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おぢばにおかえり

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第七十一話 詰所の中その二十五

「それで他の人もね」
「尊敬出来る人はですね」
「見ていってね」
「そうさせてもらいます。僕の尊敬する人は近鉄の監督だった西本幸雄さんですね」
「あの闘将って言われた人ね」 
 この人のことは私も知っています。
「近鉄だけじゃなくて阪急の監督もしておられたわね」
「あと大毎も」
「そうだったわね」
「今はソフトバンクファンですが」
「昔は近鉄ファンだったって言ってたわね」
「そうだったんで」
 だからだというのです。
「近鉄を優勝させてくれた人ですから」
「尊敬してるのね」
「そのお話を聞いて」 
 西本さんのお話をというのです。
「尊敬する様になりました」
「そうなのね」
「僕他の人に自分を尊敬白とか言う人は軽蔑しますけれど」
「それよっぽど恥知らずな人でしょ」
「親戚にいまして」
「その大嫌いな親戚の人ね」
「そうです、こんなことは絶対に言わないです」
 新一君は確かにそうしたことは言わないです。
「というか尊敬されるとか僕は嫌です」
「どうしてなの?」
「だって背負いますから」
 だからだというのです。
「人の期待や憧れを」
「それが嫌なのね」
「重いですよね、期待に応えるのは」
「それはね」
 私もわかります、期待されてそれを裏切るとその人を失望させてしまいます、そうなると本当に辛いです。私も相手の人も。 
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