潰れるに決まってる店

　　　　　　　　　　　　　　　　潰れるに決まってる店
　あるショッピングモールにラーメン屋が出来た、だが。
　モールの常連客達もモールの他の店で働いている面々もその店について顔を顰めさせて話した。
「あれラーメンの値段じゃないだろ」
「一杯千円は流石にないだろ」
「しかも店員は全員マナー最悪でな」
「子連れやお年寄りだとあからさまに邪険にするし」
「車椅子だと無視に近くて」
「お金ありそうだとコロって態度変えて」
「そんな店員ばかりでな」
「店長もふんぞり返っていて」
　店長の話も為された、その店の責任者の。
「俺のラーメンは世界一」
「そう言うばかりでな」
「ラーメン作るだけで」
「他は何もしない」
「あんな店あるか」
「最悪だろ」
　こう話した、そしてだ。
　その話を聞いた地元の大学に通う小此木大地は友人達にだ、大学の中で笑って話した。
「あの店行こうぜ」
「おい、あの店か？」
「あの店評判悪いぞ」
「高いってな」
「店員のマナーも最悪でな」
「店長もふんぞり返ってるってな」
「実際にどんな店か見て確かめたいだろ」
　小此木はどうかという友人達に笑って返した、一七三位の痩せた背で茶色の髪はあちこちにはねている。細面で明るい顔立ちで目は大きい。
　服装は赤や黄色で目立つ、その彼が言うのだった。
「怖いもの見たさだよ」
「それでやるのか？」
「趣味悪いな」
「それで動画とかつべにあげるのか？」
「そうするのか？」
「ああ、俺ゲーム実況専門だから」
　ユーチューブの方はとだ、小此木は笑って返した。
「だからな」
「そういうことはしないんだな」
「そうなんだな」
「ああ、しないよ」
　確かな声での返事だった。
「それでな」
「実際にどんな店か、か」
「行って確かめるか」
「そうするか」
「ああ、そうしてくるな」
　笑って話してそうしてだった。
　彼は実際にその店に行ってみた、すると。
「・・・・・・・・・」
「ちょっと、このお店って」
　一緒に来ている彼女の三瓶静奈が言った、赤髪を短くしていて細い顎の先が尖った顔と大きな丸い目と大きな薄い唇に形のいい鼻を持っている。背は一五八程でジーンズとシャツというラフな服装でも目立つ結構なスタイルのよさが目立つ。