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勝てる筈がない

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第四章

「そうだったんだよ」
「その高校生以下だったんだ」
「十五歳っていったら中学生だ」
 その頃だというのだ。
「昔は五年制で十七歳までだった」
「そうだったよね」
「その中学生でな」
「軍隊にいたんだ」
「そして小学校でな」
 十一歳でというのだ。
「戦場に出ていたんだ」
「それは凄いね」
「有り得ないな」
「子供が戦場に出て戦えるとか」
 これはというのだ。
「日本軍って凄過ぎるね」
「漫画みたいだな」
「そうだね」
「ああ、本当にな」
「全部が全部凄いよ」
 そこに書かれていることはというのだ。
「本当にね」
「そうだな、これじゃあな」
 森川は本気で言った。
「勝てないな」
「絶対に無理だよ」
 それこそとだ、彼は言った。
「史上最強の軍隊だよ」
「化けものだな」
「若しかしてね」
 芥は真顔で述べた。
「日本軍って全員が大谷翔平さんみたいな」
「怪物だったっていうんだな」
「そうだったとか」
 こう森川に言った。
「ひょっとして」
「その域だな、しかしここまで無茶苦茶だと面白いだろ」
「ネタだね」
「ああ、日本軍が好きになっただろ」
「なったよ、こんな強い軍隊なら」
 芥はそれこそと話した。
「世界征服だってね」
「出来るな」
「うん」
 まさにというのだ。
「絶対にね」
「それが負けたからな」
 言わずと知れた第二次世界大戦でというのだ。
「不思議だな」
「しっかり人類史上最大のミステリーって書かれているね」
「兎に角超人どころじゃない話ばかりだからな」
「こんなに強くて豊かで技術もある軍隊が負けるのかな」
「負ける筈がないだろ」
「宇宙規模の災厄も防げるよ」
 芥はこうまで言った。
「本当にね」
「そうだよな」
 森川もそれはと答えた。
「これは」
「うん、何かこれ読んで」 
 芥は笑って述べた。
「日本軍が好きになったよ」
「兵器以外のことでもだな」
「うん、そうなったよ」
「僕もだ、本当に凄いな」
「無茶苦茶過ぎてかえって痛快だね」
「完璧超人にも黄金聖闘士にも勝てそうだな」
「冗談抜きで塾長いたのかもね」
 某男塾のその人である。
「実際に」
「そうでも不思議じゃないな」
「もうその域だね」
「これからもこんな話が出て欲しいな」
「日本軍がどんどん好きになるからね」 
 笑顔で言ってだった。
 芥は日本軍の兵器のプラモデルを造ってだった。
 森川と日本軍の偉業についても笑って話していった、そうした時彼はいつも笑顔であった。それが最早笑い話であるからこそ。


勝てる筈がない   完


                   2021・12・14 
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