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夢幻水滸伝

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第二百五十二話 広州沖の海戦その十三

「自分等だけやなくな」
「この世界の誰もがですね」
「そうなることや」
「自分だけが贅沢を楽しめば」
 紅美は眉を曇らせて話した、今はフカヒレスープを飲んでいる。
「殷の紂王ですね」
「今の酒池肉林の人や」
「そうですね」
「ほんまかどうかわからんが」
「史書にあることでは」
「中央は酒池肉林を楽しんでな」
 そうしてというのだ。
「民を苦しめた」
「自分だけが楽しんで」
「贅沢三昧どころやない生活をしてな」
「そうですね」
「あんなんしても楽しいか」 
 施は紅美に問う様に言った。
「果たして」
「民を苦しめて自分だけが贅沢をする」
「そんなんしてな」
「そうした趣味はないですね」
「自分等にはな」
「そうですね」
「欧州の連中も贅沢はしてもな」
 それでもというのだ。
「ちゃんとや」
「民を楽しませてますね」
「その暮らしをよおする様に努力してるな」
「それも全力で」
「それを見るとな」
 まさにというのだ。
「どの星のモンも紂王とちゃう」
「一人だけ贅沢はしませんね」
「そもそも民を苦しめて自分だけ贅沢に溺れる様な奴が世界を救えるか」
 施はまた問う様に言った。
「果たして」
「自明の理やな」
 郭が言ってきた。
「もうそれは」
「そやな」
「ああ、そんな奴に何が出来る」
「人を苦しめて自分だけがええ目を見る」
「少なくともその国が荒廃するわ」
「そして普通は滅ぶわ」
「そや、紂王も滅んだ」
 その彼もというのだ。
「そうなった」
「そやったな」
「今もそうした奴出てるが」
「世界のあちこちにな」
「チャウシェスクなんてましな」
 そのレベルのというのだ。
「洒落ならんのがアフリカとかになんぼでも出た」
「それで国滅茶苦茶にしてるわ」
「そして大抵は破滅してる」 
 その最期はというのだ。
「それを見たらな」
「ありのままでな」
「そんなアホな贅沢はな」
「せんに限るな」
「ほんまにな」
「というかです」
 白は韮餅を食べつつ言った。
「そうした贅沢は楽しいのか」
「自分だけ国庫を空にしてな」
「民を苦しめてまでして贅沢をして」
「わからんな」
「そうですね」
「所詮飲んで食ってな」
 施は自分達の考えをありのまま話した。
「そして満足したらな」
「それでええですね」
「今自分達が食べてる広東料理もや」
 これもというのだ。 
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