ヘタリア大帝国
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TURN49 騎士と海賊その十
「とりあえず降伏してくれるんだな」
「そうして頂けますか」
「私は汚される!しかし心は堕ちはしない!」
アルビルダはその両手にそれぞれ斧と盾を掲げて宣言する。
「必ずや卑劣な東郷、そして日本に復讐を遂げるだろう!」
「・・・・・・では降伏ということで」
日本は呆れ返りながらも冷静に返した。
「宜しいですね」
「そういうことで」
アイスランドがアルビルダに代わって応対する。
「王女さんと国民の皆の安全は保障してね」
「それは約束します」
日本はアイスランドには冷静に返した。
「ではその様に」
「それじゃあ」
こうしてバイキング達も降伏した。彼等の処遇もここで問題となった。
まずアイスランドだが彼はこんな感じだった。
「とりあえず王女さんと国民の皆はいいんだね」
「特に害するつもりもない」
東郷が彼に答える。
「君達の好きにすればいい」
「そうなんだ」
「何処に移住したいなら場所は提供するが」
「皆本音は祖国に帰りたい」
「そうか。しかしそれは」
「うん。日本はドクツの同盟国だから」
「ドクツに戻るという形になるがいいか?」
東郷は少し真面目な調子でアイスランドに尋ねた。
「そうなるが」
「ドクツには戻りたくないから」
それは嫌だというのだ。
「遠慮したい」
「やはりそうなるか」
「うん、それだったら太平洋軍だったよね」
「ああ、そうだ」
「それに入りたい」
こう東郷達に対して言う。
「これからどうなるかわからないにしても」
「そうか。そらならな」
「そういうことで」
これでアイスランドはあっさりと太平洋軍に加わることになりかけた。しかしここでだった。
アルビルダだった。またこの女王が言うのだった。
「待つのだ、船長を捕虜にするのか!」
「いや、そうではないが」
東郷はまずはこう答えた。
「誤解しているのなら」
「合わせて」
しかしここでアイスランドが東郷に囁く。
「王女さんに」
「合わせる、か」
「そう。合わせて」
アイスランドはまた囁いた。
「王女さんは結構こういうところがあるから」
「こういうところか」
「そう。こういうところ」
この辺りは行間を読む、だった。
「そういうことで」
「わかった。では俺の役は何だ」
「悪役」
まさにそれだった。
「人質を取り美貌の王女を脅迫する卑劣な悪役」
「ちょっと陳腐な役柄じゃないか?」
「その辺りはお約束だから」
「演じればいいんだな」
「そうしてもらえたら何より。あと」
アイスランドは日本も見て言う。
「日本さんも」
「私もですか」
「僕達を人質に取る悪役、しかも」
日本はそれだけではなかった。今回の役では。
「東郷さんを操る悪の首領」
「そうした役になったことははじめてですが」
「それでもお願い」
アイスランドは淡々と日本に言う。
「悪役を演じて」
「できるかどうかわかりませんが」
「適当に台詞を言うだけでいいから」
アイスランドは演技力については言わなかった。
「棒読みでも動かなくても」
「喋ればいいだけですね」
「悪焼くとして適当な言葉を」
「わかりました。それでは」
「やらせてもらうな」
日本と東郷はアイスランドの言葉に頷いた。そうしてだった。
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