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イベリス

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第六十八話 午前と午後でその十

「もうね」
「物凄く努力して」
「それでだよ」
「あそこまでなりましたね」
「誰にも文句を言わずに」
「ご自身が努力されて」
「そうしてね」 
 そのうえでというのだ。
「あそこまでなったよ」
「王さんは凄い人ですが」
「努力でね」
 まさにそれでというのだ。
「あそこまでなったんだ」
「如何に努力が大事かですね」
「一番悪いのは何もしてないのに」 
 それでもというのだ。
「勝手に自分がこの世で一番偉いと勘違いして」
「そうしてですか」
「偉そうに文句や揚げ足取りばかりで」
「努力しないことですね」
「こんな人は最底辺まで落ちて」
 そうなってというのだ。
「人の底までね」
「割りますか」
「そうしてね」
「さらに落ちますか」
「堕ちるかな、それでね」
 落ちるではなくそちらでというのだ。
「餓鬼にね」
「なるんですか」
「人として最低まで堕ちて」
 そうなりというのだ。
「そのさらに下までね」
「堕ちて」
「そうなってね、人どころか」
「餓鬼になるんですね」
「こうなったら誰にも救えないよ」
「無理ですか」
「世の中どんな宗教や哲学でも救えない人がいるから」
 部長は話した。
「そうした人がね」
「救えない人ですね」
「何をしてもね」
 例えどれだけ素晴らしい宗教や哲学でもというのだ。
「自分がこの世で偉い、そう思ってふんぞり返って」
「変わらないんですか」
「何を言っても自分が一番偉いで」
 そうした考えでというのだ。
「耳にも入らないから」
「救われないんですね」
「何をしても感謝しないで」
 それでというのだ。
「文句や揚げ足取りばかりだよ」
「それだけですか」
「その宗教のどうでもいいところをわざわざ見付けて」 
 問題点だとその輩が勝手に思うところをというのだ。
「それでね」
「そのうえで、ですか」
「それだけだよ」 
 文句や揚げ足取りばかりだとだ、部長は今度は直接は言わなかった。
「もうね」
「それでも政治家出来るんですね」
「当選したらね」
「あくまで当選したらですね」
「本当に当選したらね」
 それならというのだ。
「民主政治の国だとね」
「政治家になれるんですね」
「そうだよ、昔の国だと王様が選ぶよね」
「お殿様だったりもしますね」
「皇帝とか将軍様とかね」
「そうした人が選びますね」
「けれど民主主義だとね」
 このシステムの国家ならというのだ。 
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