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綾小路くんがハーレムを構築する話

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知的で計算高い美少女が襲来 俺の部屋編

4月初旬。

AM11:00

普段、この時間は部屋でゆっくり寛いでる事が多い。

春休みも残り僅か。これからの進級に備えて休息するのは大切な事だ。

しかし……今の俺は普段とは少々異なる事態になっている…

軽井沢「ぜっっったい負けないんだから!!!」

坂柳「臨むところですわ♪ふふ、こんなにワクワクするのは久々です♪」

椎名「私は大勢でこのような遊びをしたことが無いので非常に楽しみです♪」

綾小路「ふぅー……」


今、俺は美少女3人に言われるがまま、トランプを切ってる……何故、この3人が俺の部屋に集まっているのか?


どうしてトランプをすることになってるのか?話しは少し前に遡る…























AM10:00

綾小路「……こんなものか。」

俺はその時間、部屋の掃除をしていた。大して物も置いてないから部屋の掃除は楽だ。

自分の部屋だけでなく、浴室やトイレ、玄関等、それこそ部屋中を隈無く掃除した。

一段落終えてコーヒーを淹れようとキッチンで準備していた時…


ブー……ブー……ブー……ブー……ブー……


綾小路「……ん?」

ベッドの上に置いてあるスマホが震えていた。

電話のようだった。

……一体誰だ?俺に電話をしてくるような相手はそう居ない。

正直出るの面倒だな……暫く放っておくか。俺が出ないと判れば直ぐに諦めるだろう…


ブー……ブー……ブー……ブー……ブー……ブー……


しかし、電話は一向に切れる気配がない。俺が出るまでかけ続ける勢いだ……仕方ない。

俺はコーヒーをテーブルに置いてから渋々電話に出た。

綾小路「……もしもし?」


???『……へぁ//////!?』


電話口から聴こえた声は間の抜けた返事だった。

こんな声を出すのは一人しか居ない。

綾小路「何か用か……恵?」

軽井沢『きゅ、急に電話に出ないでよ//////!心臓止まるかと思ったじゃない、バカ清隆//////!』

電話の相手は恵だった。相変わらず、無茶な言い分をする奴だ……

電話をしてきたのは、恵だと言うのに捲し立てるように文句を言ってきた。

綾小路「はぁ……」

軽井沢『ちょっと!今、タメ息ついてたでしょ?ちゃんと聴こえてんだから!てか、こっちが電話するのにどれだけ緊張したと思って…//////』

綾小路「たかが電話で何故緊張するんだ?」

軽井沢『うっさい、バカ//////!』

バカバカと俺に言えるのはお前くらいだな……

綾小路「……それで電話して来た理由は何だ?」

軽井沢『あ、えっと、それは…//////』

綾小路「?」

さっきまでは俺に饒舌に文句を言ってきた恵が急に焦り始めた。

何か困り事でも起こったのだろうか?

休みの日に態々電話してくるくらいだからな……とりあえず恵を安心させる言葉でも掛けておくか…。

綾小路「何か不安な事でも起こったのか?安心しろ、恵の事は必ず俺が守ってやるから。」

軽井沢『へぁ////////////!?』

俺がそう言った後、さっきより大きな声で間の抜けた返事と共に凄い物音が聴こえた。

一体どうしたんだ?

綾小路「恵……大丈夫か?」

軽井沢『だ、だだ、大丈夫でふけど//////?』

いや、凄いどもってるんだが…本当に大丈夫なのか?

まぁ、声を聴く限り元気そうだが……

綾小路「そうか。じゃあ、切るぞ?また…」

軽井沢『はぁ?ちょっと待ちなさいよ!何でナチュラルに切ろうとするわけ?まだあたしは何も言ってないでしょーが!!!』

綾小路「……冗談だ。それより用件があるのか無いのかどっちだ?」

軽井沢『あるわよ!!!けど10秒待って//////!すぅーっ……はぁーっ……すぅーっ……はぁっー…』

恵は電話口でも聴こえるくらいの大きな深呼吸をしていた。

そんな覚悟を決めるくらい大事な用件なのだろうか?

出来れば面倒な事じゃないと祈りたい。

軽井沢『あ、あのさ清隆……今日予定とかあったり…』

綾小路「無い。」

軽井沢『……いくらなんでも即答過ぎない?じゃあ、いま部屋にいるの?』

綾小路「あぁ。部屋の掃除をしていた。」

恵は俺の予定なんか聞いて何の意味があるんだ?

恵の考えてることは良く解らないな……最近。

すると…

軽井沢『ふ、ふーんそうなんだ……じゃあさ…今から…あんたの部屋に遊びに行ってもいい//////?』

綾小路「は?」

軽井沢『は?ってなによ?部屋で独りで寂しく過ごしてるあんたの為に可愛いあたしが遊びに行ってあげるって言ってるの//////!』

綾小路「いや、遊ぶものなんて俺の部屋には無いからつまらないと思うんだが…」

恵のあまりの唐突の申し出に驚いた。用があって俺の部屋に来るなら解るが……

遊びに来るなんて急に言われても俺の部屋には何も無いんだが…。

軽井沢『あぁ、もう!行っても良いのか……ダメなのか……ハッキリしてよ……バカ…』

綾小路「……」


恵は聴こえるか聴こえないか分からないくらいの声量で返事を求めてきた。さっきと打って変わって随分しおらしくなったな…


ここで、安易に断ると恵の今後に支障が出るかもしれない。


ここは……


綾小路「……分かった。来てもいいぞ?」

軽井沢『え!ほ、ほんと//////?』

綾小路「あぁ。だが、もてなしは期待するなよ?俺の部屋には何も無いからな。」

軽井沢『べ、別にあんたのもてなしなんて期待してないわよ♪11時くらいに行くからまた後でね、清隆//////♪』


恵は早口言葉のようにそう告げてから、電話を一方的に切った。


嵐みたいな奴だな……全く。


俺は半分呆れながら恵の分のコーヒーを用意しにキッチンに向かった。

一方その頃……

軽井沢「いやったぁーーー//////♪」

あたしは自分のベッドで渾身のガッツポーズをしてはしゃいでいた。

だってしょうがなくない?清隆から了承を得られるなんて思ってなかったし……

思い切って電話してみて良かったよー//////♪

軽井沢「うわぁーーーどうしようどうしよう//////!なに着ていけばいいのよーーー!?」


あたしは直ぐ様、洋服を取り出してにらめっこを始めた。


これにしようかな……いや、ちょっとお堅すぎ?もっと可愛い系の方がいいかな?


でも、せっかく二人っきりなんだしもっと露出多めのセクシー路線とか//////?清隆も男だし攻めた方が喜ぶかな……って//////!


軽井沢「今のはナシ!ナシナシナーーーシ////////////!!!」


そんな煩悩を振り払って、あたしは悩んだ末に自分のお気に入りの服を選んだ。


そうだ!服だけじゃなくて下着も可愛いのにして行こうかな……//////?


いつでもそういう雰囲気になっても大丈夫なように自分の勝負下着を……って//////!


軽井沢「だから違うってばーーー//////!ただ遊びに行くだけなんだからー//////!」

あたしは頭を冷やすため、シャワーをあびた。念入りに身体を清めてから、用意した洋服に着替えた。

一応……下着もお気に入りの奴にした//////

言っとくけど、これはこの下着着けたかっただけだから//////!他意は全く無い!!!

軽井沢「よし、OK!!!」


服、髪、お化粧も完璧なのを何度も鏡で確認してから部屋を出た。


エレベーターに乗り込んで、あたしは清隆の部屋のボタンを押さずに1階のボタンを押した。理由は1度下まで降りてから、階段で清隆の部屋に向かうから。


そうすればクラスの誰かと鉢合せたとしても上手くごまかせるし、他の誰かに見られてもバレなくて済むから。面倒かもしれないけど、これが一番効率がいい。


はぁー……何か緊張してきた…。いやいや、大丈夫大丈夫!


どうせ清隆はいつも通りなんだしあたしもいつも通りに接すれば……


『安心しろ、恵の事は必ず俺が守ってやるから。』


軽井沢「清隆ズルすぎ……////////////」


清隆のさっきの言葉があたしの脳内でグルグルとエコーされて響き渡るような感覚を思い出す。


清隆が何を勘違いしたのか分かんないけどさ……破壊力有りすぎよね、あのセリフ//////


女の子なら誰でも憧れる言って欲しいセリフを耳元で囁かれたら誰だって正気保ってられなくなるわよ//////!


誰だってベッドから転げ落ちてのたうち廻るに決まってるわよ//////!


チン……!


軽井沢「あれ?」

あたしが悶絶しかけたところでエレベーターが止まった。

この階は確かDクラ……いや、Cクラスの女子部屋の階だ。

春休みだし、この時間に誰が乗ってきてもおかしいわけじゃないんだけどさ。

そして、扉が開いてそこに居たのは…

軽井沢「!」


???『おや?軽井沢さんじゃないですか。おはようございます。』


あたしも良く知ってる女子だった。

いつも通り、おっとりとしていて清楚な服装が良く似合う……椎名さんだった。

軽井沢「お、おはよー…椎名さん。」

椎名「今からお出かけですか?」

軽井沢「あーうん…ちょっとそこまでみたいな?」

椎名「そうですか。私も似たようなものです。」

椎名さんはそれだけ言って、エレベーターに乗る。

その際、あたしは2つ気になった……椎名さんが押した階は清隆の部屋のある階だった。そして、バッグには入れず大事そうに持っている難しそうな本。

え?まさかとは思うけど…

軽井沢「あのさ……椎名さんは今からどこに行くの?」

椎名「今から清隆くんの部屋に本を渡しに向かおうと思いまして♪」

軽井沢「ふぇっ!?」

あっけらかんと話す椎名さんにあたしは唖然した。

ちょ、ちょっと待って……まさか清隆の奴あたし以外にも声掛けたっての?

いや、でも清隆は予定無いって言ってたから考えにくい。

清隆が嘘をつくとは思えないし……てことは…

軽井沢「椎名さん、それってさー……清隆にちゃんと連絡入れたの?」

椎名「いえ。もし、彼がご不在の場合は持って帰る予定でしたので。」

軽井沢「そ、そうなんだ……」

良かった……やっぱり、清隆が誘ったわけじゃないのね…紛らわしいことしないでよ、バカ清隆(八つ当たり)

あれ……待って?この流れまずくない?

清隆の事だから椎名さんも一緒に部屋に招き入れるんじゃないの…?

それは絶対ダメーーー//////!!!

せっかくの清隆と二人っきりになれるチャンスなのに……なんとかしなきゃ…


チン……!


またもエレベーターが止まった。この階はAクラスの女子部屋の階……スッゴく嫌な予感がするんだけどー…?

扉が開いてそこに居たのは…


???『おや?随分と珍しい組み合わせでいらっしゃいますね?おはようございます軽井沢さん、椎名さん?』


格式の高いお嬢様のような服装を着こなしてあたしたちに微笑みかけてきた女の子。

敵に回すと一番厄介な……坂柳さんだった。

軽井沢「お、おはよう坂柳さん。」

椎名「おはようございます、坂柳さん。」

坂柳「お二人とも何処かお出かけですか?」

流石に坂柳さんにまで気取られる訳には行かないわね……

余計な事は絶対言わないようにしないと!

坂柳さんはエレベーターに乗り込むとあたしたちを観察するように見てきた。

軽井沢「まぁ、そんな感じかなー…あはは。」

椎名「はい。ちょっとした所用です。」

坂柳「なるほど……あなた方も彼の部屋に行くんですね?」

軽井沢「!!!」

椎名「……」

坂柳さんはエスパーなの?何でちょっとしか喋ってないのに分かんのよ!

そんなにあたし表情に出てた!?

坂柳「ふふ♪何故解ったのか知りたいですか?」

椎名「……いえ、別に。少し考えれば解る事ですから。」

坂柳「それもそうですね♪」

いや、ごめん。あたしにはさっぱり理解出来ないんだけど?椎名さんが清隆の部屋に行くっていうのはあたしでも何となく想像できたけど……

あたしが清隆の部屋に行くっていう考えはそう簡単に浮かばないと思うんだけど…二人はどうして解ったの?

あーもう!分かんない!

椎名「……坂柳さんは清隆くんに何のご用で訪ねるのですか?」

坂柳「ふふ♪別に大した理由ではないです♪ふと、彼の顔を見たくなったので訪ねて見ようと思っただけです//////♪」

軽井沢「へ、へぇー…」

椎名「……そうですか。」

その言葉を最後にエレベーター内に沈黙が流れる。

この感じは……女特有の嫌な空気だ。

それが流れると、そこらの女子よりも迫力があって……あたし的にキツい…。


チン……!


嫌な沈黙の均衡を破ったのはエレベーターの到着音だった。

二人は扉が開くと同時に降りる……何故なら清隆の部屋のある階だから。

坂柳「おや?軽井沢さんは降りないのですか?扉閉まっちゃいますよ?」

椎名「軽井沢さんも清隆くんの部屋にご用があるんですよね?早く行きましょう?」

軽井沢「あーもう!!!分かったわよ!」

あたしは観念するように降りて、二人より先を歩いた。

せっかくの二人っきりの予定だったのにーーー!!!

もうー!さいあくよ!!!


ピンポーン♪


あたしは半分ヤケになりながら、清隆の部屋のインターホンを力強く鳴らした。

綾小路「早かったな、恵……ん?」

椎名「おはようございます、清隆くん♪私はあなたにお奨めの本を渡したくて参りました♪お時間宜しいですか?」

坂柳「おはようございます、清隆くん♪私は貴方の顔を見たくて参りました//////♪」

二人はあたしを押し退けるように清隆にアピールし始めた。

こ、この…!

綾小路「……おはよう、ひよりに恵に有栖。あー……何だかよく解らないが…とりあえず、部屋に入るか?」

軽井沢「な!?」

坂柳 椎名「「是非//////♪」」

二人は我先にと言わんばかりに清隆の部屋に入っていく……

ちょっと……何でそんな簡単に女の子を部屋に上げるのよーーー!あたしが最初に清隆と約束してたじゃん!

普通そこは『恵と最初に約束してたから今度にしてくれ。』とか言って二人を追い返すとこでしょーが!

綾小路「恵?……入らないのか?」

軽井沢「……入るに決まってるでしょ!バカ清隆!!!」

あたしは清隆に悪態をついて中に入った。

綾小路「恵は随分機嫌悪そうだな……」

俺は恵が入ったのを確認してからドアを閉めた。

ドアを開けた瞬間、俺は驚いた。

それもその筈……遊びに来ると言っていた恵を出迎えたつもりが、有栖とひよりまで居たのだからな。

恵の機嫌から察するに二人とは偶然出会った可能性が高いだろう。ひよりと有栖を恵が自ら誘うわけないからな……

椎名「清隆くん。これ、私のおすすめの本です♪是非読んでみて下さい。」

綾小路「あぁ、ありがとう。遠慮なく読ませて貰う。3人ともコーヒーでいいか?」

坂柳 椎名「「はい♪」」

軽井沢「……ミルクと砂糖容れないと絶対許さないから!」

俺はひよりから本を受け取ると同時に借りていた本を返した。

キッチンに行って、予め用意しておいたコーヒーをマグカップに注いでテーブルに持っていった。

綾小路「どうぞ。」

坂柳「ありがとうございます、清隆くん♪」

椎名「お気遣い感謝します。」

軽井沢「……(プイっ)」

有栖とひよりは上品なお礼を言ってから、コーヒーに口をつけていた。

一方、恵は俺からそっぽを向いてコーヒーを飲んでいた。

坂柳「急にお邪魔してすみません、清隆くん。ご迷惑でしたか?」

綾小路「迷惑とは思ってはないが……次からは連絡してから来て欲しい。」

椎名「すみません、清隆くん。一刻も早くあなたにお渡ししたかったので…」

綾小路「謝るほどの事ではない。次、気を付けてくれればいい。」

坂柳「はい♪次からはちゃんとご連絡させて頂きますね♪」

軽井沢「……」

さて……後は恵のご機嫌を取らないとな。俺がひよりたちと話してるのが気に入らないのか全く俺と目を合わせてくれない。

いつも眼で訴えてくることが多い恵がそれをしないと言うことは……相当おかんむりのようだ。

そして、その様子を見た有栖が…

坂柳「ふふ♪そんなに怒らないで下さいな、軽井沢さん。私たちは直ぐにお暇しますので♪」

軽井沢「あーそうですか(なら今すぐ帰んなさいよーーー!!!てか、なんであんたたちが清隆の隣ちゃっかり座ってるのよ!)」

椎名「ところで、お二人は何をなさるおつもりだったんですか?」

軽井沢「別に……特別なんかしようとは考えてなかったけど…」

坂柳「でしたら私、暇つぶしに持ってこいの良いものを持ってますよ?少々お待ち下さい♪」

有栖は自分のバッグから何やら取り出し始めた。

一体何を持ってるんだろうか?

坂柳「これを皆さんでやりませんか?」

軽井沢「こんなのよくバッグに入ってるわね…」

坂柳「ふふ♪よく真澄さんとするんですよ。」

有栖が取り出したものはトランプだった。

確かに暇つぶしに持ってこいの代物だ……俺の部屋には何も無いから丁度良い。

椎名「トランプ……いいですね。早速やりましょう♪」

綾小路「そうだな……」

坂柳「決まりですね♪では、早速…」

軽井沢「あたしはやらない。3人で仲良くやれば?」

坂柳「あら?そうですか?」

恵はトランプをする気分では無いらしく、スマホを操作しながら寝転がっていた。自分の部屋のように寛いでるな……恵は。

しかし、恵を放っておいて有栖たちの相手だけしてれば今よりもっと不機嫌になるのは目に見えてる。

恵にも参加して貰わないとな。

綾小路「そんな事言わないで恵も一緒にどうだ?」

椎名「そうですよ。せっかくですから軽井沢さんも一緒にやりましょう?」

俺は出来るだけ優しく恵に問いかけた。ひよりも気を利かせて一緒に誘ってくれた。

すると有栖が…

坂柳「お二人とも。こういう時は軽井沢さんも参加したくなる条件をつけるべきです♪例えば……勝ったプレイヤーは清隆くんに1つお願い出来る権利とかどうです?」

綾小路「……は?」

椎名「名案ですね♪」

綾小路「いや、ちょっと待ってくれ。何故そうなる?」

坂柳「いいではありませんか♪勝った人にご褒美があった方がゲームも盛り上がりますし♪どうです、軽井沢さん?」

有栖の提案は俺に難易度高すぎだろ……お願い出来る権利って急に言われてもな…

そもそも俺が勝った場合、何もメリット無いのも可笑しい気が……

それにそれで恵が参加するわけが…

軽井沢「……やる//////!!!」

坂柳「だそうです。いいですよね、清隆くん?」


急に不貞腐れ状態から脱出してヤル気満々になった恵……そして、俺をじっと見つめる有栖たち。


こうなった場合……俺には何も拒否権は無い。


無論、おれはこう答えるしか無かった……


綾小路「……分かった。」














そして、今に至る。

俺のタメ息の理由が解るだろ?俺からのご褒美とか良く分からない条件をつけられた上に俺に全くメリットの無い状態でトランプをやるんだからタメ息も出る。

綾小路「それで……最初は何やるんだ?」

軽井沢「最初はババ抜きに決まってるでしょ!」

坂柳「異論は無いです。」

椎名「私もそれで構いません。」

恵の一声で最初はババ抜きに決まった。俺はカードを切って有栖たちに渡した。

トランプの枚数は52枚。4人でやるから一人13枚ずつになる。俺たちは自分のカードを確認してペアになったカードを場に出していった。

軽井沢「引く順番はどうすんの?」

坂柳「そうですね…清隆くんから時計回りで行きましょう。」

綾小路「分かった。」

坂柳「それではゲームスタートです♪」

これによって俺、有栖、ひより、恵の順番でカードを引く事になった。

こうして、楽しい楽しいカードゲームが始まった……

ババ抜きが始まって5分。

中々高度な心理戦が繰り広げられている。

坂柳「ふふ♪一体誰がjokerを持ってるんですかね?」

軽井沢「そんな事わざわざ言う辺り坂柳さんが一番怪しいんじゃないの?」

坂柳「そうかも知れませんが……椎名さんも怪しいと思いますよ?」

恵たちは俺も含めてカードを引くのに全く時間をかけていない。

その様子はさながら、何も考えずにカードを引いてるように見えるが実際そうでは無い。

椎名「私はjoker持っていませんよ?」

軽井沢「ふーん……まぁ、あたしも持ってないけどね?」

坂柳「では、必然的にjokerを持ってのは清隆くんですね♪」

綾小路「……俺は持ってない。」

引く瞬間、それぞれ引く相手の目線を見て引いてる。良く相手を観察している証拠だ。

俺も有栖たちの視線や表情を確認しているが……流石は有栖たちだ。簡単に表情を読ませてくれない。

それより驚きなのが…

軽井沢「清隆は持ってなさそうーね。あたしの見立てだと坂柳さんかな~やっぱ。」

坂柳「ふふ♪どうでしょうね?」

綾小路「……」

恵が心理戦で有栖たちと互角に渡り合ってる事に俺は感心してる。

恵の今までの経験上、人の視線に敏感で周りを良く見てるのは俺が一番知っているが……この二人と渡り合えてるのは凄いと思う。

例えゲームでもな。

軽井沢「ちょっと、清隆!次はあたしが引く番なんだからぼけっとしてないでカード引かせてよ!」

綾小路「あ、あぁ、悪い。……つい恵の事を見入ってしまっていた。」

軽井沢「へぁ////////////!?」

綾小路「ん?……急に変な声出してどうしたんだ?」

軽井沢「べ、べべ、別になんでもないし?そんな揺さぶりとかあたしには効かないんだからね//////!!!」

綾小路「いや、別に揺さぶりのつもりで言ったわけじゃないんだが?純粋に恵の事を感心していただけで…」

軽井沢「あうぅ……//////分かったからそれ以上もう何も言わないでぇ…//////」

綾小路「?」


恵は電話の時同様、可笑しな声を出した。そして、先程の落ち着きが嘘のように急に狼狽え始めた。


急にどうしたんだ?


それから何故か俺と目を合わせなくなり、カードを引く時も俯いたままカードを引くようになった。


それはいいとして…


綾小路「……あの、二人とも俺の顔に何かついてるか?」

坂柳 椎名「「いいえ、別に♪」」

俺と恵を注視していた有栖たちに尋ねてみたら、二人はハモるように言った。

息ピッタリなのが恐い……

坂柳「ただ……軽井沢さんにはよりいっそう、負けたくなくなりました♪」

椎名「私もです。」

綾小路「……なんでだ?」

坂柳「貴方は解らなくてもいいのです。さ、早く私のカードを引いて下さいな♪」


有栖の微笑みに嫌な予感がしたので、俺はそれ以上何も聞かなかった。


そして、勝負はこの後一瞬で決着がついた。


勝者は勿論……


坂柳「……勝負アリですね♪」

椎名「ババ抜き楽しかったです♪」

軽井沢「うぅ……」

結果は恵の負けでババ抜きは終了した。抜けた順番は有栖、俺、ひよりの順。

ちなみにjokerは俺が持っていた。必然的に恵がjokerを引く確率は高かったとは言え惜しかったな。

恵は途中まで良い感じだっただけに……

坂柳「さて、お次は何のゲームにします?」

綾小路「……まだやるのか?」

坂柳「あら?別に種目は1つと言ってはいませんよ?それにこのババ抜きだけで競うのは他のお二方が些か不憫です。」

軽井沢「次は絶対負けないんだから!清隆の揺さぶりだって……もう効かないから//////!」

椎名「私も次は1抜けします!」

坂柳「ふふ♪いいでしょう、受けてたちます♪次は神経衰弱で勝負です♪」

軽井沢 椎名「「負けない(ません)!!」」

綾小路「あぁ、頑張れ……」

俺は3人の気迫についていけず、気付けばエールを贈っていた。

俺だけがこの流れについていけなかった為、そう言うことを口にしたんだと思う……

しかし、3人ともノリノリの様子だったので俺は極力水を差さないようにトランプを切ることに徹底した。





1時間後……





綾小路「今日はここまでにしとくか?」

坂柳「……そうですね。」

椎名「……そうして頂けると幸いです。」

軽井沢「あー……つかれたぁー…」

1時間にも及ぶトランプバトルに恵たちは想像以上に体力を使ったらしい。

3人ともぐったりとしていた。恵はともかく、有栖とひよりのそんな様子を見ることになるとは思わなかったな…

綾小路「今、新しくコーヒーを淹れるから待っててくれ。」

軽井沢「よろしくぅ~……」

綾小路「あぁ。」


ババ抜きが終わった後は神経衰弱、ページワン、7並べの3種目やった(それぞれがやりたかった種目らしい)


神経衰弱では有栖が無類の強さを誇り完勝。俺とひよりは僅差だったが……恵は惨敗だった。記憶力勝負のこの種目で流石に恵は俺たちに敵う筈が無かった。


だが、次の種目のページワンでは何と恵が1抜け。正直、運に恵まれての勝利だったかもしれないが……まぁ、よしとしよう。恵は飛び上がって喜んでいた。


7並べはひよりの勝利。有栖とひよりの駆け引きは中々見応えがあった。ちなみに恵はパスを使いきって失格だった。


綾小路「どうぞ。」

坂柳「ありがとうございます、清隆くん♪」

軽井沢「ありがと、清隆……あ~この一杯が沁みるぅ~」

椎名「疲れが吹っ飛びますねー……」

3人ともコーヒーを飲んで、ほっこりした様子だった。

俺も正直やっと心を落ち着ける気がする……後はこのまま何も起こらずに帰って戴くだけだな。

まぁ、これ以上精神的な負担があるわけ無…

坂柳「さて、落ち着いたところで……清隆くんからご褒美貰いましょうか、皆さん♪」

椎名「そうですね♪」

綾小路「……」

無いわけでもなかった。有栖たちが勝手に着けた条件を忘れている筈が……ん?

今、皆さんって言わなかったか?

軽井沢「え?皆さんってどういう…」

坂柳「あら?どうかなさいましたか、軽井沢さん?」

軽井沢「いや、だってさ……総合的な勝者は坂柳さんでしょ?坂柳さんだけが清隆にお願い出来る筈じゃ…」

俺が聞こうと思った事を恵が代弁してくれた。

実際その通りなわけで……ん?待てよ?

『勝ったプレイヤーは清隆くんにお願いを1つ出来る権利とかどうですか?』

勝ったプレイヤー……ってことは……つまり…

坂柳「確かに私はそう言いましたが……別に一人とは言ってませんよ?あくまで私は『勝ったプレイヤー』と言った筈です♪」

軽井沢「え?ん?と言うことは……」

椎名「私たちもそれぞれ7並べ、ページワンで勝っているのでその権利が与えられる……と言うことですよね、坂柳さん?」

坂柳「はい♪」

軽井沢「やったぁー!あたしも清隆にお願い出来る//////♪」

満面の笑顔でそう答える有栖。元々有栖の思惑に気付いていて落ち着いてるひより。その事実を聞いて嬉しそうな恵。

まぁ、俺以外誰かが勝った時点でその条件が適応されるわけだったが……まさか全員のお願いを聞く羽目になるとはな…

有栖に一杯食わされたな…

坂柳「それでは清隆くんにお願いを聞いて貰いましょうか♪約束を違えるおつもりな勿論無いですよね、清隆くん?」

軽井沢「そんなの許さないからね、清隆!!!」

椎名「男に二言は無い……ですよね?」

綾小路「……」

どのみち、どれだけ理不尽な理屈だろうと俺に断るという選択肢は無かった……

この3人から圧力を懸けられたら敵う筈が無いんだが…

綾小路「……お願いは何だ?」

坂柳「私のお願いは……そうですね。後日に私の部屋で紅茶を一緒に飲む約束でお願いします//////♪」

椎名「私は本屋で清隆くんと一緒に読む本を選びに行く約束でお願いします//////」

軽井沢「あ、あたしは……今日の埋め合わせをしてもらうから//////!今度は清隆の最上級のもてなし付きで//////」

綾小路「……分かった。」

こうして俺の残りの春休みも一瞬で埋まっていった……












玄関。

椎名「今日は急にお邪魔してすみませんでした。次はご連絡させて頂きますね。」

坂柳「それではご機嫌よう、清隆くん♪約束楽しみにしてますね♪」

綾小路「あぁ。」

椎名「では、また。」

ひよりと有栖は俺に約束を取り付けたあと帰ると言ったので俺は玄関まで見送りに来た。

二人は俺に軽く挨拶してから立ち去って行った。

そして、最後の一人はと言うと……

軽井沢「……(プイッ)」

綾小路「恵……俺に何か言うことがあるんだろ?」

軽井沢「べっつに……」

玄関先で不貞腐れたまま、立ち止まっていた。有栖もひよりも帰ると言ったから、恵も仕方なく俺の部屋を出る事になっている状況に納得していない……ってところか?

元はと言えば、最初に約束したのは恵だったからな……ここに来て不満が一気に爆発した感じかもな。

綾小路「ふぅー……心配しなくてもちゃんと埋め合わせする。」

軽井沢「ん……今度は絶対二人きりだからね//////?誰か来ても部屋に上げるとか無しだから!」

綾小路「あぁ、分かってる。」

軽井沢「……ふん。なら、今日のところはそれで勘弁してあげる。」

恵は俺から言質をしっかり取ってから靴を履いた。

そうだ……今日の恵の服装を見て思った事を最後に伝えておくか。

綾小路「恵。」

軽井沢「……なによ?」

綾小路「今日恵を見たときから思っていたが……その凄く服似合ってる。」

軽井沢「……////////////!!!」

綾小路「可愛いと思う。」

軽井沢「……そ、そりゃどうも////////////!!あたしはいつだって可愛いんだから//////!じゃあね!!!」


ばたんっ!!!


恵は今朝の電話と同じように早口で捲し立ててから立ち去って行った……

出来ればドアは静かに閉めて欲しかったな。

それにしても……ああいう言葉は逆効果だったか?

まぁ、深く考えるのは止めとくか……俺は洗いものをするためキッチンに向かった。












一方その頃……エレベーター内では……

軽井沢「きよたかがあたしのこと可愛いって言った可愛いって…///////////」

清隆による帰り際の爆弾発言を受けたあたしはエレベーター内にて腰砕けになっていた……//////

清隆ってほんとにズルいよぉ…//////

正直今日のこと許そうと思って無かったけど……そのセリフだけで全部許せちゃう//////

あたしって案外チョロすぎかも…//////

軽井沢「次はもっと攻めてみよっかな、…////////////」

今回は坂柳さんにお礼を言っとかないとね♪坂柳さんのお陰で約束取り付けられたんだし!

次に二人で会うときはもっと大胆に攻めていこうかな…//////

あたしはまた清隆に可愛いと言って貰えるように頑張ろうと思った。

 
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