人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった
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26話 調和率100兆%
『0』
その数字が俺たちスクールアイドルAqoursの得た得票数だ。0、すなわち誰もAqoursを投票していないのだ。確かにネットだけの得票数となると自分の応援しているスクールアイドルに投票するのは普通だ。そのことを伝えていなかったということも考えると、ある意味それは必然の出来事なのかも知れない。
Aqoursはステージに上がって演技できなかった——————————それもあるだろう。ステージで挽回するのがそこでは唯一の逆転方法だったのだ。だが、それすらも運命で阻まれてしまう。
分かっていた事実だろう。だが、あまりにやり過ぎだ。残酷すぎる。———————————————間違いでもいいから1票でも入らないのだろうか?地元で沼津の人々は知ってくれてはいないのだろうか?
太陽にどれだけ電車の窓越しにそれを問うても、いつも通り無言だけが返される。
ああ................どんな顔してんだろう。俺。
「私はよかったと思うけどなっ♪だって、精一杯やったんだもん。精一杯頑張って努力して東京に招待されたんだよ?それだけでもすごいと思う!」
俺は知っている——————————————俺が知っているのだから、曜はもちろん常識中の常識のように知っているのだろう。千歌特有の癖だ。いつも自分が悲しくて、悔しいどうにもならない時は絶対に歯を食いしばって言葉を発する。生物学的な話で言うと、人間はそのような状態に陥るとどうしても湿った声になってしまうものだ。
軽く話す友人ならば、このようなことは気づかないだろう。俺も千歌でなければ気付いていなかった。そう千歌の悪い癖だ——————————
「みんなで頑張ったんだから、ステージに立てなくてもそこに行くことに意味があるんだよ。でしょ!?」
「それは...............」
「だから、胸張っていいと思う!」
「千歌—————もう『千歌ちゃん————!』
「ん?」
「千歌ちゃんは悔しくないの——————————!?」
「「「「「——————!」」」」」
「はっ—————!」
俺の中で曜は半分怒って、半分悲しんでいるように見えた。怒り—————千歌のその心の痛みを隠し通そうとするその心根。悲しみ———————それこそ千歌と同質のそれである。
でもその言葉は俺も言い出そうとして言えなかった。それこそ空気を悪くしかねない。言葉というものは悲惨にも仮面ライダーですら敵わないくらいに強い言葉というものも存在するのだ。実際にルビィ、花丸、善子、梨子、虎太郎、竜介先生がその沈黙を破ったこともその驚きの元凶だろう。
「悔しくないの———————!?」
「曜..................」
「そりゃぁ—————ちょっとは。でも招待されただけでも、それだけでも満足だよ。私は——————嬉しかっ『やめろ!!』
「才君?」
「無理するなよ。本当は誰よりも悔しがってるくせに。」
「才君————そんな言い方」
「少なくとも満足できるライブじゃなかった。そんなのここにいる全員がわかってるのに。Aqoursの発起人のお前が悔しがらないはずがない。」
「——————————」
「そんなことすらもできないんだったら、本当にスクールアイドルなんてやる価値もない。」
「———————————」
淡々と機械のように喋る俺の顔は感情豊かなのだろうか?いや、それはあり得ない。それならば視界に映る千歌以外の人間が神妙な面持ちで畏怖するはずはないだろう。やっぱりあの死んだ目の表情なんだろうか———————————転生前の出来事はもうほとんど覚えていない。あっちの世界でもそもそも俺がいたという概念すら無くなっているだろう。でも、これだけは残ってしまった。
純粋な心——————————オーマジオウにそんなことを言われた。
純粋だからこそ、人生をコンティニューしようと考えたのだ。転生するかしないかの話じゃない。
—————※—————
「ふぅ、戻ってきた〜」
「『やっとずら』って言えるずら〜!」
「ずっと言ってたじゃない!!」
「ずら〜!!!!!」
『『『おーい!!!!!!!!おかえり〜!!!』』』
「みんな—————!」
沼津駅———————今日1日が激しく物事が蠢いたがために、この駅自体に懐かしさすら感じられる。竜介先生が勝手に金を使ったことに腹を立てていた昨日の朝がまるで3ヶ月前ぐらいに感じられる。
でも風景はなにも変わっていない。こうして出迎えの友がいるという事。なにも変わってはいないのだ。
「無事そうで何よりだよ!!東京の街がとんでもないことになってたからさ!」
「まぁ............なんとか。」
「ステージには間に合った?ステージでパフォーマンスできた?」
「それは.............まぁ、その——————」
「じゃあ!このままラブライブ出場できるんじゃない!?」
「え————————!?」
学友から出される期待の言葉の数々——————————これは苦しめる期待だ。そしてもうすでに期待を裏切るような結果は出てしまっているのだ。
千歌はステージに上がれなかった事。それを踏まえていても『0』だったことを適当にはぐらかそうとするが、1番の希望を出された途端に凍りつく。それはそうだ。はぐらかすというのは事実を口にしていないだけで、嘘は吐いていない。でも大きすぎる希望をはぐらかすというのは、いくら何でも不可能だろう——————
話に詰まったそこで、ルビィの姉—————ダイヤが迎えに来る。何か察しているのだろうか———————?
「おかえりなさい、ルビィ。」
「お姉ちゃん.....................」
ルビィを抱きしめるダイヤ。肉親だからだろうか、他人の俺でも懐かしく見えてしまう。ルビィは今にも泣きそうだ。
泣いてもいい。泣いてもいい。お前らは完全なる被害者だ。泣くのが当然だ———————!
月明かりに照らされて見覚えのあるシルエットが浮かび上がり、こちらに迫って来る。女性にしては高い身長だ。そう——————よそよそしく居る鞠莉と果南であった。もちろん、よそよそしいのは果南の方だが。
「リョウから伝言受けたわ—————————災難だったわね。」
「災難ってレベルじゃねぇよ。人は無事だけど、建物と傷ついた記憶は変えられなかった。」
「でも全員無事で何よりだよ。」
「ああ.............鞠莉、魁から連絡あったか?」
「魁から?というよりあなたに私のブラザーを紹介した覚えないんだけど?」
「知らないなら良い。」
『いや、よくないさ!!』
「!!!」
後ろに誰が居るか?この多人数の1番背後に誰が居るのだろうか?それはこの憎たらしい声音と口調で一瞬で理解できる。その男は浦の星の生徒からみちを作らせて、俺、ダイヤ、千歌のによって形成された半円の中心になる。
「小原兆一郎——————」
「君に与えたあの力、気に入ってくれただろうか?」
「そんなわけないだろ。」
「サウザー!!!何しに来たんだ!!」
「君たちに伝えたいことがあってね———————!」
「伝えたいこと?」
千歌が少し暗めに話すことは対照的にサウザーは好機嫌のように話している。そのことに関しても非常に腹立たしい。果南やダイヤは少しばかり構えている。もちろん初対面でこんなにもあつかましい人間ならば、わからないでもないがそれにしては警戒しすぎているように思える。一方の鞠莉は、別の意味で構えていた。まるで怖がっているかのような警戒の仕方だ。
「忌まわしきスクールアイドル及びラブライブは———————————今日をもってその愚かな歴史に幕を閉じる。」
「は?」
「幕を..................」
「閉じる!?」
「どういうことだ!?」
「そのままの意味です。今日をもってラブライブは廃止、スクールアイドルは原則設立を禁止になった—————————!」
「え?」
「今日の東京における建物の大量破壊—————————————その実行者はスクールアイドルのファンの暴徒化によって発生したことだ!!」
「何ですって!?」
「彼らは持っている知識を最大限駆使して、我が社が売り出している自衛武器を裏取引で購入し、さらには自衛隊における武装ロボをハッキングし、軍用ヘリや戦闘機で東京の都心を破壊し尽くした!」
「このようなことが起これば、当然世論は黙っていない。すでにラブライブの中止を求める声は全国で上がり始めている!!スクールアイドルがある学校は軒並み苦情の電話が押し寄せているそうだ..............」
「もうすでに浦の星にも電話が鳴り止まぬことでしょう———————生徒数云々ではない。今すぐスクールアイドルを解散せよという正義の声が———————!」
「正義の声——————?お前............本気で言ってるのか?」
「ああ!やがてリアルであるが故に暴動を起こしかねないスクールアイドルというモノは求められず、仮想上のモノが求められていくだろう———————!」
「モノ?———————————お前今何て言った?」
「スクールアイドルは道具だと言ったんだよ。」
「ふざけるな......................ふざけんな!!全部——————お前が始めたことだろ!?!?」
「全部?どういうこと?」
「俺は見ていた。怪人になるのは、暴徒化していたのは!全員眼鏡をかけていた奴だった!!お前の言ってるオハラスペックってやつだ。お前が仕込んだんじゃないのか!?お前がそのオハラスペックってやつを意図的に暴走させて、人々を怪人に変身させたんじゃないのか!?!?」
俺でも感情が表に出ているとよくわかっていた。でもこれは俺の導き出した結論だ。オハラスペックを操ることができれば、催眠や怪人化などをできるプログラムさえ仕込んでおけばそんなことは容易にできるからだ。
「東京を破壊することで——————新しいお前だけの世界で人々を意のままに操る。そのためにスクールアイドルが邪魔だった。違うか?」
「さすがは世界随一と呼ばれる天才伊口才か————————察しのいい探偵でもここまで仮説をを立てるのは難しいというものだ。」
「じゃあやっぱり————!」
「ああ、そうだ!私のプランにはどうしてもスクールアイドルが邪魔だったのさ。だからこそ、ファンに対しての憎悪を抱かせスクールアイドル全体への忌避を世論に助長させるために東京を破壊したのさ。破壊すれば、我がオハラエンタープライズが援助するという名目でプランの遂行が加速されるからね。」
「テメェ!」
「全く——————脳筋はこれだからいけない。いくらテクノロジーが進化しても君のような人間は時代の流れに取り残されるだけだ——————!」
「ぐっ————!」
サウザーは激昂する竜介先生を腹パンで治める。少し後退りするが、さすがは筋肉を鍛えているだけあって大して苦しまなかった。
「そんな—————」
「身勝手な計画のために全国のスクールアイドルを............!」
「人の心配をしている時間はないんじゃないか!?」
「「「「「「!?」」」」」」
「私はこの内浦を新世界開発の足掛かりにする—————!」
「え!?」
「やめろ!!!千歌聞くな!!」
「この学校が廃校になった暁には—————生徒及びそれによって失われる雇用者に《《奴隷労働》》をさせる!!!!」
「え——————?」
「奴隷——————」
「労働?」
「——————そんな...........」
「そんな暴挙が許されるわけ—————!」
「あるさ!中学卒業程度に成り下がる君たちをわざわざ働かせてあげることに感謝されるだろう—————!」
「でも開発などしてしまえは、みかん農家や漁師の方々が職を失います!!」
「無論、彼らにも死ぬまで働いてもらうよ。どの道内浦の家屋のほとんどを取り潰さなくてはいけないからね。」
「そんな————————」
——————————知られたくはなかった。そんなのみんなが知るには荷が重すぎる。そんな外道——————あんな男の考える理想論なんて聞いて欲しくない。けど、それはもうあと一押しで自然に完成してしまうようなものだ。それを知られない方がおかしい話ではあるが————————
「スクールアイドルだけが邪魔者だった——————私の計画にはそんな内浦の重要性をアピールするようなものが1番邪魔だった。だが———————得票数0なのでは、私の脅威ですらない——————」
「もうこれ以上何も言うな!!」
「君の謀略の説明は懲り懲りだ————!」
「アンタは————ここで絶対に止める。」
「お、オイ!—————みんなこの場から離れろ!!」
サウザーはバグヴァイザーでバーニアバグスターと仮面ライダーマルスを召喚する。どうやらダークライダーのデータをバグスターウィルスで再現しているようだ。もちろん意思はないのだろう。
皆は怪人が現れたのを実物を見てようやく分かったのかようやく俺の指示に従って逃げ惑う———————残ったのはAqoursメンバーとダイヤと鞠莉と果南だけであった。
「全く————————世話の焼ける連中だ.............!いいだろう。どうせ君らでは私に勝てない。」
「うるせぇ!!」
「ちょっと勝手に——————!」
≪ボトルバーン! クローズマグマ!≫
≪キカイ! アクション!≫
≪ハイパームテキ! ドッキーング!≫
≪BREAK HORN!≫
「「「「「変身(!)」」」」」
≪投影! フューチャータイム! デカイ!ハカイ!ゴーカイ! フューチャーリングキカイ!キカイ! ≫
≪極熱筋肉!クローズマグマ!≫
≪パッカーン! ハイパームテキエグゼーイド!≫
≪ THOUSER is born. Presented by “OHARA” ≫
5人の仮面ライダーが変身する———————サウンドがこの中では地味ながらも確実にその中の暗黒は変身を完了していた.....................
「行くぞ————————またかよ.........!」
「—————————」
「アルティメットクウガの闇はベルトそのものに宿っている——————もうクウガはアークの意思には逆らえない!」
「俺がアルティメットクウガを止めるしかない———————お前らは、サウザーをどうにかしてくれ!!」
「リベンジマッチだ!!覚悟しろ!!」
「フン!」
クローズのサウザーへのスイングパンチから、戦闘のゴングが鳴る。
俺はすでに進み始めていたアルティメットクウガを蹴りで奥へと押しやり、あちらのバトルの邪魔をしないようにする。それにクウガは反応して、暗黒波動パンチを俺に喰らわせる。
短い期間の解析ではあったが、クウガのアルティメットクウガにはプラズマ操作による自然発火能力があるらしい。それを防げるのは本当にごく僅かだろう。もちろんムテキはその範囲内に入っているのだが。
スペックは解析で前回のアルティメットクウガのスペックを上乗せできているので上回っている。だが、前回までのアルティメットクウガのスペックの1.2倍ほど上昇している。アルティメットクウガもまた変身するごとに強くなるのだろうか...........?
その威力も強化されていて、威力が高ければその分ノックバックは大きいのだ。そのパンチは俺がギリギリ千歌の手前まで迫るほどだ。
「才くん!」
「大丈夫だ。虎太郎の運命は俺が変えて見せる..........!」
「—————————————」
≪パーフェクトパズル!≫
パーフェクトパズルを起動する。エナジーアイテムは何かと便利であり、俺のムテキの弱点を少しばかりカバーしてくれている。
これで楽に攻略できればいいけど.................
〜〜〜〜〜〜〜〜
「今度は少し戦法が違うよ?」
「戦法が少し変わったところで100兆%の敵ではない!!」
キカイの力はシノビとは打って変わってパワー・火力重視である。その代わりスピードがシノビよりも落ちると言ったところか。
サウザーがサウザンドジャッカーで切り込むが、びくともしない。さすがはキカイの装甲である。そこで深く攻め込みすぎたことをいいことに急いでジカンデスピアの槍をゼロ距離で喰らわせる。その力があまりに強いのか、大きくノックバックを受ける。
フックのついた鎖を使って再びサウザーをこちらに引き寄せて、再び重たい槍を喰らわせる。
しかしそう上手くはいかないもの、ここでサウザーが再び攻めに入ろうとするが——————
バン!
「全く...........油断するな!」
「稜君————!ありがとう。助かったよ!」
「さぁ行くぞ!」
ノブナガ魂を再び手に入れていたスペクターはガンガンハンドの銃モードで、サウザーを撃つ。その隙に重たい一撃をサウザーに与える———————近接戦法と遠距離戦法を組み合わせる。これほど有効な戦い方はないのではないか?
一方のクローズは一進一退を繰り広げたウォズとは違って善戦していた。確かにバーニアと仮面ライダーマルスという2対1ではあるものの、その勢いと何より初期値が違いすぎるが故に押されまくる。
バーニアのミサイルをビートクローザーで切り落とす。そしてマルスの剣を受け止めて、盾でガードできていない部分を蹴る。マグマに染まるビートクローザーはより威力を増してその2人を切りたくる。
≪ヒッパレー! ヒッパレー! ミリオンヒット!≫
ミリオンヒットのそのマグマを纏った剣をその2人の体を切り裂きまくって、サウザーの位置まで追い詰める。
「よし!一気に決めるぞ!!」
「ああ!」
≪フィニッシュタイム! フルメタルブレイク!≫
≪Ready go! ボルケニックアタック!≫
≪ダイカイガン! オメガスパーク!≫
無数に生成された銃が3人に対して火を噴く。もちろんダメージは入っているが、サウザーには大したものではない。だからこそ2段3段を用意しておくのだ。
槍モードによる時計の残像の必殺技。それも3人に喰らいはしたものの、大したものではない。今だ———————!
サウザーをフックが捕らえる。それは勢いよくこちらに引き寄せられる。そこで最大火力——————文字通りクローズマグマの強力なパンチがサウザーの鳩尾を的確に狙い定め、そのまま3人の場所まで突き飛ばす。
ゲームクリアの音声が鳴り響く。今度こそ勝ったのか..............?
黄金の装甲は余裕の怒りを持って立ち上がる———————————-!
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