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夢幻水滸伝

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第二百四十九話 義侠心を胸にその一

                第二百四十九話  義侠心を胸に
 菖紅美はこの世界に来てすぐに声からこの世界のことと自分や他の者がこの世界で何をすべきかと聞かされた、そうしてだった。
 では最初に何をしようかと思っていると丁度目の前にだった。
 喧嘩を見た、若いオークとコボルトの男が殴り合いをしていた、そうしてだった。
 紅美は無意識のうちの喧嘩のところに行って止めに入った。
「止めて下さい」
「!?は、はい」
「わかりました」
 男達は紅美のその気配を見てだった。
 慌てて喧嘩を止めた、そうして平伏する様に言った。
「いや、ついです」
「ちょっとした言い合いからそうなりました」
「ですが今止めましたので」
「お許し下さい」
「私を見て急に止めましたが」
「それは当然ですよ」
 喧嘩を見ていた群衆の一人である山羊人の老人が言ってきた。
「貴女の気は尋常ではないですから」
「そやからですか」
「はい、貴女は只者ではないですね」
「星の者とのことですが」
 紅美は老人に顔を向けてありのまま答えた。
「私は」
「そうですか、まさに神の様な」
 そこまでのというのだ。
「気ですので」
「それを発していますか」
「わしが見てもわかります」
 老人がというのだ。
「貴女が並以上の方ではないと」
「気がそこまで大きいですか」
「左様です、それで貴女は星の方とのことですが」
 老人は紅美にあらためて言ってきた。
「この世界を救って頂けますね」
「それが私の使命とのことですね」
「そうです、ではどうして世界を救われますか」
「今この世界に来たばかりで」
 それでとだ、呉に美は困った顔で答えた。
「まだ具体的にはです」
「何もですか」
「思いつきません」
「そうなのですか」
「はい、私は種族はバーバリアンで職業は義賊ですが」
 こうしたことはわかっているがというのだ。
「そやけどです」
「これから何をされるかは」
「まだです」
 これといってというのだ。
「わかっていません」
「そうなのですね」
「どうしたものか」
 老人に考える顔で述べた。
「まだわかりません」
「ではです」
 老人は紅美の言葉を聞いてだった、彼もまた考える顔で答えた。
「貴女は先程義侠心のままに動かれましたね」
「喧嘩を止めたことですか」
「はい、義賊はそうした職業です」
「義侠心のままに動くのですね」
「盗賊に近いですか」 
 職業としての特性はというのだ。
「義侠心を重んじかつ盗賊と比べて強い武器も持ちやすい」
「そうした職業ですか」
「そうです、兎角義侠心に重きを置いています」
「そうした職業なので」
「ここはその義侠心の命じるままにです」
「動くことですか」
「そうされてはどうでしょうか」
 こう話すのだった。
「貴女は」
「義侠心に命じられるままですか」
「それこそが天命だと思われて」
「そうですか、ではです」
 紅美は老人の言葉に頷きそうしてあらためて述べた。 
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