失ってはいけない命といてはいけない命

　　　　　　　　　　　　　　　　失ってはいけない命といてはいけない命
　獣医の傍らボランティアで動物の保護活動をしている小松原麻里子黒髪をショートにしていてやや丸顔ではっきりした顔立ちで一六七ある長身ですらりとした彼女はこの時怒っていた、それは何故かというと。
「ニャア」
「あの、あの娘はです」
「そちらで、ですか」
「はい、保護をしてです」
　保健所で保健所の職員に保健所の中で必死に助けを求める感じで鳴いている白で左耳とその周り尻尾の先が黒い小さな雌の子猫を見つつ話した。
「里親の人に引き取ってもらったんです」
「そうした娘だったんですか」
「ついこの前ですよ」
「その娘がどうしてここにいるのか」
「はい、どういうことですか？」
「実はその娘野良猫なんですよ」
　職員は麻里子に暗い顔で話した。
「それで保健所で収容してです」
「今ここにいるんですか」
「そうなんです、それでそちらに猫達の里親探しをお願いしてるんですが」　
　保健所に置いたままではやがて殺処分も有り得る、それでだ。
「他の子達と一緒にです」
「こちらで保護をして」
「里親を探して欲しいですが」
「保護して探しはします」
　麻里子はこのことは約束した。
「それが私達の活動でその貯めにいつもこちらにお邪魔していますから」
「だからですね」
「それは絶対です、ですが」
「折角里親に貰ったのに」
「そんな娘がどうして」
　麻里子は怒っていた、それでだった。
　すぐにその子猫、ミヤと名付けていたその娘も他の猫達も保護をして里親を募集したが他のスタッフ達もだった。
　ミヤを見てこう言った。
「何でこの娘が保健所に」
「里親に貰われていったのに」
「野良猫でいたんでしょうか」
「訳がわからないですね」
「里親だった海老原さんに尋ねます」
　こう言ってだった。
　麻里子はすぐにミヤを引き取ったその家に向かった、すると。
　一家の主婦と小学生の娘が出て来て麻里子に話した。