鳥の嫁入り
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章
鳥の嫁入り
中国山西省に伝わる話である。
荒れ地にある山村に李表という老人がいた、彼は妻との間に年老いてから四人の息子が生まれたが。
「折角四人も生まれたのにな」
「李さんも気の毒だよ」
「上の三人は生まれてすぐだった」
「すぐに亡くなってしまった」
「よくあることだが」
生まれた子がすぐに世を去ることはというのだ。
「悲しいことだよ」
「全くだ」
「そして奥さんもな」
「死んでしまった」
「残ったのは末っ子だけだ」
「あの子だけだ」
小さな明るい子を見て言った、その横には白い髭の老人がいた。彼が李表である。
李表はいつも息子を可愛がり彼に言っていた。
「わしにはお前しかいないからな」
「だからなんだ」
「そうだ、育ってくれよ」
優しい声で言うのだった。
「そして立派に成長して大人になってくれ」
「うん、僕なるよ」
「そうなってくれ」
こう言ってだった。
李表は末っ子、周りが四子と産まれた時から言っているので自分もそう名付けた彼を優しく大事にしていた、その優しさを受けてだった。
彼もまた優しい子供になった、その彼がだ。
ある日自分の家の前の大木に巣を作っている火鳥が怪我をしているのを見てだった、すぐに家の中に連れて行き。
手当てをした、そうしてだった。
父にこのことを話すと父は穏やかな声で話した。
「そうか、じゃあ怪我が治るまでな」
「うちで面倒を見るんだね」
「困っている時はお互い様だ」
だからだというのだ。
「それでだ」
「鳥が治るまで」
「手当てをしてご飯をあげてな」
そうしてというのだ。
「世話をしよう」
「それじゃあね」
四子は父の言葉に頷いてだった。
父と共に火鳥の世話を優しくしていった、そして。
怪我が治った時に巣に戻そうとしたがここで火鳥は。
巣に戻った時に巣にある枝の一本を四子に差し出して言った。
「これは花果山から持って来たものです」
「君喋られるんだ」
「はい」
火鳥は自分が喋ったことに驚く四子に答えた。
ページ上へ戻る