ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第九幕その六
「いいでしょうか」
「はい、どうぞ」
店長さんは先生に微笑んで答えました。
「実はずっとお店の倉庫にありまして」
「そうだったんですか」
「いい加減売りに出そうと思いまして」
それでというのです。
「出しました」
「そうだったんですね」
「実は平成の頃に腕のいい職人が造ったもので」
「平成ですか」
「平成元年に」
その時にというのです。
「造られたものでして」
「それで、ですか」
「多くの人に使われていって」
「このお店に来たんですか」
「それが五年前で」
それでというのです。
「五年の間倉庫に置いていまして」
「先程お話した通りですね」
「ですが倉庫も一杯で」
「だからですか」
「売りに出しました」
「そうしたものですか」
「しっかり手入れされていますので」
店長さんは先生に笑顔でお話しました。
「電池を入れたらちゃんと動きますよ」
「そうですか」
「しかもタイマーを設定しましたら」
そうしたらというのです。
「その時間になりますと」
「鳴るんですね」
「はい」
そうだというのです。
「しっかりと」
「そうなんですね、ではです」
「置時計買われますか」
「そうさせてもらいます」
先生は一も二もなく答えました、こうしてです。
置時計を買いました、そうしてお家に帰ってです。
晩ご飯の時にトミーそしてお呼ばれした王子とお静さんににそのことをお話しました、すると王子がここで言いました。
「意外なところで決まったね」
「うん、探していたけれどね」
先生も応えます。
「商店街を歩いていたらね」
「それで見付けたよ」
「そうなったね」
「正直まだ探すと思っていたよ」
「結構時間かかるともだね」
「覚悟していたけれど」
それがというのです。
「まさかね」
「今日見付かるなんてね」
「予想していなかったよ」
こう言うのでした。
「僕もね、ただね」
「これで買えたね」
「中華街で買った扇子と」
それにというのです。
「そのね」
「置時計をだね」
「ご夫婦のプレゼントにするよ」
「そうするね」
「もうそれが決まったよ」
完全にというのです。
「よかったよ」
「何よりだね」
「いや、探しものは身近にあるものね」
お静さんも言いました。
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