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イベリス

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第五十六話 犬も太るのでその二

「それでよ」
「トイプードルはお水好きで」
「モコもよ。濡れても平気というかね」
「むしろ好きなのね」
「けれどお散歩の後で拭くのが大変だから」
 その事情でというのだ。
「レインコート着せてるのよ」
「雨の時はね」
「そうよ、それで一日二回は絶対にお散歩して」
「他にも動いてるわね」
「おもちゃで遊んでたりしてね」
「そうして活発に動いてるから」
「太らないのよ」
 そうだというのだ。
「だから安心しなさい」
「それじゃあね」
「ただモコはよく食べるから」
 母は娘にこのことも話した。
「だからちょっと運動しないとよ」
「太るのね」
「そうなるわよ」
 このことも話した。
「だからいつも気をつけてね」
「運動させないと駄目なのね」
「太らせたくないならね」
「そうするわね、それにモコも身体動かすの好きだしね」
 今も熱心に食べている自分から見て妹にあたる愛犬を見つつ応えた、妹と思うと余計に愛しく感じると思いつつ。
「だったらね」
「その気持ちに応えてあげてね」
「運動はたっぷりとよね」
「させるのよ」
「そうするわね」
「お願いね、しかしね」
 母はこうも言った。
「この娘本当によくジャンプするわね」
「お散歩の時でもね」
「元気なのはいいけれど」
「ぴょんぴょん跳ぶわよね」
「それが気になるのよね」
「着地した時に足挫いたり膝とか足首痛めたりね」
「そうなったりするからね」
 だからだというのだ。
「このこともトイプードルの特徴なのよね」
「そう、さっきも言ったけれど身体もがっしりしているからね」
「余計に足首や膝に衝撃がくるわね」
「そうよ、そこは注意してね」
「ただ歩くだけの種類じゃないのね」
「走ることも好きでね」
 それでというのだ。
「泳いだりジャンプすることも好きだから」
「注意しておいてね」
「太ることと怪我には」
「どちらもね」
「注意しないとね、モコもわかった?」
「ワン」
 咲に顔を向けて尻尾を振って応えてきた、一時食事を止めてそうしてきた。咲はそのモコを見て言った。
「わかったみたいね」
「犬は人の言葉わかるからね」
「そうよね」
「喋ることは出来ないけれど」
 それでもというのだ。
「わかるのよ」
「ちゃんとね」
「だからよく言って聞かせたらね」
「わかってくれるのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「今もわかってくれたわ、しかもモコは賢い娘でしょ」
「物凄くね」
「じゃあわかってるわよ」
「そうなのね」
「ただ犬は悪いことをしたらすぐに怒る」
「そのことは注意しないと駄目ね」
「その場でね。大人みたいに後では駄目なのよ」
 犬の場合はというのだ。 
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