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おっちょこちょいのかよちゃん

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203 異世界の剣

 
前書き
《前回》
 戦争主義の世界の本部の地下道にある黒い穴を発見した北勢田、奏子、鯉沢はそこを通行し、レバノンにある赤軍の本部へと辿り着く。異能の能力(ちから)を発揮する機械およびその機械を生産する工房の破壊を敢行する。そして戦争主義の世界の本部周辺で残りの者が赤軍や東アジア反日武装戦線と交戦する中、マリエルは本から召喚したシルヴィーという妖精に剣の場所を捜索して貰い、小人の軍勢に自身の護衛を頼みながら目的地へと進んでいく!!

 前回マリエルが出した妖精・シルヴィーとブルーノというのは「不思議の国のアリス」の作者・ルイス・キャロルが著した小説「シルヴィーとブルーノ」の主人公の妖精の姉弟が元となっています。ただ、こちらはアリスと比べると日本では知名度が低いですが・・・。 

 
 房子とレーニンは自分らの本部へと大急ぎで向かう。
「それでレーニン様、杯はお持ちで?」
「ああ、それなら妲己に預けた」
「妲己に?あれは杯の持ち主の女の子だけが狙いでしょ?わざわざあの子と同じ場所に持たせたらすぐに一人でも取り返しに行かれる危険があるのではないですか?」
「こちらも何も考えていないわけではない。あれでもあの女は顔が広い方だ。杯は他の者に渡すかもしれぬ。それに今我が元に持ち帰れば剣のついでに取られるかもしれぬからな」
「まあ、赤軍(みんな)が警護しているから何とかなると思いますが・・・」
「だが、貴様らも幾度しくじった事か・・・」
 その時、レーニンのトランシーバーから通信が来た。
「こちらレーニンだ」
『こちらヴィクトリア。そちらに派遣させている私の軍が劣勢に傾きだしたとの情報が入った!何がどうなってるの!?』
「剣を取り返さんとする者がクイーン・ベスの艦隊とやらと協力関係にあったのだろう」
『それではクイーン・ベスに軍配が上がってしまうじゃない!どうしろと言うの!?』
「剣を取り返そうとする者が同じ所を戻るかもしれぬ。その者達を先ずひっ捕らえて取引に使用せよ。剣を渡し、その場から撤退すれば貴様らを襲撃する事はせぬという条件でな」
『通じるのかしら?絶対に信用されないわよ』
「信用されぬ前提で言っておる。それで更に追撃するのだ」
『解ったわよ』
 ヴィクトリア女帝は乱暴に答えた。通信が切れた。
「さて、貴様の手下でできなかったら私がやる」
「はい・・・」
 その一方でレーニンの体の「核」となっている少年は、ある事を思っていた。
(剣を取り返すのはあの高校生達の集団だろ?面白え・・・!!)

 妖精・ブルーノは気づかれる事なく剣を保管している場所に侵入する事に成功していた。
(あれ、敵だな・・・)
 ブルーノは唱え始める。
「機械、使エナクナレ・・・」

 政美は丸岡と戦闘を続ける。政美は今度は火炎放射能力で丸岡を牽制した。だが、丸岡は矛盾術で自身は如何なる炎に焼かれないとした為、効果はなかった。
「さて、終わりにさせてもらおうか!」
 丸岡は武装の能力(ちから)で政美が放った炎を彼女に向けて焼殺しようとした。しかし、政美も超能力で炎の動きを止めた。もう一度火炎放射能力を行使する。
「何度やっても同じ事だぞ!」
 丸岡は武装の能力(ちから)で炎を跳ね返す。しかし、跳ね返した所に政美はいなかった。
「何?」
「よう、俺はここにいるぜ」
 後ろに三河口がいる。
「てめえ、いつの間に回りこんだ?」
 丸岡は拳銃を出してどんな弾も彼に当たるという認識術を立てた。2発発砲し、弾が三河口に命中する。
「終わったな・・・」
 しかし、三河口はその場で爆発した。
「何!?」
 中身はコードや半導体だった。
「き、機械だと・・・!?」
 そして地面が揺れる。
「俺はここだよ!」
 地面が浮かび、丸岡が投げられる。
「なっ、お前・・・!?」
「さっきの炎で地面に潜ってたんだよ」
 政美は加速能力で丸岡を高速でぶん殴った。丸岡は遠くへ飛ばされた。

 奥平と西川は湘木の斧で遠くに飛ばされていた。
「はあ、はあ、あいつの斧・・・、何なんだよ」
「おい、奥平。俺の機械が壊れちまってるぜ」
「俺もだよ」
「よう、お前ら」
「て、てめえは!」
 そこに現れたのは異能の能力(ちから)の源となった男・三河口健だった。
「何の用だ?」
「ふ、あの文化祭以来だな。あの時の怨みを晴らしてくれる!」
 西川は拳銃を持っていた。水鉄砲だったが、中身は硫酸だった。
「異能の能力(ちから)が通じないように改造された硫酸だ。効き目はねえぜ」
 案の定、硫酸攻撃は三河口に通用した。同時に三河口から火花が散り、爆発した。
「うお!」
「何だ、あれは!?」
 奥平と西川は爆破後の三河口を確認した。バラバラになった男の身体は生身ではなかった。中には導線や金属が入っていた。
「これは・・・?ロボット!?」
「偽物か!」
 二人は悔しがった。
「あら、何を悔しがっているのかしら?」
 後ろから女の声がした。大人の女性だった。
「テメエはあいつの仲間か?」
「だとしたら?」
「これはどういう事だ?本人はどこにいる?」
「自分で探してみれば?」
 奥平は手榴弾で、西川は硫酸で攻撃する。
「お前は武器を持っていないみたいだな。いちころだ!」
 しかし、女は硫酸を触っても何ともせず、手榴弾もかわして接近し、首にチョップをかました。
「う、ああ・・・」
 奥平と西川は全身を麻痺させられ動けなくなった。
「殺しはしないわよ」
 女は進む。二人はその女が三河口の従姉・祝津ゆりであり、毒を使用するという事を知らなかった。

 湘木は本部の周囲で別の三人組の男と相対していた。
「貴様、剣を取り返しに来たのか?」
 三人組の男の一人が聞いてきた。
「・・・だとしたら何だ?」
「殺す」
 一人がミサイルのような物を投げて来た。対して湘木は斧で蔓を出し、それを受け止めて投げ返した。ミサイルが爆発する。しかし、相手も機械より武装の能力(ちから)を出して防御した。
(く・・・、3対1じゃやり辛いな・・・。三河口、早く剣を取って来てくれ!)
 湘木はそう願いながら戦い続ける。

 光江は赤軍の構成員・戸平を撃破した後、別の場所を移動していた。そして本部の扉を見つけていた。
(そうだ、この戸から中に入ってみるか・・・)
 光江は扉に入る。その中で小人の兵達を爆薬で薙ぎ払っている男女二名がいた。
「全く、キリがないわね」
「ったくよお!」
(あれはきっとマリエルが出したんかな?)
 光江はそう思い、不意打ちを仕掛ける。電撃を二人組の男女に当てる。しかし、彼らも機械を持っている為か防がれた。
「な!?」
「また誰かが来たな?」
「あんたら赤軍なん?」
「は?俺達は東アジア反日武装戦線の『大地の牙』だ!」
(東アジア反日武装戦線!?)

 足立正生と吉村和江は剣の保管場所の警備を続ける。
「来るかしら?」
「そんな気配はするが・・・」
 その時、歌が聞こえた。
「ロンドン橋が落ちまする♪」
「へ?」
 途端に扉と扉付近の壁の一部が破壊された。
「ここね。本当に警護してるのね」
 現れたのは鵞鳥に乗った老婆と一人の西洋人のような東洋人のような三つ編みの女子だった。少女が鵞鳥から降りる。
「赤軍ね」
「貴女、剣を取り返しに来たのかしら?」
「それならどうする?」
「お前を始末するに決まってるだろ!」
 足立と吉村は機械を利用して威圧の能力(ちから)を少女に掛けた。しかし、少女は気絶するどころか一切動じない。
「ど、どうなってるんだ?」
「やった!機械、使えてない!」
 後ろから声がした。小さい少年が飛び回っている。
「ブルーノね、ありがとう」
「へへ!」
「こいつ、こざかしい事を!」
 そして少女は本からある物を出す。豆が現れた。少女はそれを手にした途端、床に投げた。豆から急に植物が生え、木が現れた。
「な・・・、木が生えた!?」
 足立も吉村も驚きだった。豆の木は天井を突き破る。
「巨人、出番よ!」
 上からズシン、ズシンという音が聞こえた。巨人が現れた。巨人の図体が大きいため、天井の穴が更に広がった。片手には一人の少年が握りしめられていた。その少年は剣を手にしている。
「マリエル、ここが目的地だな?」
「ええ、三河口君、あそこに剣があるわよ!」
 マリエルが指を差した。
「あれだな!」
「行かせるか!」
 足立と吉村が足止めを試みようと銃を出したが、三河口の威圧の能力(ちから)と武装の能力(ちから)で全く効かず、二人は撥ね返され、豆の木の巨人の手に抑えつけられた。三河口が丸い台の前に立った。
「これが本物の剣・・・?」
 剣の他、護符、杖、杯もあった。これは政府が取引に使用したという偽物であると三河口は察した。
(赤軍の連中の誰もが取り外せなかったというこの装置から俺が取り出せるのか?)
 三河口はそう思いながらも躊躇う時間はないと思い、本物の剣に触った。剣は取れた。
「な・・・!?剣が取れた!?」
「レーニン様や房子総長ですら取れなかったというのに!」
 足立と吉村がそう言っている間に三河口は偽の剣を代わりに台に置いた。その時、台から黒い光が放った。
「これは・・・?」

 かよ子達藤木救出班は標的とする少年を救出する為に羽根を飛ばし続ける。その時、大野が違和感を感じていた。
「う・・・」
「大野君、どうしたの?」
「向こうから、嫌な気配がしてくんだよ」
「向こう・・・?」
 かよ子は大野が指差した方向を確認する。馬が走っている様子が見えた。
「あいつの気配だ!だが別の感触もするぜ!」
「え?」
 かよ子もその馬をよく確認する。
「私がもっと良く見せるわ!」
 のり子の人形が超能力を駆使して馬を虫眼鏡で見るように拡大させた。馬に一人の女性が乗っている。そしてまた別の少女が乗っていた。
「あれは・・・、りえちゃん!?」 
 

 
後書き
次回は・・・
「機械の無力化」
 かよ子達が発見したのは一人の女に連れ去られているりえだった。かよ子達はりえを連れ去る女・妲己と相対する。そして戦争主義の世界の本部にて異世界の最上位の道具の偽物全てが揃った時、放たれた黒い光の正体は・・・!? 
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