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夢幻水滸伝

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第二百五十二話 広州沖の海戦その七

 そのうえで戦死者達の復活も行った、それは郭達が回収しきれなかった彼等の軍の将兵達についてもだった。
 それを行ってから広州に向かったが。
 郭は広州を囲む敵軍を見て周りの者達に問うた。
「福建そして江西からもか」
「敵軍が広東省に入っています」
「そうしてきています」
「そして広州に迫ってきています」
「そうしてきています」
「これは負けるな、厦門で防ぐつもりやったが」 
 要塞化していたこの街でというのだ。
「施はいきなり広州に来たさかいな」
「予想外でした」
「まさか海から上陸してくるとは」
「厦門攻略から潮陽等を伝い来ると思いましたが」
「いきなりそうしてくるとは」
「思わんかった、しかも海戦で負けた」
 このことも言うのだった。
「ほんまにな」
「予想外でした」
「我々の読みを超えていました」
「既に広州は囲まれています」
「何時攻撃がはじまってもおかしくないです」
「暫くは防げるが」
 それでもとだ、郭は述べた。
「施達が来て敵の援軍が到着したらな」
「防ぎきれないですね」
「その時は」
「最早」
「そや、それで広州を陥とされたら広東省の大部分を失うわ」 
 そうなるというのだ、
「江門とかも攻め落とされていってな」
「そうなりますね、間違いなく」
「だからですね」
「広州を攻め落とされますと」
「そうなってしまいますね」
「そうなると海南省と壮族自治区だけになるが」 
 郭達の残された勢力圏はというのだ。
「そこまでなるとかなり追い詰められる」
「はい、間違いなく」
「そうなってしまいます」
「広州を失うと」
「これは勝負あった」
 郭は観念した様に言った。
「降伏の用意や、僕が施達のところに行って来るわ」
「そうしてですか」
「降伏を申し出られますか」
「そうされますか」
「そうするわ、他のモンには一切手を出させん」
 周りの者達だけでなく民のことも言った。
「そやからな」
「行かれますか」
「郭様ご自身が」
「そうされますか」
「そうしてくるわ」
「お一人ではありません」
 美蓮がここで郭に言ってきた。
「同じ星の者としてです」
「一緒に来てくれるか」
「あきませんか」
「いや、そうしてくれると嬉しい」
 郭は素直な笑みで応えた。
「僕もな」
「それではですね」
「そや、二人で施達のところに行ってな」
「降りますか」
「勝敗が見えてこれ以上戦うことはないしな」
「では民と土地の安全をですね」
「願い出るで」
 こう言ってだった。
 実際に郭は美蓮と共に施に降伏を申し出て自分達自ら彼と会って話をすることに決めた。即座に施にその話をした。 
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