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対比的な両雄

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第一章

                対比的な両雄
 アメリカで南北の対立が深まっていた、最早衝突は避けられない状況であった。
 その状況を見て大統領であるエイブラハム=リンカーンはロバート=エドワード=リー将軍に対して言った。
「君には是非共だ」
「学級国に留まってですか」
「軍を率いてもらいたい」
 その厳めしい特に髭がそうさせている顔を見つつ言った。
「そうしてもらいたい、そしてだ」
「若し何かあっても」
「勝利を収めて欲しい」
「そうですか」
「君ならばだ」
 リーの資質そして謹厳で温厚な人格も考慮して述べた。
「一軍の将に相応しく」
「戦争になろうとも」
「問題なくだ」
「合衆国を勝利に導けるというのですね」
「だから頼む、合衆国に残ってだ」
 そのうえでというのだ。
「何かあればな」
「そしてその何かはですね」
 リーは自分から語った。
「やはり」
「もう避けられない」
「左様ですね」
「はっきり言えばな」
「だからこそですね」
「君には残って欲しいのだが」
「有り難いお言葉です」
 リーはリンカーンに答えた、引き締まった長身で面長の顔に立派な髭を生やしているその彼に対して。
「名誉と感じています」
「君が皮肉を言う様な人物でないことはわかっている」
「そうですか」
「実際に名誉と感じてくれたか」
「この上なく、ですが」
「それでもか」
「私は南部の生まれです」
 それ故にというのだ。
「ですから」
「そうか、では仕方がない」
 リンカーンは項垂れなかった、しかし。
 気落ちは言葉に出ていた、そのうえでリーに告げた。
「また会おう」
「今度は敵同士で」
「南部に行き給え」
 こうも告げた。
「そしてな」
「あちらでもですね」
「君でいてくれ」
「わかりました」
 リーは敬礼で応えた、そうしてだった。
 彼は南部に入った、すると南部の者達は彼を笑顔で迎え入れた。
「よく来てくれた」
「貴方には期待しています」
「是非頑張って下さい」
「軍を率いて戦って下さい」
「そうして下さい」
「私はその為に来ました」
 リーは自分を迎えてくれた南部の者達にも謹厳な声で応えた。
「ですから」
「宜しくお願いします」
「貴方の活躍に期待しています」
「貴方を信じています」
「期待と信頼に応えます」
 リーは確かな声で応えた、そうしてだった。
 彼は南部、アメリカ連合国と名乗ったこの国の軍隊を率いて戦うことになった、彼の士気は見事であり。
 リンカーンはホワイトハウスで周りの者達に言った。
「だからこそだ」
「リー将軍は北部に留めたかった」
「いて欲しかったですね」
「そうでしたね」
「そうだった、しかしだ」
 それがというのだ。 
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