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八条学園騒動記

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第六百七十話 戦い終わって日が暮れてその十一

「面接受けたらね」
「合格したんだな」
「というか募集したの僕だけだったんだ」
 野上君は自分だけだと答えた。
「博士だからね」
「連合最悪の凶悪犯だからな」
「誰も怖がって募集に応じてなくて」
「野上君は面白そうと思ってか」
「僕はね、それでね」
 そのうえでというのだ。
「お給料や待遇もよかったから」
「それも見てなんだ」
「受けてね」
 今度はタロに話した。
「それで面接を受けたら」
「合格したんだ」
「僕一人だったからね」
 募集に応じたのはというのだ。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「採用されて」
「ここにいるんだ」
「そうだよ、力士さんにはなれなかったけれど」
「暮らしていけてるんだね」
「うん、それにね」
「それに?」
「幾ら食べられてもね」
 それでもとだ、ビールをまた飲んで話した。
「力士さんになるって難しいからね」
「それはな」
「物凄くね」
「身体検査を受けな」
「合格しないと駄目だからね」
「馬鹿な人が人買いみたいに太った子を集めてるとか言うけれどね」
「それないだろ」
「流石にね」
「いや、世の中馬鹿な人がいてね」
 胃や腸の部分を食べながら話を続けた。
「太ってる子供にそう言って脅すんだ」
「太ってると力士に買われるってか」
「そう言うんだ」
「それで力士になれるのは滅多にいなくて」
 名のある力士にだ。
「なれないとヤクザ屋さんの付き人とかになるってね」
「若しもだぜ」
 ライゾウはここまで聞いて右の前足を動かしながら話した。
「それ自分の子供に言ったらな」
「後で実際はどうか知るね」
「それで自分の子供に馬鹿にされるな」
「馬鹿なことを言う奴だってね」
「そうなるよな」
「そうした人本当に知ってるから」
 だからだとだ、野上君は骨付きカルビを皿に入れつつ話した。 
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