肉屋に来る猫達
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第二章
マナービはどうかという顔になりそのうえで親父に問うた。
「あのこの子達はお店の」
「ああ、野良だよ」
あっさりとだ、親父は笑って答えた。
「この辺りのな」
「そうですか」
「あんたもムスリムだろ」
「はい」
この問いには即座に答えた。
「それは」
「ならわかるよな」
「猫は大事にせよ」
「ムハンマドも言われてるだろ」
「その通りです」
「勿論俺達もムスリムさ」
親父は明るく笑って話した。
「トルコはイスラムの国だからな」
「そうですよね」
「だからな」
「猫は大事にされていますか」
「それでだよ」
「彼等に毎日ですか」
「肉をやってるんだ」
そうしていると話した。
「こうしてな」
「そういうことですね」
「信仰を抜いてもな」
例えそうしてもというのだ。
「俺達三人共猫は好きでな」
「それで、ですか」
「切れ端の売りものにならないものでもな」
そうした肉でもというのだ。
「毎日やってるんだよ」
「そうですか」
「ああ、この時間になったらいつも来るからな」
「そうでしたか」
「ああ、毎日この時間に来るんだよ」
そうなっているというのだ。
「それでやってるのさ」
「そういうことですか」
「ああ、この時間に来たらな」
店にというのだ。
「あんたもこいつ等に会えるからな、猫が好きならな」
「来ればいいですね」
「そうだよ、どうだい?」
「忙しくない時はそうさせてもらいます」
笑顔で応えてだった。
マナービは実際に別に忙しくないとこの時間に肉屋に来る様になった、そして肉を買ってであった。
そうしてだ、店に来て肉を食べる猫達を見て楽しんだ。実は猫好きである彼もその光景を楽しみにするのだった。
肉屋に来る猫達 完
2022・7・26
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