落ちて助かった犬達
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第一章
落ちて助かった犬達
ジョン=アトウッドアメリカのフロリダ州ブレバード郡在住の彼はこの時困り切った顔で家族に話した。
「本当にだよ」
「ヨットにはいたんだな」
「ジェシカはいたのね」
「そうなのね」
「そうなんだよ」
くすんだ金髪に緑の目に腹が出た大柄な彼は話した。
「けれど気付いたらだよ」
「いなかったか」
「じゃあ川に落ちたのね」
「多分にしても」
「それで川を探してもらって」
ヨットで遊んでいたインディアン川をというのだ。
「それでこの辺りもだけれどさ」
「しかしジェシカは泳いだことがないだろ」
「大丈夫かしら」
「そんなので」
「だから不安だよ、けれど」
彼は考える顔で言った。
「若しかしたら泳いで」
「それでか」
「無事だっていうのね」
「その可能性はあるのね」
「希望はあるよ」
こう言うのだった。
「まだ」
「それでか」
「この季節の風を見て」
「ロックレッジの方になのね」
「ジェシカは泳ぎを知らないけれど泳いだら」
そうしたならというのだ。
「風に乗って泳ぐと楽だからね」
「今の風の流れだとか」
「ロックレッジの方に流れているから」
「そっちにもなのね」
「流れ着いてるかも知れないから」
それでというのだ。
「あっちの方にも捜索をお願いしているよ」
「茶色と白のふさふさの毛の顔の真ん中が白の雌のコーギーだな」
「特徴があるしね」
「無事だったら見付かるわね」
「そうだよ、僕達も探すけれどあそこにいるかもね」
アトウッドは希望を胸に言った、そしてだった。
翌日彼女の失踪からだった。
「えっ、見付かったんですか」
「はい、茶色と白の雌のコーギーですね」
「毛がふさふさで顔の真ん中が白い」
「その娘がいました」
「そうですか、今から行きます」
この時彼は働いていたがだった。
職場に事情を話して早退させてもらってだった。
連絡してくれた人のところに急行した、すると。
「ジェシカ!」
「ワンワン!」
彼女がいた、アトウッドは彼女のところに駆け寄ってだった。
彼女を抱き締めた、そして連絡をしてくれたアジア系の女性に話した。
「ここの岸辺から十一キロはありましたが」
「ヨットからですね」
「そうですが泳ぎ方も知らないのに」
「頑張ったんですね、この娘は」
「そうですね、もうこれからはです」
アトウッドはジェシカを抱き締めつつ話した。
「二度とヨットから落ちない様にします」
「そうされますね」
「はい、絶対に」
見付かった愛犬を抱き締めながら約束した、そうしてだった。
以後彼はジェシカと一緒に行く時は常に万全の備えをした、そうして二度と彼女に何か起こらない様にした。
この話をインターネットで観てだった、南アフリカボックスバーグに住むバイロン=ジェットとメリッサアフリカ系の夫婦は話した。夫はスキンヘッドで妻は長い縮れた髪の毛である。二人共南アフリカのアフリカ系に多い薄い黒い肌である。
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