ドリトル先生のダイヤモンド婚式
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第四幕その七
「就職して同じ職場で知り合いまして」
「うちの人が一年先輩でして」
「それで仕事のことを教えているうちにです」
「仲がよくなりまして」
「それで一緒に住む様になって」
「結婚しました」
「あの時は何もなかったですね」
ご主人は笑ってお話しました。
「古いアパートに二人で住みはじめて」
「テレビがなくて」
そしてというのです。
「冷蔵庫も洗濯機もなくて」
「そんな中ではじまって」
「子供が生まれまして」
「自転車を買って」
「それからテレビや冷蔵庫も買って」
「洗濯機も買ってでした」
お二人で懐かしいものを見る目でお話しました。
「前のお家を建てて」
「ローンが大変でしたけれど」
「免許も取ってです」
「車も買いました」
「それで孫も生まれて」
「地震もありましたけれど」
「曾孫も生まれてです」
そうしてというのです。
「気付けば六十年です」
「今はパソコンもスマートフォンも持っています」
「もう車の免許は返しましたが」
「こうしてです」
「一緒に暮らしています」
「幸せに」
「子供は息子が二人、末に娘がいて」
今度はお子さん達のお話をしました。
「三人共結婚しまして」
「孫は七人います」
「三人共子供が出来てです」
「それで皆結婚しまして」
「曾孫は十人です」
「皆大きくなっています」
「どの子も色々ありましたけれど」
それでもというのです。
「皆今は健康です」
「真面目に暮らしてくれています」
「ヤクザにもならずに」
「ちゃんと働いて生きていてくれています」
「それは何よりですね」
先生はご夫婦のお話を聞いて笑顔で言いました。
「お子さん達もそうですと」
「はい、色々ありはしました」
「六十年の間に」
「震災があったり子供や孫が大きな怪我や病気をしたり」
「私達にもそうしたことがありました」
お二人にもというのです。
「怪我をしたり大きな病気をしたり」
「喧嘩をして離婚も考えたり」
「仕事のことで悩んだり」
「親戚の揉めごとに巻き込まれたり」
「生きていると何かとあるからね」
お静さんはそれはと答えました。
「順風満帆に見えてもね」
「色々あったよ」
「本当にね」
ご夫婦はお静さんに親しく応えました。
「危ないこともあったわ」
「何度もね」
「詐欺師に声をかけられたり」
「近所にヤクザ屋さんが来たりね」
「孫がいじめに遭ったり」
「別の孫が事故を起こしたり」
「曾孫の娘がぐれた時期もあったり」
お二人で過去のことを思い出してお話します。
「思い出すとね」
「厄介ごとも多かったわ」
「お互いの親も亡くなったし」
「お葬式もあったから」
「一緒になってから」
「六十年の間にね」
「そうよね、そして楽しいことや嬉しいこともよね」
お静さんはこちらのお話もしました。
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