最強の燕でもいい
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第四章
「今後にね」
「生かすっていうのね」
「そうでしょ、カープがまた強くなって今度こそね」
「今度こそっていうと」
「日本一になる為にね」
そこに目標を定めて言うのだった。
「それこそ今世紀はじめてのね」
「そういえばカープって」
「そう、最後の日本一昭和よ」
令和になった今言うのだった。
「昭和五十九年よ」
「私のお母さんが生まれる前ね」
「うちのお母さんもね」
「かなり昔よね、阪神もだけれど」
「昭和だったわね」
「昭和六十年ね」
ハレー彗星が来た年である。
「その年だったわ」
「お互い大昔よね」
「そうよね」
「それでね」
「昭和五十九年以来なの」
「日本一になる為に」
千佳は目を燃え上がらせて言った。
「その為によ」
「強いチームがいたら」
「参考にして」
そしてというのだ。
「チームの戦力にするのよ」
「そうするのね」
「だからヤクルトについても」
「嫌わずに」
「参考にするのよ、しかし巨人は」
「参考にしないのね」
「参考にするどころかあのチームについては」
悪の限りを尽くすこのチームはというのだ。
「名前見るだけでね」
「私もよ、腹立つわめ」
「ええ、だからね」
「参考にしないのね」
「そこまで落ち着いていられないから」
巨人のことを考えると、というのだ。
「本当に」
「それでよね」
「けれど巨人以外はね」
「参考にして」
「強くなるわ、二年連続最下位から連覇したなら」
ヤクルトがそうしたならというのだ。
「もう最高でしょ」
「カープが強くなる参考にするには」
「だからね」
それでというのだ。
「今ヤクルトをね」
「見てるのね」
「そうよ、あの強さを採り入れて」
ヤクルトにというのだ。
「そしてね」
「強くなるのね」
「最強のチームになって」
「日本一ね」
「それになるわ」
こうクラスメイトに話した。
「実際にね」
「わかったわ、じゃあ応援はしないけれど」
「それでもなの」
「目指してってね」
その様にというのだ。
「もう一度日本一よ」
「千佳ちゃんは前向きね」
「そうじゃないと鯉女はやれないわよ」
千佳はクラスメイトに笑って答えた。
「山あり谷ありで」
「色々あったから」
「ずっとBクラスだったこともあるし」
低迷した時代もあったというのだ。
「主力選手の故障にね」
「強奪ね」
「そんな風だったから」
「これからのことを考えていくのね」
「そうよ、じゃあヤクルトも観ていくわ」
確かな声で言ってだった。
千佳は今度は週刊ベースボールマガジンを出してそこのヤクルトのコーナーを読んだ。そうして令和に日本一になるにはどうすべきかを考えるのだった。
最強の燕でもいい 完
2022・6・29
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