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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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4話 CROSS-Zの真実

「ダイヤさんのところに行って、もう一回お願いしてみる!」
「で、でも......」
「諦めちゃダメなんだよ。あの人たちも歌ってた。『その日は絶対来る』って!」
「曜、千歌は本気だぞ。今回に至っては。だから俺も—————」



1人寂しく書かれた申請書に書かれたもう1人の勇者に名前。—————伊口才という男の存在は確かなものとなった気がした。



「——————本気なんだね。千歌ちゃん。そして———才君も。」



曜は俺が持っていた申請書をパシュっと音を立てて取り上げて、続け様に言う。



「私ねずーっと思ってたんだ。————千歌ちゃんや才君と何か夢中でやりたいなぁって。——————」
「「曜(ちゃん).........」」
「だから、水泳部と掛け持ちだけど!」



ペンを素早く走らせ、終わったと思うと千歌の前にそれを見せる。高海千歌——伊口才———と続いて、『渡辺曜』と記されたのである。



「曜ちゃん..........よーちゃん!!」
「苦しいよ、千歌ちゃん!」
「よーし!絶対凄いスクールアイドルになろうね!!」
「うん!!」
「——————よかった、よかったな、千歌!—————あれ、申請書は何処行った?」



チャポン



この状況でおそらく、1番聞きたくない音が響く。足元にできた水溜りに申請書はバッチリとダイブしていたのだ。



「「ああ〜!!!!!!!!!」」
「や、ヤベェェェェェェェェェ!」





この時、夢中に騒ぐ俺たちには知る由もなかった。一機のヘリコプターが内浦上空を飛行していた。鳴り響く轟音が悲劇の啓示になることを予感していた。





—————※—————



「はぁ、これでよく持ってくるという気になりましたわね。しかも、1人が2人になっただけですわよ?」
「え、いや3人だろ見えないのか?」
「実質活動できるのは2人だと言ってるんです。」
「え?それ酷くない?俺、1人として扱われてないよ!?」
「やっぱり簡単に引き下がったらダメだと思って!生徒会長は私たちのやる気を試しているんだって!」
「違いますわ!!何度来ても同じとあの時も言ったでしょう!?」
「え?俺をスルーしないでくれよ!?」
「どうしてですか!!?」
「この学校にはスクールアイドルは必要ないからですわ!!」
「何でです!!?」
「「む〜!!」」

「オイ!俺を人数に入れるとかいう大事な話題を無視すんじゃねぇ!!!!」

「「五月蝿いよ(ですわ)!!!!!!!!!」」



バチン



子供のような争いで俺の言いたいことを曖昧にするアイツらを叱ろうとした途端に、チカ・ダイヤダブルパンチを喰らい、3メートルほど吹き飛ばされる。無視されてこの扱いは酷くない?



「大体、やるにしても曲は作れるんですの!?」
「曲?」
「ラブライブ出場曲は、オリジナルでないといけない......ラブライブに出場する時に最初に引っかかる難所ですわ。—————東京の高校ならいざ知らず、うちのような高校ではそのような生徒は.........」



ダイヤの言ったことは、間違ってない。これは個人的な意見でなく一般的な問題だ。この事実は大きな壁となってしまった。



——————※———————





「1人もいない.......ダイヤさんの言う通りだった.........」
「こんな僻地でスクールアイドルやるのも、鬼畜ゲーな訳だ........」
「こうなったら!私が何とかして!」
「できる頃には卒業してると———思う。」



曜の言う通り、今更小学生の音楽から始めたって千歌の場合下手すりゃ一生を費やすかもしれないな......老女系スクールアイドルなんて誰が好き好んで支持したりしないからな。



「おーい、お前達席につけ————って、もうついてるか。今日から、この学校に来た転校生を紹介する!みんな仲良くしてやってくれ!」



竜介先生が案内してきた転校生—————俺の中では男子生徒第二号を希望していたのだが.........現れたのは........



「東京の————音ノ木坂という高校から来ました。桜内梨子です。」



そう、昨日助けたあの娘。東京の音楽好きなあの桜内梨子。こんな巡り合わせがあるなんて、これはまさに—————



「奇跡だよ!!!」
「あ、貴方は!!」
「俺が思っていたことをそのまま言いあがった.........」












「スクールアイドルやりませんか!?」














ダイヤさんに突きつけられた現実の壁《リアル》をぶっ飛ばす突破口になる彼女こそ—————











「ふふっ——————ごめんなさい!」
「「ゑえええええええええ!?」」



思わず俺も声に出ちまったよ。今の微笑からは入るところだろ!?それとも俺の期待し損?定例から外れすぎだろ.........




















—————※—————



「またダメだったのか?」
「うん、でもあともう一歩。あともう一押しって感じかな。」
「(本当かなぁ.......)」


躍起になる千歌に疑わしい目を向ける曜。多分その疑念は間違ってないと思うぞ。実際、その疑念は確信に変わった——————



「だって、前までは——————————『ごめんなさい。』だったのが————————『ごめんなさい......』になってるし!!」
「それ酷くなってるだろ.........」
「いざとなったら—————」



小学校の音楽の教科書を持ちながら、自信ありげに言う。



「なんとからするし!!」
「それは—————あんまり考えない方がいいと思う.......」




千歌と曜がスクールアイドル計画の話をしていることをそっちのけにして、俺はあの仮面ライダークローズのことについて考えていた。

前に考えていた時は千歌の突然の提案で話が逸れてしまったのでまとまらなかったが、彼が誰かという疑問でもある。
変身者は俺のように転生したのか、はたまたこの世界に元々いたのか。ただ、この世界にいたとなるとこの世界にライダーシステムが公に存在していることになる。その可能性はゼロに近い。かと言って、俺のように仮面ライダーとして転生した者がいればオーマジオウが知らせてくれないはずはない。た

ただ、人間が変身するレイダーやスマッシュが現れたことはこの世界に何か途轍もない異変が起こっているのは確かだ。



「クソッ..........一体誰が..........」
「ねぇ、才君。———————この衣装どうかな?」
「これ可愛い!キラキラしてる!!—————こんなのも作れるの!?」
「もちろん!なんとかなる!!」
「流石だな...........」
「どうしたの、才君?」
「いや、前に俺たちを助けてくれた仮面ライダーは一体誰なんだろうなって」
「確かに.......でも、結局私たちを助けてくれたんだから役目は同じじゃない?」
「それもそうだな。協力プレイも考えなきゃいけねぇな.......」












『全校生徒に連絡!安全な場所に避難してくれ!不審者が学校に侵入した!』





逃げ狂う女子生徒たち。みんながみんな学校の敷地から抜け出そうと必死であった。声の主は竜介先生だ。みんなからこの短期間で新任を得た先生なだけあって、より信憑性が高まっている。



「才君これって.........」
「ああ、怪人だ—————————」
「グルゥゥゥゥ!!」



そんな話をしているうちに、ご本人が——————って、二体!?

いつもは一体とのタイマンだったから、少し裏切られた感じだ。おそらくあれは仮面ライダービルドのスマッシュ。名前は、『スタッグロストスマッシュ』と『ストロングロストスマッシュ』だ。



「2人とは想定外だが.........上等だ、やってやるよ!!」


「お前達早く逃げろ!」


変身と思っていたところに、やってきた竜介先生。まさか——————


「って、もう間に合わないか............とりあえずこの場から離れておけ!!」


取り出したドライバーを腰に巻き、蒼竜のフルボトルをミニサイズのドラゴンを折り畳み、背中にある窪みに挿す。



≪ ウェイクアップ! クローズドラゴン!≫



ドライバーに付いているレバーを回すと、透明なパイプに蒼い液体のような物が流れている。そしてそれは、人型を形成した。




≪Are you ready?≫



掌で拳を受け止めて戦闘ポーズをとる。





「変身!」






≪Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!≫





現れた蒼竜の戦士、どういう状況か教師が変身した仮面ライダー。———————その名も仮面ライダークローズ..........












≪ビートクローザー!≫



ビルドドライバーからグリップの付いた剣が生成される。



「負ける気がしねぇ!!!!」



合言葉のようなげきをを飛ばして、ストロングロストスマッシュに斬りかかる。筋骨隆々とした斬撃に対応しきれてない。




≪ヒッパレー! スマッシュヒット!≫





蒼炎を纏ったビートクローザーでストロングロストスマッシュ、スタッグロストスマッシュを順に斬りつける。今の斬撃はかなりのダメージが入ったようだ。



スタッグロストスマッシュも負けじと二刀流でクローズに斬りかかる。1本は防ぐが、2本目は当たってしまう。さらにストロングロストスマッシュの強烈なパンチを受けて後退してしまう。だが、気合の強いクローズらしくビートクローザーを乱舞して徐々に二体を追い詰めていく——————俺も負けてらんねぇ!








≪ハイパームテキ! ドッキーング!≫



「お前らの運命は俺が変える。————ハイパー大変身。」



≪パッカーン! ムー!テー!キー!   ハイパームテキエグゼーイド!≫



マキシマムボディが吹き飛び、現れた黄金の最強ゲーマー———————ムテキゲーマー。




≪ガシャコンキースラッシャー! ジャジャ・ジャ・キーン!≫



キースラッシャーをブレードモードし、青いキーを2回押す。
星屑を集めたかのようなエフェクトをキースラッシャーに纏い—————



≪HIT! GREAT!≫



ストロングロストスマッシュに飛ぶ斬撃をお見舞いする。体力は先ほどの攻撃の疲労もあってかクリティカルヒットしたようだ。クローズもそれに鼓舞されるようにグリップを3回引っ張る。


≪ヒッパレー! ヒッパレー! ヒッパレー!  メガヒット!≫


蒼炎を纏った斬撃が重なり、スタッグロストスマッシュを蜂の巣にする。斬り終わると同時に耐え難い衝撃波が発生し、スタッグロストスマッシュは地に叩きつけられる。


スマッシュの体力は半分を切っていた。————フィニッシュには頃合いだな。



「行くぞ、クローズ!!」
「お、おう!」



星のスイッチを押す。クローズもレバーを再度回す。



≪キメワザ!  HYPER CRITICAL SPARKING!≫



無数の星を纏ったキースラッシャーを光の速さで二体のスマッシュを斬り裂いていく。100連撃ぐらいしたところで—————



≪READY GO!≫ 



≪ドラゴニックフィニッシュ!≫



ドラゴン———蒼竜のエフェクトが背後に睨み聞かせたかと思うと、クローズはジャンプし、背後の竜とが蒼炎を放つと同時に竜の一閃を思わせる回し蹴りをお見舞いした。



HITとGREATの乱れ打ち、そしてトドメのダブルPERFECT。———初めての協力プレイは成功に終わった。






互いに変身解除し、その顔が白日に晒される。————何か詰まった物が一気に崩れていく感じがした。




「2度もお前に————しかも生徒に助けられるとはな.......ありがとな。」
「いや、俺だって仮面ライダーになるってことが竜介先生のおかげでわかったんですから、こちらこそありがとうございます。」
「いや〜お前がこの《《元》》女学院に通ってるとは思わなくて.....ここで浦の星の制服着てるお前を見て、今気づいたんだ。」
「遅くないですか!?俺は担任になった時から気付いてたのに.......」
「ていうか、俺たちはって仮面ライダーって名前なのか?」
「えっ!?知らないで変身してたんですか?」
「まぁ、俺の家にもともとあった家宝がこのベルトとこの機械だったかから、5年前に怪人が現れたときに使って————今に至る。」
「そんな.......詳しい話を後で聞かせてください。」



こんな話をしていれば、一時的に退避していた千歌と曜がこちらに戻ってきた。



「まさか、竜介先生も仮面ライダーだったなんて......」
「え、あ、お、お前達見てたのか!?」
「ええ、まぁ.............」
「安心してください、竜介先生。こいつらは俺の事情も分かってますから、下手なことは喋りませんよ。—————————————————そうだ!」




俺は、今思いついた妙案を千歌に持ちかける。




「竜介先生にスクールアイドル部の顧問になって貰えばどうだ!?」
「————それだよ!それなら私たちだけの秘密にできる!」
「え?俺の意見は求め......」
「ませんよ。断るんなら、秘密を話しちゃおうかな〜」
「条件飲んだ方がいいですよ、千歌はこのスクールアイドルに関しては本気になってるので。」
「わかったよ。挑戦する生徒を手助けするのも、教師の仕事だ!」
「やったー!!」








4人目の新たな仲間が、スクールアイドル部に加わったのだった————




























彼らはまだ気付いていないだろう。————————先ほどの戦いの見物人が
あと4人ほどいたことなど........








「.........あの人たちが噂の怪人を倒してたんだ.........」




「ルビィちゃん、怪人はあの仮面ライダー(?)っていう人たちが倒してくれたよ。」
「ピギィ、花丸ちゃん.......怖かったよぅ........」







「仮面ライダークローズ.......これまた邪魔ですねぇ.......」


























—————※—————



「えっ!?作曲してくれるのか!?梨子?」
「ええ!」
「ありがとう————! ありがとー!」



涙目になって喜び、梨子に抱きつこうとした千歌だったが梨子にヒョイと交わされる。



「待って、勘違いしてない?」
「え?」
「私は曲作りを手伝うって言ったのよ? スクールアイドルにはならない。」
「ええ〜」
「そんな時間はないの。」
「そっか.........」
「無理には言えないよ........」
「そうだね............」
「じゃあ、詩を頂戴?」
「し?」



千歌は『し』を探し始める。窓を開け、見回し——————自分の鞄を探す。入っていたのは、大好物のミカン。



「『し』って何〜?」
「多分〜歌の歌詞のことだと思う〜」
「お前ら.........オーケストラ風現実逃避してんじゃねぇよ......」


「でも誰が作詞するの?」
「それは.........言い出しっぺの千歌がやらなきゃ面子が立たねぇだろ。」
「ええ〜!!でも、確かに言い出したのは私だからやるしかない!!」
「じゃあ、決まりね。早速作詞しましょう?」
「でも教室じゃできねぇぞ?」
「どうして?」
「俺と竜介先生で面談があるからな。」
「そっか.........じゃあ、私の家に行こう!」
「高海さんの?」
「そう、私の家も紹介しておきたいしね。」
「じゃ、進展があったら教えてくれ。」
「「「バイバイ〜」」」



千歌達は俺を背に教室から去って行った。着実に前進している。————そう思うと、希望が持てる。




この世界に蔓延る悪意は、そう遠くないうちに顕現するだろうか...........でも、今はスクールアイドル部について専念しないと。





—————※—————



安心して眠る……夢の中。

威厳あるエコーがかった声が微かに聞こえる……そして、もう1人。


『全く……まだ馴染んでいないとは、まだまだ不完全か。情けない。
『厳しいな〜数多の世界あるとはいえ、彼も器はさほど変わらないでしょ?』
『チッ、飽きた。』
『久しぶりにあの人に会ってみたいけど——』
『至高神が……人と喋ることはできないぞ。』
『わかってるよ!このケチ!!』
『勝手に言ってろ。』



彼らは………?



 
 

 
後書き
○4話

仮面ライダークローズ 変身者 浦江竜介

パンチ力 276t
キック力 337t
ジャンプ力 57.7m(ひと跳び)
走力 0.32秒(100m) 
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