お笑い芸人の苦労
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第一章
お笑い芸人の苦労
佐藤直美の弟の利光は八条芸能に所属しているタレントである、一応はお笑い芸人ということになっているが。
赤くした髪の毛をパンクの様にしていて派手なファッションとハート形でラメ入りの縁のサングラスといった格好だ。背は一七〇位でいつもハイテンションだ。
その彼にだ、直美は実家に帰った時に言った。直美自身は大きな黒目がちの目で茶色がかった黒髪を後ろで二つに束ねている。口元は明るく色白で頭は小さい。背は一五六位でスタイルはよく職業は銀行員だ。
「あんた今何やってるのよ」
「事務所の喜劇に出てるよ」
「大阪の劇場でよね」
「ああ、そこで毎週な」
そのファッションのまま姉に答えた。
「そうしてるよ」
「じゃあ役者さん?」
「お笑い芸人だよ」
利光はそこは断った。
「ハイバークレイジーマンっていうな」
「相変わらず凄い芸名ね」
「そうだよな、俺もそう思うよ」
「それで劇場の舞台でもそのファッション?」
「それでやる芸もだよ」
「身体使った自爆芸ね」
「そこにさらにな」
利光はここでだった。
両手を某漫画のサバラの手、歌舞伎の鬼の手親指と人差し指と小指を立てさせたそれにして顔に向けさせて言った。
「メ~~~ンってな」
「ジェスチャーもなの」
「入れて決め台詞なんかもな」
「やってるの」
「元総理のお孫さんみたいにな」
「そういうのもやってるのね」
「それでラップだってな」
音楽の話もした。
「やってるよ」
「ラップ!?」
「マネージャーとカラオケ行ったら歌上手って言われてさ」
それでというのだ。
「前からそっちもだよ」
「やってるの」
「そうなんだよ、同じ事務所の歌手の人のコンサートのゲストなんかでもな」
「歌ってるの」
「そうなんだよ、あとな」
さらにあった。
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