八条学園騒動記
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第六百七十一話 野上君の戻る先その九
「最後までな」
「人間と一緒にいますか」
「そうする、この宇宙に入って二百億年」
それだけの歳月を経てきたがというのだ。
「人間を見てからな」
「ずっとですね」
「一緒におる、恐竜も面白かったが」
「恐竜ですか」
「地球におるのは少しになったが」
「ずっと未確認生物でしたね」
「他の星に行っても観ておったが」
それでもというのだ。
「地球の恐竜もな」
「面白かったんですね」
「あとカンブリア紀の生きものもな」
彼等も星によっては存在している。
「観ておって面白く今も観察しておるが」
「人間はですか」
「特に面白くてな」
それでというのだ。
「今もじゃ」
「観ておる、他にも知的生命体がおるが」
「文明を築いている」
「今だ人類の生存圏から遠くにおるがな」
「よく言われていますが実際にいるんですね」
「うむ、彼等も観ていて面白いが」
それでもというのだ。
「人間こそがな」
「一番面白いですか」
「わしにとってはな」
「だからこれからもですね」
「共におってな」
そうしてとだ、クラッカーを食べて話した。
「そうしてな」
「観て楽しまれますか」
「うむ」
はっきりとした声で答えた。
「そうしていく、進歩もな」
「人類の進歩ですか」
「それがまたな」
「いいんですね」
「極めてな」
「そうですか、それでこれからも」
「共におるぞ、時折仕掛けてな」
こうも言うのだった。
「機械龍の様なものを出してな」
「そちらも楽しまれますね」
「そうする、ただな」
「ただ?」
「人間は時折いなくなればとか絶対悪とか言うのう」
「人間自身をですね」
「そうするな」
野上君に問う様に話した。
「そうであるな」
「そうですね」
野上君もそれはと返した。
「創作、特に環境を扱ったSFで」
「時折あるが」
「博士はそうした考えはですか」
「好かぬ、人は悪ではない」
このことは否定するのだった。
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