夢幻水滸伝
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第二百五十四話 錬金術師の活躍その十
「まして屠城なんてな」
「されないですね」
「星の方は」
「そうですね」
「まあエカテリーナさんやタゴールさんは敵やと容赦せんけどな」
美蓮もこの二人のことは聞いていて知っている。
「流石に無辜の民には手を出されてへんしな」
「四十万の敵や巨人を生き埋めにしたとか」
「城の敵兵を皆殺しにしたとか」
「そう聞いていますが」
「それでもですね」
「罪のない人には何もされんからな」
この二人といえど、というのだ。
「そやからな」
「だからですね」
「冷酷だと評判のお二人でもそうなので」
「それで、ですね」
「美蓮様もですね」
「そんなことせんわ」
絶対にと言うのだった。
「ほんまにな」
「左様ですね」
「そうしたことはされないですね」
「民に危害が及ぶ様なことは」
「絶対に」
「そうしていくで」
こう言って実際にだった。
美蓮は無辜の民は戦に巻き込まない様にした、ある村が従わないので攻めて降す時彼女は村長に対して言った。
「村人逃がしてくれへんか?」
「何っ、村人を」
「戦わん人をな」
村の入り口にいて三尖刀を持つリザードマンの男である村長に話した。
「村の外にな」
「そのうえで戦うと」
「そや、戦わん人を巻き込んだらあかん」
美蓮ははっきりとした声で答えた。
「そうやさかいな」
「では女子供や老人は」
「早く安全な場所に行かせてくれへんか」
こう言うのだった。
「これからな、それが終わってから戦おうか」
「民に危害を及ばさない様にか」
「そや、そうしたいけど」
「・・・・・・・・・」
美蓮の言葉を聞いてだった。
村長は一旦下がり村人達と話をした、そして美蓮のところに戻ると。
頭を垂れてだ、村人達と共に彼女に言った。
「そのお心感服しました」
「民に危害を及ばさないというそのお考え」
「女子供老人に手を出さないとは」
「それをご自身から言われるとは」
「貴女様ならば安心出来ます」
「統治も大丈夫です」
「そう言ってくれるか、ほなな」
それならとだ、美蓮は笑顔で応えてだった。
そのうえでその村も勢力圏に加えた、そうしたこともあってだった。
福建省は日に日に美蓮の勢力圏下に収まってだった。
遂に省の統一を果たした、官吏達はこのことに喜び美蓮に宴を提案したが。
美蓮は真剣な顔でだ、こう言った。
「それもええけどな」
「何かありますか」
「統一を果たしましたが」
「それでもですか」
「これで終わりやないからな」
こう言うのだった。
「むしろこれからや」
「確かに」
福州の市長が応えた。
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