スリムでもスタイルがいい

　　　　　　　　　　　　　　　　スリムでもスタイルがいい
　清水史奈にはコンプレックスがある。
　壱百六拾六の背に黒髪をロングにしていて切れ長の大きなきらきらした睫毛の長い目と顎の先がすっきりした長めの顔に高い鼻と形のいい眉と耳それに小さな赤い唇を持っている。よく美人と言われるが。
　史奈はいつもバツの悪い顔でこう言っていた。
「私別に美人じゃね」
「嘘、史奈美人だよ」
　高校のクラスメイトでバイト先も一緒の友人の柏木春が言ってきた、一五二程の背で丸めの顔と童顔に大きな目がある。茶色の髪の毛をショートにしている。胸が結構目立つスタイルだ。二人は学校の近くの八条バーガーのカウンターにいながら話をしている。
「モデルさん並にね」
「そうかしら」
「スタイルだってね」
「私胸ないわよ」
　自分からそのコンプレックスのことを話した。
「だからね」
「胸？」
「そう、胸よ」
　春のその目立つ胸を見つつ言う。
「それがないから」
「胸、ね」
「ええ、だからね」
「スタイル悪いって言うの」
「そうよ」
「それだったら今度のお休みプール行く？」
　春は史奈の話を聞いてこう言った。
「そうする？」
「プールって」
「そうしたらわかるよ。史奈プール行く？」
「私外で遊ぶながらカラオケとかボウリングだから」　
　そうした場所が好きでとだ、史奈は春に答えた。
「それでね」
「プールは行かないのね」
「行ったことないわ」
「じゃあ今度一緒に行こう」
　春は史奈に明るく笑って言った。
「そうしたらわかるから」
「何がわかるの？」
「史奈が実際にどうかね」
「そうなのね」
「そうよ。あと水着はプールでレンタルも出来るし」
　史奈がプールに行ったことがないと聞いてそれなら水着も持っていないだろうと察してそのうえでこの話もした。