ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第十一幕その五
「一緒にいる中で」
「それで五十年六十年と育てて」
「立派なものにしていくんだね」
「その愛情を」
「結婚まで至ったそれを」
「是非ね、そうしてね」
そうしてというのです。
「素晴らしい愛情を皆で祝福するんだよ」
「それがダイアモンド婚式だね」
「六十年お二人で育てた愛情をお祝いする」
「そうしたものでもあるんだね」
「そうなのね」
「そうだよ、だからね」
それ故にというのです。
「皆でお祝いしよう」
「その通りだね、あと僕はね」
王子はここでにこりとして先生に言いました。
「先生の結婚式、ダイアモンド婚式もね」
「僕のかい?」
「そちらもね」
笑顔で言うのでした。
「お祝いしたいよ」
「ははは、僕の場合はね」
「ないっていうんだね」
「僕程恋愛に縁がない人はいないよ」
先生はこう言うのでした。
「だからだよ」
「やっぱりそう言うね」
「生まれてからもてたことはないんだよ」
それこそ一度もというのです。
「だったらね」
「これからもなんだ」
「皆は色々よく言ってくれるけれど」
「それでもなんだ」
「もてることはね」
本当にというのです。
「ないんだよ」
「だからこれからもだね」
「結婚どころかね」
「恋愛がだね」
「ないよ、ましてや政略結婚とかね」
「そうしたことはだね」
「僕みたいな一介の医師そして学者にはね」
とてもというのです。
「学閥とも無縁だしね」
「先生そうしたものに興味ないね」
「全くね、地位や権力はすぐに消えてなくなるよ」
そうなるものだというのです。
「だからね」
「それでだね」
「そうしたものについてはね」
「興味がないね」
「そうだよ」
全くと言うのでした。
「そうしたものはね」
「地位も権力も」
「簡単に失うよ、そして永遠にあるか」
「そうでもないね」
「どちらも非常に移り変わりやすいよ」
「そんなもので」
「反権力と言ってもその権力もね」
本当にというのです。
「まさに流転する」
「そんなものだね」
「そうだからね」
「興味はないんだね」
「地位や権力は何かをする為のものでね」
「自分の思うことを実現する?」
「そうしたものでね」
そうであってというのです。
「それだけを求めるなら」
「意味はないね」
「そしてそれ以上にね」
先生はさらにお話しました。
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