イベリス
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第五十話 たい焼きとカラオケその五
「たい焼きはね」
「そうよね、けれどたい焼きもね」
「美味しいわよね」
「しかも最近はチョコとかカスタードもあるから」
「色々楽しめて」
「それで美味しいから」
だからだというのだ。
「是非ね」
「食べるべきね」
「そうよ、これからそうしましょう」
「それじゃあね」
こう話してだった、二人でたい焼きを買ってからだった。
たい焼きをバッグの中に入れてコンビニでそれぞれ紅茶、ストレートのそれを買って手頃な場所に腰掛けて。
並んで食べて飲みはじめた、咲は粒あんのそれを食べて言った。
「こうして食べたら」
「いいでしょ」
「ええ、餡子もね」
「そうよね、私も久し振りに食べたけれど」
「たい焼きもいいわね」
「しかもあのお店美味しいことでね」
店のこともだ、愛は話した。
「有名だから」
「それで列も出来てるのね」
「いつもね、特に休日はね」
「ああしてなのね」
「列が出来ていてね」
そうなっていてというのだ。
「それでなのよ」
「評判になってるのね」
「そうなのよ」
「この味だとね」
それならとだ、咲は食べながら頷いた。
「当然よね」
「そうよね」
「ええ、それじゃあ粒あん食べて」
「他のもね」
「食べるわ、お店の人も奇麗だったし」
「だからあの人元ジュニアアイドルよ」
愛はここでもこのことを話した。
「だからね」
「奇麗なのは当然ね」
「そう、何でも中学卒業の時に辞めたらしいの」
「そうなの、何でまた」
「何でも他に凄い娘が一杯いてね」
それでというのだ。
「自分なんかじゃとてもってね」
「そう思ってなの」
「辞めたらしいわ」
「そうなのね、けれどそう思うのなら」
それならとだ、咲は話した。
「いいかもね。たい焼き屋さんで成功してるし」
「芸能界って色々あるしね」
「何かとね」
「あそこは一見華やかだけれどね」
愛は紅茶を飲みつつ少し微妙な顔になって述べた。
「悪い噂も多いしね」
「物凄くね」
「それに麻薬のこともね」
「あるわね」
「だからそう思うのだったら」
自分より凄い人間が大勢いる、それで自分はやっていけないと思うならというのだ。愛は咲に話した。
「もうね」
「辞めた方がいいのね」
「そう思うわ、だからね」
それでというのだ。
「辞めてよかったって私もね」
「お姉ちゃんも思ってるのね」
「そう思うわ、それでたい焼き屋さんで成功してるなら」
「いいわね」
「原宿にお店持って繁盛してるのよ」
激戦区で東京だけあって地価も高いこの場所にというのだ。
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