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おぢばにおかえり

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第七十話 詰所はお家その三十二

「哺乳類でもお酒は」
「人は飲むけれど」
「犬や他の生きものには毒だったりしますから」
 だからだというのです。
「このこともおかしいです」
「そうなのね」
「僕はツチノコはいないか妖怪かと」
「妖怪?」
「妖怪というか幽霊見たことあるんで」
 だからだというのです。
「否定しません」
「そうなのね」
「はい、食堂で一週間前に亡くなった人見たんです」
「食堂で?」
「笑顔でお話してました」
 そうだったというのです。
「あの人確かって思って」
「そんなことあったの」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「僕は幽霊は否定しません」
「真一君幽霊も見たことあるの」
「実はそうでして」
「妖怪も否定しません」
「それでツチノコは妖怪となのね」
「考えています」
 こう私にお話してくれました。
「実は」
「ツチノコは妖怪ね」
「そうです」
 そう考えているというのです。
「野槌という妖怪もいますし」
「そんな名前の妖怪もいるの」
「山には。口だけの顔で蛇に似た身体の」
「蛇ね」
「この妖怪みたいなのかと」
 こう私に言いました。
「ツチノコは」
「そうなのかしら」
「僕はそう思います。それで詰所に帰りましたね」
「ええ、何か色々お話したわね」
 私は新一君に微笑んで応えました。
「それで帰ってきたわね」
「そうですね、じゃあ僕これからお墓地に行きますから」
「じゃあまたね」
「はい、またお会いしましょう」
 最後はこうお話してそうしてでした。
 新一君は私にお別れの言葉を言ってからお墓地に向かいました、私はその新一君を見送ってから詰所に入りました。今のお家に。


第七十話   完


                2021・4・2 
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