麗しのヴァンパイア
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第四百九十話
第四百九十話 歩かない靴
母は華奈子と美奈子を自分が運転する車で今田先生の家まで送ってから車を降りた娘達に自分も車から降りて語った。
「ヒールはあまりね」
「歩く為の靴じゃないの」
「そうなのね」
「そう、OLの人も履くけれど」
それでもというのだ。
「そうした職場ではあまり歩かないから」
「歩く為の靴じゃないの」
「そうした靴もあるのね」
「お洒落とか正装の時の靴で」
「それでなの」
「だから歩きにくいの」
「そうよ、それに馴れるまでがね」
ここでもこう言うのだった。
「大変だから」
「今回は送ってくれたの」
「そうしてくれたのね」
「帰りも迎えに来るわね」
母は二人に微笑んで話した。
「そうするから連絡してね」
「ううん、けれどね」
「私達魔女だから」
二人は母の申し出にどうかという顔になって述べた。
「箒でお空も飛べるし」
「いいわよ、そこまでは」
「いいのよ、子供は親を頼りなさい」
母は遠慮する二人に笑顔で応えた。
「箒は持って来てないでしょ」
「それはそうだけれど」
「先生に貸してもらえるから」
「お母さんがいいって言ってるからいいのよ」
また笑って言ってきた。
「だからね」
「それでなの」
「帰る時になったらなのね」
「連絡しなさい」
迎えに来るからだというのだ。
「いいわね」
「そこまで言うなら」
「それじゃあね」
「ええ、そうしてね」
「そうするわね」
「その時は」
二人もそれならと頷いてだった。
そうして連絡することを約束した、そしてだった。
母が車で家に一旦帰ったのを見ながら華奈子は美奈子に話した。
「有り難いわね」
「そうね、お母さんがいてくれて」
「じゃあ帰る時はね」
「お母さんに連絡しよう」
笑顔で話してだった。
二人はお互いに手をつないで先生の家に入った、すると後ろから塾のクラスメイトの娘達がそれぞれの家の車に乗せてもらってやって来た。
第四百九十話 完
2022・7・15
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