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東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.

作者:福岡市民
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共存編
  早苗:種明かし

※フラン視点


―――あれ?
私は今まで何をしていたんだろう。

ああ、また狂気に堕ちて何か壊してしまったんだっけ。
こんなんだから私はなかなか外に出してもらえないのよ…やれやれ。

さて、壊したものは…。えっ!これ、早苗じゃない⁉︎
私が早苗を壊しーーーいや、「殺した」…?

そんな…。嘘でしょ!?
早苗、しっかりして!……早苗ー‼︎



ーー
ーーー


※第三者視点


(西)が目を覚ましたのはその日の夕方のことだった。


(西)「ここは…?」

?「あら、意識が戻ったようね」


(西)のすぐ横に寝間着のような服を着た紫色の髪の少女が座っており、黙々と本を読んでいた。


パチュリー「私は魔法使いのパチュリー・ノーレッジ…長いからパチュリーでいいわ。そしてここは紅魔館の地下にある大図書館よ」

(西)「パチュリーさん、私は…?」

パチュリー「そうよね、意識がなかったんだもの。ここまでの経緯(いきさつ)を説明するわね」



ーー
ーーー


パチュリーの話しによれば(西)が気絶する直前、自動的にスペルが発動してフランが狂気から解放されたらしい。
そして気を失って倒れている(西)を見たフランが『早苗を壊して(殺して)しまった』と勘違いし、自ら早苗を背負って泣きながらここまで連れてきたということだった。


(西)「……ということは、私にもスペルカードがあったんですか?」


神奈子から弾幕の撃ち方を教わった際に白紙のスペルカード(以下:素)こそもらったものの、少なくとも(西)には自分でカードを作った覚えはない。


パチュリー「ええ。でもその前に貴女の能力について話さないといけないわね」

パチュリー「貴女が気絶している間に貴女の持つ能力を調べさせてもらったのだけれど、これが実に興味深いものだったのよ」

(西)「あの、単刀直入にお願いします」

パチュリー「ごめんなさい、前置きが長すぎたわ…。貴女の能力は“願いを叶える程度の能力”よ」


ーーー願いを叶える程度の能力。それが今回偶然にも判明した(西)の能力だった。

パチュリー曰く、(西)にはごくわずかではあるが(東)が言うところの『奇跡』を起こす力があったらしい。
だが(西)は凡人ゆえその能力は滅多に発動されることはなく、彼女が極限状態に追い込まれたときのみ自動的に発動して願いを一つだけ叶えるのだという。


パチュリー「ーーーそして貴女が発動したスペル“闇を照らす太陽”はその能力が具現化したものでもあり、貴女の想いそのものでもある。貴女のようなタイプの人間はとても珍しいのよ」

(西)「あれは私が発動したものやったとですか!?」

パチュリー「ええ、さっきも言ったけど自動的にね。ちなみに貴女が作れるスペルカードは無意識のうちに作ったその一枚だけみたいよ」

(西)「へえ…!」


(西)は自分にも能力があったことに驚いていた。
なにしろ(西)は「東方Project」が何なのかすら知らなかったのだ。これで驚かないほうがおかしいだろう。


(西)「そうたい()!フランちゃんはどこに!?」

パチュリー「」シー


パチュリーは人差し指を唇に当て、ジェスチャーで注意を寄越した。


パチュリー「静かに…。フランはそこで寝ているわ」


見ると、赤っぽいソファーの上でフランが寝ていた。


パチュリー「よほど責任を感じていたんでしょうね。ずっと『ごめんなさい』って言ってたわ」

(西)「そうなんですか…。起きたら真っ先にお礼を言わないといけませんね」

パチュリー「ええ、そうね」




ーーー2人はそれっきり話すのをやめ、フランが目を覚ますのを静かに待った。 
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