展覧会の絵
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第八話 絞首台のかささぎその八
「だから来てもらったのよ」
「そうか。御前が相手してくれるのかよ」
「まあそれでもいいけれどな」
「どっちにしてもそれで楽しめるんならな」
「それならな」
「楽しんだ後でね」
その後のこともだ。雪子は楽しみながら話した。
「お小遣いあげるから」
「ああ、それで焼き肉でも食わせてもらうぜ」
「それか寿司をな」
御馳走もだ。食べるというのだ。そしてだった。
雪子は四人を連れて今度はベッドルームに入った。そこで楽しんだのだった。
このことは由人も雪子も無論四人も誰にも気付かれていないと思った。しかしだった。
十字は全てを見て聴いていた。そうしてだ。
静かにだ。こう言ったのだった。
「悪を極めているね」
「全くですね。ですが」
「悪は確めたよ」
六人のだ。それをだというのだ。
そしてそのうえでだ。こう言ったのだった。
「ただ。裁きを代行するのはね」
「それはですね」
「うん。まだになるね」
そうなるというのだった。
「それはね。ただね」
「ただ?」
「救わなくてはいけないね」
雅、映像の中で穢されている彼女を見ながらだ。こうも言ったのである。
「この娘はね」
「そうですね。ただ悪の裁きを代行したとしても」
「救われることはないから」
雅を見てだ。そのうえでの言葉だった。
「だから。救う為にもね」
「動かれますか」
「そうするよ。それに娘だけじゃないから」
雅だけではなかった。十字が救うべき対象は。
「この娘の心と体に」
「そして前の少女もですね」
「本木さんだったね」
春香のだ。その名前を出したのである。
「彼女も。そして彼等の慰みものになり心も身体も穢されていっている他の少女達もね」
「誰もをですか」
「救わなくてはいけないよ。神は悪の虜になっている弱き僕達を見捨てはしないから」
だからこそだというのだ。
「救わなくてはいけないね」
「ではその為にも」
「動くよ」
それについてもだというのだ。
「ただ。一つ一つね」
「慎重に、ですね」
「そう。一つでもことを誤ればね」
「このことは、ですか」
「誤ってしまうね」
それこそだ。全てがだというのだ。
「だから今回は特に慎重にいくよ」
「そうされますか」
「裁きと救い」
十字はこの二つを共に並べて言った。
「その二つをね」
「はい、果たさなければなりませんね」
「問題は二人だけれど」
その二人とは誰かは。十字にとっても神父にとっても言うまでもないことだった。
そしてその二人のことをだ。十字は神父に述べたのだった。
「彼女達は下手をすれば」
「その時には」
「取り返しのつかないことになるね」
そうなるとだ。十字はその目を鋭くさせて述べた。
「自ら命を絶ってしまうこともね」
「考えられますか」
「自ら命を絶つことは」
即ちだ。自殺はだというのだ。
「何よりも許してはならない」
「はい、神は禁じておられます」
「それはこの世で最もしてはならない罪の一つ」
「ですね」
キリスト教の世界では特にそう考えられている。とりわけカトリックではだ。自殺というものは何よりも許されない罪だからだ。ダンテの神曲でも地獄に落ちているのだ。
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