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おぢばにおかえり

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第七十一話 詰所の中その三十六

「絶対にね」
「僕も阪神が日本一ならいいです」
「そうなの」
「巨人とオリックスは絶対に嫌ですが」
「新一君巨人嫌いなのよね」
「この世で一番ですね」
 そこまで嫌いというのです。
「あとオリックスはもう」
「心底よね」
「憎んでいます」
「八つのほこりよ」
 それはと注意しました。
「おしい、ほしい、にくい、かわい、うらみ、はらだち、よく、こうまんでしょ」
「そのうちのにくいとうらみとはらだちですね」
「新一君は全体的にその三つが強過ぎるのよね」
「それが野球にも出ていますね」
「オリックス憎んでるわよね」
「オリックスの不幸が僕の幸せです」
「そこまでいくといんねんになるわよ」
 こう言って注意しました。
「人に対してもそうだけれど」
「もう嫌いで嫌いで」
「親の仇?」
「バファローズの仇です」
「あれっ、バファローズよ」 
 私は新一君の今の言葉におかしいと思ってすぐに言いました。
「オリックスバファローズよ」
「合併して近鉄バファローズがオリックに吸収されたんで」
「潰れたっていうの」
「だから僕オリックス嫌いで合併やった近鉄グループも嫌いです」
「憎んでいるのね」
「この感情は消えないでしょうね」
 こうも言うのでした。
「死ぬまで」
「そこでその癖性分が出たのね」 
 このことはよくわかりました。
「中学で暴力教師見て」
「それでなんですよ」
「だから嫌いでもね」
 何度も言うつもりなのでここでも言いました。 
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