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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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10話 四八音【ヨハネ】と罠の始まり

 
前書き
 
 
仮面ライダーサウザー  変身者 小原兆一郎
 
パンチ力 4240t
キック力 8650t
ジャンプ力 581m(ひと跳び)
走力 0.018秒(100m)


 
 
本来ならば最大で仮面ライダーゼロワンのスペックの10倍(1000%)を発揮することができる——————が、更なる改良と異様な適合率によってその力は素の100兆%、すなわち最大でゼロワンの100兆倍(1000兆%)までスペックが変動する。
 
最大値のスペックはパンチ力800兆t、キック力4900兆t、ジャンプ力6010兆m、走力は100mを1/25兆秒というとんでもない数値を発揮する。この最大値だけでも十分に強いことが分かるのだが、それもまたカタログ上のスペックであり、仮に最大値に達したとしてもそれ以上の力を発揮する事は《《理論上》》可能であるが、それはかなり難しい。

必殺技は四段強化でき、一つ上げるごとに威力が桁違いに上がる。
 
十分強いサウザーではあるが、それに性能が強化されたサウザンドジャッカー が専用武器として使用する。性能の違いとしてはプログライズキーだけでなく他の仮面ライダーのテクノロジーをコピーできる点である。また固有の能力である場合はとある条件下で能力の強奪が可能。ただし、この機能にはある《《制限》》が存在する。
 

 



「どうして止めてくれなかったの〜!!!!!————————せっかく上手く行ってたのに〜!!!!!!!!」
「まさかあんな物持ってきたなんて思わなかったずら。」
「どういうこと?」
「ルビィもさっき聞いたんですけど、善子ちゃん中学時代まで自分の事を堕天使だと思い込んでたらしくて—————まだその頃の癖が抜けきってないって.......」



どういう理由か善子は入部してもいないスクールアイドルの部室で自分のしでかした事を嘆いている。———————別に迷惑なわけじゃないが、ここは生徒相談室じゃないぞ?





「わかってる————自分が堕天使なわけがないって。そもそもそんなものないんだって.............」
「シリアス感漂わせてるけど、だったら何であんな物持ってきたって議論になるぞ?」
「確かに—————」
「それは.........まぁ、ヨハネのアイデンティティみたいなもので、あれが無かったら私は私でいられないっていうか!——————はっ!!」
「何か.....心が複雑な状態にあるということはよ、よく分かったわ。」
「—————ツッこんでるけど、海の声を聞こうと4月の海へ飛び込もうとしていた奴が言うなよ.........」
「なんですって?(恐怖の笑顔)」
「—————はい。」





何だろうな。梨子の怖さってのは、どことなくダイヤに似てる。ただ、あちらは顔を歪ませることが多いのだが梨子の場合は無言の圧みたいなものを感じる。——————ほんと、女性って怖いな。





「善子ちゃん、今でもネットで占いやってますし........」






『またヨハネと堕天しましょう。———』



「うわぁー!!!!!!!!やめて!」
「黒歴史全開だったけど.........」
「とにかく、私は普通の高校生になりたいの!!何とかして!!」
「ずら........」
「うゆ..........」
「そう言われてもな.........」
「でなきゃ、貴方が仮面ライダー(?)ってことをバラす!!」
「お前なんで知ってるんだよ!!!!!!!!」
「まえ、本屋に通りかかったときに変身してたのや、ずら丸との会話を聞いてたから..........」
「まじかよ.............最悪だ。」



まさかここでそのことを告白されるとは思いもしなかったな......知ってしまったからには、Aqoursに入ってもらうのが慣例なので入ってもらおうかな?よし、地下に提案してみよう!!!!—————だが..........




「かわいい(小声)」
「「「「え?」」」」
「これだよ!———津島善子ちゃん、いや堕天使ヨハネちゃん!スクールアイドルやりませんか!?」
「えぇ(困惑)........」
「千歌ちゃん!?本気なの!?」
「本気も本気!今からAqoursは堕天使路線で行こー!!!!!!!!」
「勝手に決めるな!————てか、そんな衣装は何処にあるんだよ。」
「私、リトルデーモンの服装なら持ってるけど.........」
「持ってるのかよ!—————堕天使スクールアイドルはいなさそうだけど........」
「取り敢えずはやってみなきゃ!やらなきゃ何も始まらない!」





俺としたことが花丸とルビィに説教した時に放った言葉をすっかり忘れていた。——————何事もやらなきゃ始まらない。出来るかどうかじゃない。やる事が全てなんだと。ただ、やっぱりそのオリジンにはどうしても敵わないな。




「あっ、虎太郎くん!—————それで、先生はどんな調子だった?」
「幸い、何処も異常は見当たらない健康男児だってさ。まぁ怪我してたって事で学校から1日休みなさいと連絡が入ったらしいけど。」
「サウザー。」
「————あの人の意見も分からなくはない気がする。だって———」
「千歌、言っちゃなんだがサウザーはスクールアイドル部マネージャーの俺たちの仕事でもある。お前はまず第一にその事だけを考えろ。」
「わかった————」




千歌は輝きになりたいから、という理由であるゆる人へその光を分け与えようとする。—————でも日光アレルギーの人だっているだろう。太陽がなくなればと思っている人だっているだろう。そんな人に分け与えたところで傷つくだけだ。

俺は千歌にそんな人たちを傷つけて欲しくもなければ、傷ついて欲しくもない。だから極力関わって欲しくはないんだ。





————※————




「ビデオカメラのバッテリーくらい前もって買っておけばいいのに.................」
「仕方ないだろ、ないものはないんだよ。」


堕天使スクールアイドル(?)の動画を撮るのに使うビデオカメラのバッテリーがまさかの寿命切れということで買い替えに来たのだ。—————わざわざ沼津まで。

早速家電量販店の中に入り、お目当てのものを探し当てる。もうこれでこの場所には用がないのだが——————


「おっ、新しいゲーミングモニターが出てる。買って行こうかな.......」
「よせよ、もう会計済ませちまったぜ?」
「いやでも—————」
「それ見てるだけでも時間の無駄だろ..........」
「だってこれ、240FPS超えが余裕で出続けるモニターだぜ?」
「わかったから早く行くぞ。」
「あ〜!俺の眼鏡が〜!!!!——————ん!?何で家電量販店に眼鏡何かが?」


量販店の1番目立つところにある眼鏡—————にしては、何か違うような気がする。しかも目立つところに置いてあるからか、はたまたとんでもなく高性能な品物なのか飛ぶように売れて残りわずかと言ったところだろう。

『O H A R A————』と書かれた........ん!?




「オハラスペックは素晴らしい!」
「サウザー!」
「こいつが仮面ライダーサウザー?————白装束の不審人物にしか見えないんだけど.......」
「君ははじめましてかな。矢澤虎太郎君。————私、オハラエンタープライズ代表取締役社長、小原兆一郎です。」


憎たらしく挨拶するサウザー。しかしここは公共も公共。戦闘には持ち込まず、目の前にある疑問を尋ねる。


「挨拶しにくいな........これって何なんだ?」
「宣伝ついでに話しておきましょう。————オハラスペックは人間の知能拡張デバイス並びにAR出力装置です。これをつければ世界は大きく変わる。貴方の知能もこれで1000兆%———— Presented by “OHARA” 」
「コマーシャルの宣伝コールの声お前だったのかよ..........」
「ARってことは拡張現実ってことか————」
「これでAR上の2次元アイドルがスクールアイドルの役目にとって変わるでしょう...........」
「何でスクールアイドルを潰そうとするんだ?高校生の夢に大人のアンタが口出しするほどのことじゃないだろ。」


虎太郎の至極真っ当な意見……しかしそれにサウザーは難癖をつける。


「確かにそれだけを見れば高校生だけの素晴らしいエンターテインメントですが..........根本的な問題が間違っている。」
「根本的な?」
「男子の華として甲子園があるように、ラブライブは女子の華。ですがこの両者には圧倒的違いがある。————例えば、将来の道。甲子園で一躍有名になればそのままスポンサーとして企業が付いたり、プロ球団がスカウトに来る。それに対してラブライブは運営者が私営企業と関わることを拒否しているが故に、プロ転身などがいっそう難しい。さらには予選などで敗退してしまえばただの無駄な時間となってしまう——————」
「それは............」


サウザーの圧倒的な理論武装————いや、屁理屈に俺は言葉に詰まってしまう。実際、それは紛れもない事実。

事実を捻じ曲げることはどんな人間でも、たとえ無敵であろうともその事実は変わらない。

だけど————


「でも俺たちはそれをわかった上でやってるんですよ。————やれるところまでやる。普通だったアイツらが何処まで高みを目指せるか。輝けるところまで輝く。それを俺たちは細やかながら守ってやるだけのことです。」
「————全く、君たちも見えない何かが見える病人か...........いいでしょう。じきにどちらが正しかったかがわかるでしょう。—————その時には、もう君たちは立ち直れない廃人となるだけだ。」
「—————貴方こそ、利益ばかりを求める者に未来は来ない。」


どちらが正しいか……わからせてやる。

虎太郎の奥に秘められた熱さが少し顕現した。





—————※—————





「これで歌うの!?————この前より短い.....これで踊ったら流石に見えるわ.......」
「それはそれでファンサじゃないのか?」
「ダメ!!」
「大丈夫!」
「そういうことしないの!!」



スカートの上に体操ズボンを履く千歌に対してシャウトをかける梨子。こういうところはやはり元ナウい東京の高校生だっただけのことはある。ただセンスについては—————ね?


「はぁ........いいのかなぁ.........本当に。」
「調べてたら堕天使スクールアイドルっていなくて、結構インパクトあると思うんだよね。」
「確かに————昨日まで普通に可愛いだったのが.......こう変わる。」
「うぃ........何か恥ずかしぃ」
「落ち着かないずら...........」
「ねぇ、本当にいいの?こんな格好で歌って。」
「まぁいいんじゃないか?スクールアイドルは可愛さだろ。虎太郎はどう思う?」
「μ'sの『もぎゅと“love”で接近中』の衣装きに黒要素を詰め込んだみたいな感じだな。姉ちゃんたちもそれで踊ってたんだから別にいいんじゃない?」
「へぇ〜!————ということで大丈夫だよ梨子ちゃん!!」
「心配なんだけど........」


梨子の心配をよそ目に俺たちは撮影場所へと舞台を変えた。本来は学校でするつもりであったが、時間の都合上学校ではなく俺の家の屋上で撮影をすることになった。


「ふぅ.........以外に疲れるもんなんだね。動画撮影も。」
「まぁな。正直、撮る側も結構しんどい。角度とか微調整とかもしなきゃいけねぇからな。」
「才、ここで一旦休憩挟もうか。」
「わかった。みんな〜休憩入るぞ〜」
「「「「「はーい!」」」」」


善子、千歌、曜、梨子の順で撮影を行った。その前に全体での挨拶も行った。休憩が終われば、残りはルビィと花丸の撮影すれば終わりという状況だ。

そう、まさか思いもしなかったなぁ—————


「休憩終わり!————じゃあ次ルビィ、撮るぞ〜」
「うぅ......緊張する—————でも、がんばルビィ!」
「よし!その勢いでやれ〜————よーい、アクション!」


〜〜〜〜



『よ、ヨハネ様のリトルデーモン4号。く、黒澤ルビィです。1番小さい悪魔————可愛がってね!』








〜〜〜〜〜


かわいい……え、これ俺だけ?

よほどのことで女性に心動かせれない俺でもちょっと惚れたよ?



「オイ、顔がキモいぞ。」
「滅相なこと言うもんじゃありません(賢者タイム)..........」

虎太郎の辛辣が地味に刺さる。


「うまくいきましたか?」
「やめろ!その可愛らしい顔を俺に見せるんじゃねぇ!!」
「ええ!!.........ぐすん......」
「オイ、ルビィちゃんを泣かせてんじゃねぇよ。」
「も、申し訳ございません!大天使ルビィ様!」
「やめろって!余計悪化するから!」


—————うん。これでポリ公に捕まっても悔いは無いかな...........


取り敢えず、撮影した動画を編集した上で動画として全世界にアップロードした。これは絶対売れるな.............

そんな淡い希望を抱きながら今日のところは解散したのであった。




—————※—————





「ワーオ♪プリティボンバヘーッ!」
「ぷ、プリティ........何処がですの..........?———— こういうのは破廉恥というのですわ!!!!!!!!!」



—————俺たちは今、鞠莉御臨席の元でダイヤからのお叱りの真っ最中である。


...........どうしてこうなった?



「いや〜そういう衣装というか.........,」
「キャラというか..........」
「てか、これの何処が破廉恥なんだ?」
「人目見れば一瞬でわかるでしょう!!?」
「いや分からないから聞いてるんだよ!!————強いて言えば、ルビィが超絶可愛いとか思ったりしてる奴がたくさんいるってだけの話だろ?」
「今、その破廉恥要素を堂々と口にしたではありませんか!!」
「えぇ〜それってルビィに関してだけじゃ...........シスコン過ぎて草」
「オイ、フラグを立てるなよ。」


虎太郎の指摘どおり、ダイヤの憤怒のオーラが目を合わせていなくても伝わってきた。—————実際、図星なんだから言ってもいいじゃないか?

だってそれ以外の要素で破廉恥要素が皆無と言っていいほど見つからないんだもんな〜無論、全員可愛いのは常識の常識であるからここでは触れておかない。


「そもそも!私がルビィにスクールアイドル活動を許可したのは、節度をもって自分の意思でやりたいと言ったからです!こんな格好で注目を浴びようなどと!」
「えぇ〜この場所で自分の妹として扱う?————公私混同するなよ..........」
「それは才に一理ある。」
「とにかく、キャラが立ってないとか、個性を持たせるという理由でこんなことするのはいただけませんわ!」
「でも......一応順位は上がったし————」
「そんな物、一瞬だけのものに決まってますわ。試しに今、見てみるといいですわ!」


ダイヤは俺のノートPCをホッケーのようにこちらへと送り込む。


「オイ!それ十何万もするんだぞ!」
「そんな物何台壊れようと関係ありませんわ!!」
「え?酷くない?————」
「あ!」
「順位が.........下がってる..........」
「そんな————-」
「だから言ったでしょう?—————本気で目指すのならどうするか........もう一度考えることですね!!」



暗闇に囚われる俺たち。こんなことを言われて陽気で居ろと言う方が可笑しいだろう。何も出来ず立ち尽くす姿は、俺が周りから見ているのだとしたらそれは滑稽そのものだ。

だから—————



「そのゲーム、乗ってやろうじゃねぇか。」





俺の挑発とも取れる言葉に一同は豆鉄砲を喰らったかのような顔をして状況を把握していた。




—————※—————




「失敗したなぁ............確かにダイヤさんの言う通りだよ。こんなことでμ'sに近づこうなんて失礼だよ........」
「千歌さんが悪いわけじゃないです。」
「そうよ——————」


千歌は自分の悪かったところを反省するが、それをルビィに咎められる。確かにそうだ。この件に関しては誰も悪くない。——————かと言ってダイヤが悪いかと言われれば、それもまた否。

この悪い流れに善子が乱入してきたのである。


「いけなかったのは堕天使。————高校生にもなって通じないよ。」
「それは!」
「何かすっきりした—————明日から普通の高校生になれそう。」
「じゃあ、スクールアイドルは?」
「ん〜やめとく。迷惑かけそうだし。————それじゃあね..........少しの間だけど、堕天使に付き合ってくれてありがとう。楽しかったわ。」


善子は無理したように笑顔を作り、この場から消えるように去ってしまった。——————こんなのでいいのだろうか?


「なんで、堕天使だったのかな?」
「——————マル、わかる気がします。ずっと、普通だったんだと思うんです。私たちのようにあまり目立たなくて.........そういう時、これが現実なのかって。本当はキラキラした天使だったんじゃないかって。思いませんか?」
「そっか.........」
「確かにそういう気持ちあった気がする...........」
「そういう面ではみんな同じなんですよ。—————ただ、個性の種類が違うだけ。みんなそれを除いたら普通なんですよ。」
「————————」


俺も分からなかった。

—————花丸がこんなこと言わなきゃ、俺たちは答えどころかスタートラインにすら立てなかったのだろう。ゲームをする権限すら与えられないように。



—————※—————



『お前は…Aqoursの命を守る使命がある。』
「(口が動かせない……金縛り?)」


眠る俺にかかるエコーがかった声。威厳ある……男の声。


『オーマジオウなど……お前にとって利用する者にすぎない。』
「(…?)」
『でもAqoursは違う。お前にとって《たった1人》の存在になるだろう……』
「(たった1人の存在…?)」
『全く……自由に生きることがなぜ罪なのか、個性を押し通せ。好きなものを追求しろ。そうすれば努力も叶うのだが。』





「はっ———夢か..............そろそろ行かねぇと遅れちまうな。」


たった1人の存在か……そうかもしれない。


虎太郎と竜介先生はまだ寝ているようだ……

俺は2人を起こさないように、隠密に。尚且つ先を読んで、マッハで進むのであった。



—————※—————





「ヨハネちゃん!」


千歌の呼びかけに何かやるせない表情を持った善子が気付く。他の4人も堕天使コスチュームでお出迎えである。4人は千歌の呼びかけに続く。


「「「「「スクールアイドルやりませんか!!!!?」」」」」
「はぁ?」
「ううん。入ってください。Aqoursに。堕天使ヨハネとして!!」
「何言ってるの!?昨日話したでしょ?................もう」
「いいんだよ!!!堕天使で!自分が好きならそれでいいんだよ!!!」
「だ、ダメよ!」
「あ、待って!」





善子は輝きから逃がれるように、走り去っていく。千歌はもちろんそれを追いかける。千歌にとっては今の善子のことは輝きそのものだから。





「生徒会長にも怒られたでしょ!?」
「うん!それは私たちが悪かったんだよ!善子ちゃんはそのままでいいんだよ!そのまんまで!!!!!」
「どういう意味〜!!!!!!!!」





善子を追いかけ、5人は走る走る。マンションから商店街———————沼津駅。途中に出勤途中のOLにぶつかりもした。他の民衆から白い目で見られた。だけどそんなの構わなかった。彼女たちは—————





「しつこーい!!!!!!!!!!!」
「私ね!μ'sがどうして伝説を作れたのか!————どうしてスクールアイドルがここまで繋がってきたのか!考えてみてわかったんだ!!!!」
「もーう!!!いい加減にして〜!!!!!!!!」


さらに物語は進み、沼津バーガー店や沼津港周辺まで進む。輝きまではそんなに遠くはない。—————あと少しで手が届くんだ。


善子も限界を迎えたのか、息を大きく切らしながら静止する。5人も善子の静止を確認したのか、同じく立ち止まる。




「はぁ....はぁ......」
「ステージの上で自分の好きを迷わずに見せることなんだよ!お客さんにどう思われてるとか、人気がどうとかじゃない。自分が1番好きな姿を、輝いてる姿を見せることなんだよ!——————だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ!堕天使が好きな限り!!!」


『その通りだ!』


「「「「「「え!?」」」」」」


そう————俺、伊口才が顕現す。


俺は堕天使ヨハネに天界からのお告げを通達する。..........というのは茶番で、本当は善子たちの行く道をずっと監視していいタイミングで出てきただけだけど。無論、千歌たちにこのことは話してない。


「堕天使ヨハネ、ある人がこんなことを言っていた—————好きを押し通せ、個性を押し通せば全ては叶うってな。」
「..............」
「お前はお前の好きにやっていいんだよ。それさえできれば、王様にでも、無敵にでも、堕天使にでも、神にでも、スクールアイドルにだって。何にでもなれるんだぜ。」
「いいの?————変なこと言うわよ?」
「いいよ。」
「時々、儀式とかするかもよ?」
「それくらい我慢するわ。」


善子の否定的な意見を肯定で返す。曜、梨子。


「リトルデーモンになれって言うかも!」
「それは.........でも嫌だったら、嫌って言う!————だから........」



千歌の手を差し伸べるように差し出す黒い羽。————朝日の輝きはそれを照らし、輝きへと姿を変えている。

善子も輝きから逃げるのは、もうやめたのだ。————輝きを掴みたい。自分も好きにやりたい。その一心で羽を掴みにかかる...........




















輝きは———————ひとつになったんだ。












—————※—————




















「パパ!!それはどう言うことなの!?」
「私の言葉どおりの意味さ。—————浦の星学院は完全廃校に向けて準備を進めると言ったんだ。」
「そんな........今いる生徒はどうするつもりなの!?」
「100人足らずの生徒の事情など私には知った話ではない。廃校は廃校さ。」
「ダイヤは.......果南は......Aqoursは.........そんなの酷いわよ!!」
「鞠莉、お前の意見など聞いてなどいない。—————そういえば、スクールアイドル部の設立を認めたそうだな。」
「————————それは...........」
「お前もいい加減に学んだらどうだ...........お前は私の娘だ。お前と彼女らでは生まれも教養も全てが違う———————お前も将来のことも考えたらどうだ?」
「——————でも、それと廃校の話は関係ない!」
「あるさ。お前をスクールアイドルなど無駄で愚かな活動へと誘う人材が出てくる可能性が0.1%でもあるならそれは、危険思想の学校に他ならない。————この前のようにな............」
「!!!!!!!!」
「ただ........お前から進んでそんなことをしているのであれば、お前を誑かす全てを排除することも視野に入れなければならないな........」
「ぐっ.........」



バタン!!




「全く、世話の焼ける娘だ..........」
「姉さんをあんな思想にしてしまったのは明らかにこの町——————これもアークの意思だったのでしょうか?」
「いや、むしろ逆。—————アークに抗う者の思想へと徐々に魅入られたという方が正解だろう。アークの絶対性を崩す原因になるかも知れないな...........」
「そんなことは—————俺がさせない。王の役目として..........」
「—————そうだ。それでいいんだ。お前は王だ。それがアークの下した人類のあるべき姿だからな!」
「そのためにも————王の姉があれではいけない。」
「ああ、そのためにもその役目をまっとうしてくれ——————





小原——————魁としてね。
 
 

 
後書き
虎太郎くんと才くんの区別ですが『言葉数が少なくクール』なのが虎太郎くんです。
また、原則「!」が会話の中に入っていません。
 
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