恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百二十話 于吉、埋伏を作らんとするのことその四
「そう。貴女の血脈に従うのです」
「私の血脈」
「貴女はオロチなのです」
言うのはこのことだった。
「ならばそれに従い」
「オロチの血に従い」
「為すべきことをされるのです」
これがゲーニッツの囁きだった。
「そう、それは」
「それは」
「貴女の心にではなく血に問うのです」
「私の血に」
「さあ、貴女の血は何と言っていますか」
あえてだ。ゲーニッツはレオナに問うた。
「貴女に対して」
「それは」
「その言葉に従うのです」
ゲーニッツだけでなくだ。ミヅキもだ。レオナに対して囁く。
「どうかしら。闇は」
「闇・・・・・・」
「光よりもいいものではなくて?」
「光、それは」
「闇は全てを包み込んでくれるわ」
妖しい言葉でだ。レオナに囁くのだった。
「さあ、だから闇の中に」
「その中に」
「血に従い闇の中に」
ゲーニッツの言葉も入れてだ。ミヅキは囁く。
「そうするのよ」
「そうして」
「そう、オロチとして生きなさい」
ミヅキがこう言うとだった。ゲーニッツもだ。すかさずといったタイミングでレオナにまた囁いた。
「時が来れば」
「その時に」
「待て」
今まさに虜にできる時にだった。彼等を止める声がした。そしてだ。
ハイデルン達がだ。二人にすぐにそれぞれの攻撃を放った。
鎌ィ足に気、そして炎が襲う。二人はそれをすぐに左右に散ってかわした。
そのうえでだ。こう彼等に言うのだった。
「まさかと思いましたが」
「中も見ている人間がいたのね」
「危ういところだったな」
鎌ィ足を放ったハイデルンが言う。右にはタクマ、左には柴舟がいる。
「レオナの血を呼び起こすつもりか」
「その通りです」
悠然と笑ってだ。ゲーニッツはハイデルンの問いに答える。
「あと一歩で完全になるところでしたが」
「生憎だったな」
「全くです。残念なことです」
酷薄で挑発するものすらある笑みでだ。ゲーニッツはハイデルンに述べる。
「人が多いとこうしたことにもなるのですね」
「貴様が人とは思えぬがのう」
柴舟はゲーニッツを見据えて言う。
「オロチの中でも最強の貴様はな」
「ははは、私が最強ですか」
「貴様の力はよく知っておるわ」
オロチと戦う宿命の者だからこその言葉だった。
「それ故にじゃ」
「有り難いお言葉ですね。それでは」
「楽しもうかしら」
ミヅキも言ってだ。そのうえでだ。
「ここでも戦いを」
「ふん、羅将神ミヅキだったな」
「その通りよ」
ミヅキもだ。裕全と笑ってハイデルンに応える。
「私の名前は知っていたのね」
「長年に渡って世の陰で乱してきた邪神」
タクマはミヅキをそうした存在として知っていた。
「オロチや常世と並ぶ破壊と渾沌の存在だな」
「人から見ればそうね」
明らかにだ。人ではない者の言葉だった。
「アンブロジア様は」
「御主自体がアンブロジアではないのか?」
タクマは鋭い目でそのミヅキに問い返した。
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