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【ネタ】アホの子ルイズちゃん

作者:花極四季
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第四話

 
前書き
今回の話にはなんちゃってシリアスが含まれています。
いわゆる地の文という奴だ。ネタ要素とごっちゃになってるが気にするな! 

 
こんにちは。私、ルイズ。今貴方の後ろにはいないよ。
デルフリンガーという掘り出し物を手に入れ、ご満悦のサイト。
私も欲しいものがあってよかった。でも一部は取り寄せる形になったから、また行かないといけない。
そういえば、サイトの使い魔としての実力を見ていないわね。
ということで夜遅くになっちゃったけど、今の内に理解しておかないと、次の日授業だしまた先延ばしになっちゃう。
さて、夜遅くだけど元気にいこう。



「さぁ、サイト。構えなさい」

「え、意味がわからん」

私とサイトは、お互い向かい合うようにして立っている。
サイトはデルフを背にしている。
状況についていけていないようで、呆然としている。頭わるいなぁ。

「今から私と戦いなさい」

「………もう一度」

「今から私と戦いなさい」

「―――なんでルイズと戦わなきゃいけないんだよ」

「………メイジの実力を知るなら使い魔を見よ、という言葉があるわ。つまり、私達の実力は拮抗していなければおかしいのよ。逆に言えば、拮抗しているということは、私達が戦えば同時に強くなれる筈なの。一生のパートナーとして付き合っていく以上、私達はまさに一心同体。喜びも悲しみも共に分かち合う運命。時には命を賭ける戦いに身を投じることもあるでしょう。だからこそ、私自らを以てサイトのことを知らないといけないの。そして、出来るならば共に強くなっていきたい」

「ルイズ………」

耳が痛くなるほどの静寂。
口を開いたのは、サイトだった。

「それ、単にお前が戦いたいだけだろ」

「うん」

「即答!?少しは隠せよ!」

なんとも締まらない空気である。

「とにかく、学院じゃあ手合わせできる人がいなかったから、少しなまってるのよ。このままじゃあ家に帰ったとき色々面倒なことになりそうだから、大人しく生贄になりなさい」

「………はあ。わかったよ。だけど流石にデルフは使えないぞ」

「そうだと思って、ギーシュに刃の潰した剣を作ってもらったわ」

「用意周到だな。………これでも危ないことには変わりないんだけど」

何やらぶつぶつと「俺のご主人様がこんなにバトルマニアな訳がない」とか言っている。
バトルマニアとは失礼な。これはメイジで言うところの魔法の鍛錬と同じなのに。
的さえあれば魔法の精度を実感できるのとは違い、近接戦の訓練はは実際の敵と対峙しないことには、柔軟体操と何ら変わらない。

「いいのよ。少なくとも、その程度でどうにかなる鍛え方はしてないもの」

「お前、どんな人生送っていたんだよ………」

「知りたい?」

「イエ、ケッコウデス」

なんともつまらない答え。
まぁ、私の使い魔である以上お母様と会うのは運命だし、その時にでもわかるか。

「さぁ、どっからでもかかってきなさい」

「ちょっと待て、ルイズ何も持ってねーじゃねぇか。せめて杖ぐらいは」

「気にしなくていいのよそんなことは」

「―――あー、もう!どうなっても知らないからな!」

ギーシュの剣を持つサイトのルーンが眩しく光る。
これで夜暗い場所でも安全だね。一家に一台サイト。

剣を横に構え接近してくる。
しかし、一歩が違和感がある程度に遅い。
それは、躊躇いからくるものか。
ならば、遠慮が無用だということを証明しないと。

「ロック」

大地を蹴ると同時にコモン・マジックを唱える。
発動するのは当然、爆発。
その発生個所は―――ルイズが蹴ったばかりの大地。
爆発のエネルギーが推進力となり、大地を蹴る勢いと併さり、人の身の限界を超えた速度でサイトへと肉薄する。
サイトは驚愕に目を見開くも、それだけ。
油断と予想もつかない行動から、彼の胸元にいとも容易く掌底がめり込む。
大地を一度バウンドし、サイトは地に伏す。

「がっ、は―――な、なんなんだ一体」

呼吸が整い、ようやく疑問を口に出す。
当然だ。彼にとってのルイズとは、こんな接近戦を行うようなキャラでもなければ、そもそもメイジとしても今は未熟な存在の筈だった。
素人とはいえ、ガンダールヴのルーンを持つことを識っていたサイトからすれば、事前情報から運動はある程度こなせるということを知りながらも、自分には及ばないと高を括っていた。
その結果がこれ。
情けなさよりも、原作とのあまりの差異に彼のイメージが追い付いていない。

「駄目よサイト、油断しちゃ」

「ルイズ、あの爆発、魔法だろ?杖はどうしたんだよ」

「ああ、それはね」

黒のニーソックスをまくり、太ももの後ろをまさぐる。
そこには、彼の識っているルイズの杖があった。

「本来杖というのは、魔法を使うための媒体であり、魔法を発動する方向を指し示す役割も担っているわ。だけど私の爆発魔法は杖先からではなく、空間からいきなり現れる。ということは、私にとって杖は魔法発動の触媒でしかなくなる。だから腕だろうが足だろうが、取り敢えず身体に触れさせていればあとは魔法のコントロール次第で任意の箇所に爆発を撃てる」

「だから杖がないという油断を誘ったのか。いや、前提として爆発魔法をあんな使い方するとか、そもそも爆発魔法知らない奴には脅威どころじゃないとか、精度良すぎるだとか、色々突っ込みどころあるんだけど」

「気にしたら負けよ。さぁ、立ちなさい」

「はいはい。―――ってルイズ、あれ見ろよ!」

サイトの叫びと共に影が差す。
見上げるとそこには、なんともまぁ大きなゴーレムがあったとさ(昔話調)。

「うわぁ………」

「それは何に対してのうわぁなんだ。というか、あのゴーレム学院を叩いてるぞ」

「まさか、土くれのフーケかしら」

「知っているのか雷電!」

「スネーク。今度は俺が守る」

「そっちの雷電かよ!しかも4とは良いチョイスですね」

「―――ああもう、何悠長に会話してるのよ貴方達!」

ノリ良く会話していると、いつの間にかキュルケが来ていて叩かれた。
うー、少しぐらい羽目を外してもいいじゃない。

「ご、ごめんキュルケ。うちのご主人様があまりにもルーズ過ぎるから」

「それに便乗していたダーリンも同罪よ」

「………そんなことより、ゴーレムは?」

あ、タバサいたんだ。
喋らないしちっちゃいから陰薄いんだもん。

「さっきからボコボコ叩いているけど、一向に壊れる気配なさそうだから、無視していいんじゃない?」

「いやダメでしょ!?せめて少しでも壊れる可能性を減らす為に戦うのがセオリーでしょ!」

「だって、あんなデカブツにパンチ当てたところで、ねぇ」

「アンタには魔法があるでしょうがああああああ!なんで殴る蹴るが前提になってるのよ!」

あ、そうだった。
汎用性の低い魔法だから、最早格闘の延長線としてしか扱うしかないんだもん。
所謂状況がそうさせた、という奴だ。
いいなー、寝ながらドアの鍵開けたり部屋を明るくできたりするの。

「アンタと話していると話が進まないわ。フレイム・ボール!」

キュルケの魔法に続き、タバサのウィンディ・アイシクルがゴーレムへと殺到する。
生物に対しては有効的だが、もとはただの土でしかないゴーレムには痛くもかゆくもないらしい。
少しずつ壊れてはいるが、それと遅れる形で修復もされている。

「ルイズ、お前の魔法は何もない空間から出せるんだろ?だったらあのゴーレムに対しても内部破壊で決定打を与えられるんじゃないか?」

そう提案してくるサイト。
それはいいとして、人のことは言えないけどなんで戦ってないの?

「別にしてもいいんだけど―――なんていうか、撃っちゃいけないというか、絶対撃ったら面倒が増えそうな未来が見えていると言うか」

「いや、あ―――うん。でも多分やらないと色々マズイと思うぞ」

「仕方ないなぁ。んじゃあ、ロック」

気怠げに詠唱する。
すると、宝物庫部分に爆発が発生。だから言ったのに。

「酷い予定調和を見た」

魔法の精度は最早完璧といえるレベルまで昇華している筈なのに、こんな時に限ってミスをする。
始祖ブリミル、ちょっとこっち来なさい。取り敢えず間接外すだけで勘弁してあげるから。
案の定、その爆発箇所をゴーレムが叩きだし、今までびくともしていなかった壁が難なく壊れた。
そして何事もなかったかのようにゴーレムは土に還り、静かな世界が戻る。

「あーあ、行っちゃった」

「そんなことより、宝物庫に行くわよ!」

とはいえ、私はフライが使えないわけで。
結局キュルケが宝物庫へ向かい、フーケが書いたであろう置き手紙を持って帰ってくる。

「破壊の杖、確かに頂戴しました、か―――。それしか盗ってないんだね」

「フーケもメイジだし、杖に興味を持つのは当然だと思うけど」

「義賊として立ち回っているしては、あまりに謙虚なチョイスな気もするけどね。魔法学院に襲撃を掛けて得たものが破壊の杖一個とか、リターンが薄いと思わない?」

「確かに。好事家に売りさばくにしても、露骨な金品財宝の方が安定した収入が得られるだろうし、博打が強い気もするわね。タバサとダーリンはどう思う?」

「私はフーケじゃないから断言はできない。けどこれだけは間違いなく言える。最低でもフーケは魔法学院の構造を知る手段を持っている。そうでなければ、ピンポイントで宝物庫を狙うなんて有り得ない」

おお、タバサらしからぬ長文。

「俺はこの学院のことは詳しくないから何とも言えないが、タバサの言うとおりだと思う。単純に警備がザルだったせいなのか、それともフーケがスパイとして学院に侵入していたからなのかとか、推測はできる。だけど、やっぱりこれだけじゃ判断に困るってのが正直な所だな」

「兎にも角にも、私達に今できることはない、か」

「ならもう戻りましょう。もう疲れちゃった」

「………ルイズ、アンタねぇ」

「いいじゃんか、それで。多分目撃証言とかの件で招集されるかもだし、早めに休んでおくに超したことはない」

「ダーリンがそれでいいならいいけど」

と言うわけで、この場はお開きになった。
あー、面倒だなぁ。ご飯もゆっくり食べられるかどうかも怪しいね。
サイトの言うとおり明日も色々忙しくなりそうだし、とっとと寝よう。

※余談1

そういえばコルベール先生に作ってもらった使い魔用の家だけど、流石にサイトには大きすぎるからタバサにあげたら喜んで貰えた。
シルフィードもきゅいきゅいと喜んでいたし、無駄にならずに済んだ。
そんなこんなで、サイトは私の部屋で寝ることになりました。毛布一枚で。
ベッドを置くスペースもないし、これで我慢してね。
 
 

 
後書き
最初はフーケに破壊の杖を盗ませないのもありかと思いましたが、ぶっちゃけその後の展開がどうするべきか困ったので、テンプレ通りにしました。
フーケは結構重要なポジだから、ぞんざいに扱えないし。どこぞの閃光(笑)と違って。
結果、強引な展開になっちゃったけど、ネタ小説だから気にしたら負けだと思う。 
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