にそうであろう?」
「外道なことはしていないでしゅよ」
 このことは力説するチンだった。
「私は裏の世界には関わっても人の道は踏み外さないでしゅよ」
「だといいのじゃがのう」
「それでなのでしゅが」
 さらにだ。チンは言う。
「あの二人に捕まったらそれこそお金儲けどころではないでしゅから」
「逃げまくったのじゃな」
「いや、思い出した様にくるから大変でしゅよ」
「今も来るのか」
「その通りでしゅ。災厄以外の何者でもないでしゅよ」
 こんなことを言いながらだ。チンは泳ぎをはじめた。太っているがそれでも見事なクロールを見せる。それを見て黄蓋もだった。
 泳ぎはじめる。背泳ぎだがこれがだった。
 文醜が見てだ。驚くに値することだった。それでこう言うのだった。
「うわ、泳ぎだけじゃないな」
「そうね。あの人はね」
「それどころじゃないわね」
 緑のビキニの文醜にだ。審配と蔡文姫が応える。審配は青のワンピース。蔡文姫は黒と白のストライブのビキニという格好である。
 その二人はだ。黄蓋の胸を見ながら言うのである。
「胸が大きいだけにね」
「それが浮き袋にもなってるわね」
「ちぇっ、泳ぎは胸かよ」
 羨ましそうに言う文醜だった。
「色っぽいだけじゃないな、あれはな」
「まあ猪々子は胸ないから」
「どうしても負けるわね」
「胸ないだけ水に邪魔されないでいけるだろ」
 これが文醜の思うところだった。
「それで何でなんだよ、あの人は」
「だから。浮き袋になってるから」
「それでああなるじゃない」
 こう話す審配と蔡文姫だった。そしてだ。
 蔡文姫はだ。文醜にこんなことを話したのだった。
「それでだけれどね」
「んっ、どうしたんだ?」
「貴女泳げるわよね」
「ちゃんとな。泳げるぜ」
「だったらいいけれどね」
「赤壁じゃ毎日泳いでたじゃないか」
 川辺にあるのでだ。鍛錬と遊びを兼ねてそうしていたのだ。
「それ見てただろ」
「都に帰ってから泳いでなかったから」
「それで言うのかよ」
「ええ。けれど泳ぎは覚えてるのね」
「忘れるものじゃないだろ、泳ぎは」
「それはそうだけれど」
「まあ。滝を昇るのは無理だけれどな」 
 見ればキム達はまだ滝を昇っている。
「ああいうのはな」
「あれはまた例外中の例外だから」
「できなくていいんだな」
「というかの岩とか流木とか誰が落としてるのよ」
 本当にだ。次から次に落ちてきている。
「えげつない修業もあるものだな」
「あれなあ。キムの旦那達も容赦しねえな」
「本当にあの人達死ぬんじゃないの?」
 審配も眉を顰めさせて言う。
「当たったらそれで終わりでしょ。とことんまで落ちるし」
「危険過ぎるから、あの修業」
「あたいもそう思うぜ」
 武勇には自信のある文醜が見てもだった。
「あれは死ぬだろ」
「それをあえてする二人ってね」
「厳しいにも程があるわね」
「付き合わされる方はたまったものじゃないな」
 文醜はつくづくといった口調で言う。
「いや、本当にな」
「猪々子も気をつけてね」
「あの二人は自分達から見て悪だったら来るから」
 審配と蔡文姫もそのことはよくわかっていた。
 
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