夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百五十五話 重要な島その十五
「そや」
「そして勢力圏はその四川省と貴州省それに雲南省と」
「チベットや」
「やはり山岳地帯ですね」
「特にチベットな、ただチベットはな」
この地域のこともだ、施は話した。
「山岳地帯どころか高原でな」
「極めて険阻な地形でしかも広く」
「人口も少ないさかいな」
そうした場所でというのだ。
「まああそこでの戦はな」
「まずないですね」
「そう思う、それで三つの省を攻め取ったらな」
「そこで、ですね」
「講和を申し出るつもりや」
施は王に話した。
「今はそう考えてる」
「チベットでは戦わへんですか」
「こっちは高原で戦えるモンがおらん」
施は難しい顔で述べた。
「何処もあんな高いとこにないやろ」
「はい、私達の勢力圏は」
紅美が答えた。
「実際にです」
「そやな」
「チベットはこの世界でも高く空気が薄いですね」
「かなり独特の場所や」
「そうですね」
「張達も勢力圏にしてるけどな」
このことは事実だがというのだ。
「しかしや」
「人口は少なく」
「あそこの兵も少ない」
「そうした状況なので」
「あいつ等もあそこで戦える兵はそうないさかいな」
即ち少ないというのだ。
「そうやさかいな」
「チベットでの戦はないですね」
「そや、逆に連中の勢力圏をチベットだけに出来たらな」
そこまで戦を進めればというのだ。
「もうな」
「勝ちですね」
「そや、攻めにくいが」
それでもというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「もうその時はこっちが圧倒的に有利やからな」
張達の勢力をチベットだけにすればというのだ。
「そやからな」
「そこまですればですね」
「もう勝ちや」
「ほなその時は」
蒲も言ってきた。
「チベットをどう攻めるかを考えてですね」
「攻める、ほな三つの省をな」
「四川、貴州、雲南のですね」
「攻める準備に入るで」
「わかりました、では」
「戦力を湖南特に懐化に集結させるで」
こう言ってだった。
施は郭達として彼等の勢力圏を自分達に受け入れると今度は張達との戦に入る準備にかかった。中国の南の戦はまだ続いていた。
第二百五十五話 完
2022・4・23
ページ上へ戻る