報い
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第六章
「住所も実名も顔写真も晒されたけれど」
「抗議のメールや電話もこんなものじゃなくて」
「ずっと酷くて」
「どうにもならなかったわね」
四人はこのことを悟って真っ青になった。
「あの時は楽しくてやってたけれど」
「いじめが」
「何も抵抗出来ない相手に好き放題やって」
「やりたい放題だったけれど」
それがというのだ。
「自分達が攻撃されたらわかったわ」
「攻撃されるってどれだけ辛いか」
「本当にね」
「痛い位わかったわ」
四人共心から思った。
「だからね」
「もう二度とよね」
「いじめなんかしないわ」
「したら駄目よ」
いじめがどういった行為かそしてそれが招く結果がどういったものかわかった。それでだった。
四人は以後完全に更正し学校を卒業し自分達の過去と向き合いつつ社会人として生きていくことが出来た、その余任を見て。
如月は弥生に話した。
「あの娘達はね」
「まだ救えたのね」
「ええ、若し被害者の娘が命を落としていたら」
自殺でというのだ。
「もうね」
「そうなっていたら」
「どうにもならなかったわ」
「罪が重過ぎて」
「自殺をされてもね」
例えそうなってもというのだ。
「未遂、助かったらね」
「加害者でも助けられるわね」
「ええ、けれど命を落としたら」
その時はというのだ。
「もうね」
「本当にどうしようもなかったわね」
「命を奪う罪はどうしようもないわ」
「私達ではね」
「ええ、私達は八条グループの運営で活動しているけれど」
如月は自分達のことを話した。
「いじめの被害者そしてね」
「加害者の心をケアして社会復帰をサポートする」
「相談を受けたりね」
「コンサルタントも行っているわね」
「そして私は主にコンサルタントだけれど」
それが仕事だがというのだ。
「命が失われていたなら」
「どうしようもなかったわね」
「あの時も私もだったわ」
如月はここで俯いた、そうして沈んだ顔になって言った。
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